昨日から、ローリングストーンズの「シャイン・ア・ライト(ライトを照らせ)」とイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」の二曲を頭の中でぐるぐる回しにして、両者の旋律の類似性について思い巡らせている。前者は一九七二年リリースのアルバム「メインストリートのならず者」、後者は一九七六年の同名のアルバムの曲。
リズムやコードが違うが同じ旋律として有名なのは、ニールヤングの「ヘルプレス」とディランの「ノッキンオン・ヘブンズドア(天国への扉)」がある。どの曲も懐かしい。ヘルプレスは、最近、CSN&Yのアルバム「デジャヴ」で何度も聞いている。ディランの曲は映画ビリーザキッドのために作られたものだが、金のない学生時代、友人が買ったレコードを聴くため、彼の部屋に度々押しかけた。
イーグルスのこの曲はグループ最大のヒット曲で、大方の五十代以上の耳朶なら旋律を憶えていると思う。それに引き替え、シャイン・ア・ライトはストーンズ通を自称する者でもあまり馴染みがないのでは。この曲が一躍クローズアップされたのは、スコセッシ監督によるストーンズのライブ映画(二〇〇八年公開)のタイトルに、この曲名が付けられたから?
私は、映画を見たが、映画のタイトルがストーンズの昔の曲のものとはまったく気がつかなかった。その曲に行き当たったのは、つい最近、再び「メインストリートのならず者」リマスター版を、車の中で繰り返し聞き直していたときだった。一枚目の十八曲入りCDを聴くこと、五,六巡目ころだったと思う。
十七番目のシャイン・ア・ライトがかかっている最中、たまたまホテル・カリフォルニアの主旋律が呼び覚まされ、耳から離れなくなった。相前後して、古い記憶の底からよみがえるものがあった。四十数年前の一時期、実家の二階で蟄居していた行き場のないころの記憶だ。そのころ挫けそうな心の支えになっていたのは、ストーンズの音楽と部屋を埋め尽くす本の山だけだったと思う。言いようもなく苦く辛い記憶も、ストーンズを数十年間、繰り返し聴くうちに、少しずつ角がとれてきたように思う。
ところで、音楽だけでなく様々な創作の分野でも、類似の例は数多い。なかには、先行する作品を頭に描き、あえて引用することさえある。なんら問題はないと私は思う。大げさな言い方だが、たいがいの事象は元々たったひとつの要素から発生しているのだから。(2014.9.5)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます