福岡の安徳台遺跡は、かつての倭の奴国の中心地だったことはほぼ間違いないと言われている。遺跡からは、甕棺に埋葬された支配階級の女性の骨が出土した。その骨は、鳥取の弥生ヒトのものと同様、弥生ヒトの形質をしているのだが、決定的な違いがあった。甕棺の骨から縄文ヒトのDNAが検出されたのだ。つまり、九州北部にやってきた弥生ヒトは、時間をかけて先住の縄文ヒトと同化しながら、勢力を拡大したと考えられる。
とすれば、現代までの2千年の間に、列島ヒトのDNAに含まれる縄文の割合はどんどん高まったはず。ところが予想に反し、現代列島ヒトのDNAの構成は、古代の福岡ヒトとほとんど変わらないという。
今の時代は国境があるので勝手に他国へ侵入できないが、その当時の列島は海から入り放題だった。半島や大陸から渡来する者と先住民との軋轢は相当なものだったろう。天武朝が成立するまでたびたび起きた倭国の乱とは、おそらくこんなところに要因があったのかもしれない。
今回のDNA分析からわかった最大の収穫としては、卑弥呼が現代に生存していたら、この辺りの中年女性と見分けがつかないということのようだ。(2018.1.3)
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