2007/8月中旬 奥秩父・豆焼沢
不遇
「不遇の沢」さかぼうにとって、豆焼沢はこんなイメ-ジが強い。
沢自体、何の不遇も遜色も無い。むしろ奥秩父の美渓で知られる人気ル-トであるからだ。
なぜそんなイメ-ジがあるかと言えば、山行計画に度々挙がるものの、 悪天中止となったり、最終選考に漏れ、今日まで実現に至らなかったことが大きな要因である。
そして今回、ようやくその美渓に触れる瞬間がやってきたのであった。
人工
出会いの丘駐車場から車道をしばらく下り、豆焼橋のあたりを適当に下降。沢床に降り立つ。
決して明瞭なトレ-スではないが、沢ヤならこの適当さは理解できよう。
頭上高く第二豆焼橋を望むようになるとゴルジュの滝。
これをホチの滝と読み違え右岸を巻くが下降が悪く、イキナリの懸垂下降。
不意を突かれ、ノッケから冷や汗モノである。
つづいて今度こそホチの滝。橋の直下の壮麗な滝は、なんとも悲しい景観だ。
下段を左岸、上段を右岸で橋脚の袂を行けば排水溝から勢い良く水が噴出していた。
人工滝。半身半造の人造人間ならぬ人造滝といった様相だ。
迫力
次のゴルジュは流水左をヘツリ、瀑水は右のフェ-スを行く。
しかし、ココが悪い。
残置あればこそ、行く気にもなったが、スベスベのフェ-スに細かい立ちこみを求められ、 フリ-ではとてもリスクが高いのでザイルを出す。
前半ですでにお腹一杯になりそうで、この先一体どうなってしまうことか、不安がよぎる。
ココから先はナメもあり、快適にサクサクと進む。
と、駐車場で後発だったはずのパ-ティ-が先を歩いていた。
あれ?いつ抜かれたのかな?と一瞬戸惑ったが、駐車場から仕事道がトオの滝まで 通っているらしい。納得。
第一の見所、4段50mはさすがの迫力だ。
前日の雨もあってか、迫力も2割増し。迷わずここは右岸の巻き。
見所
4段24mは適当に登り、第二の見所、両門のスダレ状滝。
さすが、この沢の顔。この光景に出逢えるからこそ、人は豆焼沢を遡るのだ。滝を眺めながら大休止。
ゆったりと惜しむようにこのスダレ状を行けばその先に待っているナメがこれまた美しい。
あとはゴ-ロ、ミニゴルジュをシャワ-で行く。体が冷えて、消耗する。
延々と続くように見えた上流部も、ドラム缶が見えるあたりでフト辺りを見回せば、そこに登山道。 あっけなく終了点だ。
ようやく実現した豆焼沢は、さすが奥秩父の美渓で知られる人気ル-トなだけはある。
滝、ナメの美しさ、程良い緊張感、そのボリュゥム。どれをとっても満足できる。
ただ、唯一残念なのは、ホチの滝の荒れ模様である。
「悲運の滝」せめて橋が滝上になければ。
とはいえ、その益を享受している現代人の私に云う資格はあろうはずがない。
黄色い橋脚がとても悲しい色に見えた。
装備を解いたら、あとは快適なトラバ-ス道を雁坂小屋まで。
そこから黒岩尾根を3時間で鮮やかな原色の豆焼橋が現れた。
sak