11月9日の記事「東大寺は何からなにまでデカイ(前編)」のつづき、完結編です。
この記事も、公式サイトの「あなたのブログに展覧会レビューを書きませんか?」のレギュレーションの下で書きますので、なんとなくフラストレーションがたまりそうな気がします…
このレギュレーションでは、なぜかブログに表示できない「公開用写真」以外は、「展覧会ホームページ等からの作品画像等の転載は禁止とします」で、「お客様が、会場外で撮影した写真(右手模型、会場外看板など)は、掲載いただいて構いません」ということになっています。
となれば、こちらをのせておきましょうかねぇ。
大仏さまの右手の実物大模型です。
「写真撮影可」はうれしいし、記念撮影用に日付け入りの看板まで準備されていることはなかなかの心遣いだとは思うのですが、どうしてこんなセッティングにしたのでしょうか
平成館南側のむちゃくちゃ日当たりの良い窓の前に据えたものだから、正面から写真撮影しようとすると、完全な逆光になってしまいます。
大仏さまの手相が判るぎりぎりの角度はこんなもの?
せめて窓にカーテンを引くか、室内の照明
をもっと明るくするか、工夫が欲しかった…
邪推するに、「下見はしたけれど、会期中は、太陽がこんなに低くなって、太陽光がこれほど入ってくるとは想定してなかった…」ってなところではなかろうか。
不満ついでにもう一つ。
奈良時代~平安時代初期の展示につきものなのが、屋根瓦です。
だいたい、この時代の展示をしている博物館や展覧会に行くと、決まって丸瓦や平瓦が展示されています。
鑑識眼を持った人や瓦マニアの方にしてみれば、「ほぉ~
なるほど…」と思われるのでしょうけれど、私のような人間には退屈
以外の何ものでもありません。どれもこれも、丸瓦ならば蓮の花をかたどったものだし、平瓦ならば唐草を引き伸ばしたようなへ~らへ~らした模様がついているだけ(としか見えませぬ)で、何とも面白くありません。
全国の博物館・美術館の学芸員の皆様、どうか、こんなふつーの観客の気持ちもご理解ください
それでも、「東大寺様式」の瓦は丸瓦の真ん中のプチプチが7つであることとか、三彩の瓦があったことなんぞを学べたことは、何に役立つか判りませんけれど、収穫ではありました。
奈良博恒例の「正倉院展」は昨日11日で終了しましたが、「東大寺大仏 -天平の至宝-」での正倉院宝物の特別公開は21日(日)まで。まだ大丈夫ですよ
この正倉院宝物の特別公開、公式HPでの紹介を見る限りでは、ちょっと華やかさに欠けるというか何というか、、、、だったものの、いやいやどうして、「観られてよかったぁ~」でした。
「銀壺 乙」は例によってデカイだけではなくて線刻が繊細だし、巨大な孫の手のような「斑犀如意(はんさいのにょい)」は見事なデザインと細工がステキだし、麻布に描かれた「墨画仏像」は墨痕鮮やかに優雅だし、と、良い意味で期待を裏切ってくれました。
とりわけ印象深かったのは、「ただのロープ」としか思っていなかった「縹縷(はなだのる)(開眼縷)」が、絹でつくられていたこと。大仏開眼供養会で菩提僊那師が大仏に眼を入れる際、筆に結ばれたこの紐を聖武天皇や光明皇后を始めとする参列者が手にとることで、みんなが開眼に参加したという貴重な「紐」は、現物を目の当たりにして初めて輝く気がしました。
この展覧会の目玉の一つは、国宝「不空羂索観音菩薩立像」の光背です。
観音さまご本人は、9月3日の記事「まだ1か月以上も先の話ですが…」で書きましたように、奈良博の工房で修理中のはずで、光背のみの展示です。
光背の右隣には、恐らく実物大であろう観音様の写真が展示されていましたが、やはり写真っつうのは…
ですなぁ。仕方のないことではありますが…
で、肝心の「光背」、わたし的には…う~む…と、イマイチの印象でした。
確かに、きらびやかかつ繊細
かつ荘厳
な「作品」ではありましたが、勝手に描いていたイメージよりも小ぶりでしたし、やはり、「名画の額だけ見せられても…」という感じは否めませんでした。
2012年12月以降に、絶対に東大寺法華堂(三月堂)に行って、拝んでやるぞ と、意気込んだ私でありました。
展示されている仏像は、飛車角落ちの感が強いものでしたけれど、それでも印象的な仏像が2体ありました。
一つは、「前編」でも書いたアフロ仏こと「五劫思惟阿弥陀仏如来坐像」、もう一つは、今年8月に奈良へ行った際、奈良博の「至宝の仏像」展(記事はこちら)で拝見して、「おわぁ~、やる気なさそう~」と、ある意味、衝撃を受けた「伝弥勒仏坐像(試みの仏像)」。おぉ、お久しぶりです
と挨拶しました
。
満足できなかったことは、ここまで書いた以外にも、目玉の一つ「VR(バーチャルリアリティ)シアター」がきれいな映像ではあったけれど、展覧会の展示の目玉としてはどうか…と思ったこととか、「灌仏盤」や「銀壺 乙」の線刻が見づらかったことなど、多々ありましたが、この辺りは、「図録」(2,300円
)のデキの良さに免じて許してあげましょう。
タイミングが合えば、図録に東大寺のお坊さんが揮毫してくれるかもしれませんヨ(私は見事にタイミングを外しました
)
ところで、あす、13日(土)の13:30から、せんとくんが平成館のラウンジに現れるらしいですぞ
【追記】上に「なぜかブログに表示できない『公開用写真』」と書いたのに、今回の「光背」はうまく表示されています
今回は、画像のファイル名もその表示も、そのまんまアップしました。
もしかすると「前編」で表示できなかったこちらも…? 同様にアップしてみましょうか。
やはりダメじゃぁ~
どうしてなんでしょうねぇ… (2010/11/12 23:00)
【追記の追記】もしかして…と考えて、Firefoxでブログを見ると…、
うぉっっと ちゃんと表示されているではありませんか
(2010/11/12 23:26)