黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

阿古屋

2019年01月09日 22時53分52秒 | ファンタジー


 阿古屋のテーマで何を書こうとしているのか、私にもわからない。
 たまたまだが、年末のテレビでシネマ歌舞伎「阿古屋」を鑑賞した。主演の阿古屋を演じるのは、ご存じ坂東玉三郎。
 この出し物の眼目は、平家を追討する源氏の侍と遊女との息が詰まるようなせめぎ合いの場面。
 平家滅亡後、平家の武将・景清の恋人阿古屋は、鎌倉の源氏方の詮議に引き立てられた。逃亡した景清の居場所を聞き出そうというのだ。知らぬと述べる阿古屋に対し、代官・重忠は心に偽りがあれば演奏の音色が乱れるはずだとして、琴・三味線・胡弓の三曲を演奏させる。しかし、阿古屋は乱れのない見事な演奏を披露し、解放されるのだ。
 私の場合、古典芸能の観劇途中で決まって飽きがきて投げ出してしまうのは、つまり無理に観ているからなのだろう。ところが、この阿古屋の演目には身ぐるみはがされるかと思うくらい心を奪われてしまった。
 どんなところに?
 玉三郎の弾き語る琴・三味線・胡弓の演奏は確かにすばらしいと思うが、残念ながら、私にはそれら楽曲を聞き分ける耳の持ち合わせがない。そんな者にも、阿古屋の匂い立つような色香には圧倒された。なにしろ演じている役者、玉三郎の姿がいつの間にかかき消えて、阿古屋の魂魄しか私の網膜に映らなくなったのだから。やはり演者たちの精進して獲得した技量は大したものだ。
 玉三郎が何度も観劇して参考にしたという文楽「阿古屋」の人形が、どんな輝きを放つか観てみたいものだ。(2019.1.9)


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