「東博の平常展は秋真っ盛り (その2)」のつづきです。
ここからは「秋」にこだわったものではありませんので、あしからず…。
このブログの東京国立博物館(東博)ネタに欠かせないものが二つあります。
一つは、意表を突いた甲冑。まず復習から。
左は09/5/17の「阿修羅さまに再会♪<下>」で紹介した「熊毛植二枚胴具足」、右は今年4月に「東博でお花見(その2)」と「東博の桜に『裏を返す』(その4)」の二回にわたって紹介した「片脱ぎ二枚銅具足」。
こんな、およそ教科書や図鑑には載らないような甲冑を観ることができます。
「きょうはどんな甲冑が観られるのだろうか」とワクワク
です。
東博は、先週も、こんな私の期待を裏切ることはありませんでした。しかも二領も
まずこちら。
「片脱ぎ二枚銅具足」が「片脱ぎ」だったのに対して、こちらは完全に胸とお腹を露出させています。
加えて、兜が茶髪
更に、後ろから見ると、、、
綾小路きみまろだぁ~
「ワシは鎧兜なんぞいらんぞぉ~ 矢でも鉄砲でも持ってこい
」と、勇気を誇示するためのデザインなのでしょう。
展示の説明を抜き書きしておきましょう(写真に撮ってきました)
朱塗りの胴の意匠が、金剛力士像の体躯を連想させることから仁王胴具足といわれる。胴の背面には丸に心字を金箔で表す。兜は糟毛(かすげ)を鉢全体に植え、髻(もとどり)を結って野郎頭(やろうがしら)と称している。威(おどし)はすべて浅葱糸威(あさぎいとおどし)。総体にリアルで異様な雰囲気をもつ具足である。
ついでに、英語の説明文も…。
The appearance of this red-lacquered armor evokes the body of a temple guardian statue. The back of the cuirass is emblazoned with the character for "kokoro" (sprit or heart) in a circle, rendered in gold leaf. The helmet is embedded entirely with auburn-colored hair tied back in the "yaro-gashira" ("man's head") style. All the lacing is in pale blue. Overall, the design is bizarrely realistic.
英語の方が、辞書を引きながら読めば、日本語オリジナルよりも理解しやすかったりします。
もう一領は、尾張徳川家の初代藩主となった徳川義直公が大坂夏の陣に持って行ったという「白糸威二枚胴具足」。
全体としてかなりシックな鎧ですが、兜は蝶の口吻を思わせる優美なデザインです(またもや非常灯が…)。
やはり東軍幕府軍総大将の子息らしい甲冑ですなぁ。
【追記】関ヶ原の戦いとゴッチャになってました
戦国時代~江戸時代初期の甲冑は、実用性が重視されたはずなのに、奇抜な、個性的なデザインが多くて楽しい
それにひきかえ、江戸時代も半ばを過ぎると、太平の世に武士の気性が萎えてしまうのか、装飾に走りすぎてつまらない…。
例えば、18世紀末の「紫裾濃威筋兜(むさらきすそごおどしのすじかぶと)」なんてどうでしょうか?
「五月人形」のものかと思うような復古調の兜です。
源義経あたりがかぶっていたようなデザインです。
こういった「いかにも兜」がお好きな方の気に障るかもしれませんが、私はちょっと…
(そんな私の好みを反映して、この画面では敢えて小さく表示しています。クリックすると普通の大きさでご覧いただけます)
次に登場いたしますのは、犬張子、別名「犬筥(いぬばこ)」です。
以前、東博で観たものより(記事はこちらとこちら)かなり大きな作品です。
と、通りかかった若い女性二人組が、「なにぃ~、この顔ぉ~」と犬筥に大受け
ちょっと、そんなに受けちゃ、犬筥に失礼ではないか と思ったものの、やはり犬筥の顔は変です。
顔だけを見れば、これが「犬」だとは到底思えません。
ということで、東博へお出かけの際は、甲冑と犬筥にご注目くださいませ。
2010/11/18 東博の平常展は秋真っ盛り (その4)