嫁 と 姑 NO.220
嫁いだ娘が実家に帰ってきて父に告げました。 「お父さん私どうしても辛抱できないの」「あの姑さん毎日毎日意地悪したり、陰湿な嫌味を言ったりでもう我慢の限界」「だからって離婚して帰ってくればいいのかもしれないけれど、それではあの姑さんに負けたことになる」「負け犬みたいなことにはなりたくないの」「お父さん私考えたの、あの姑さんを密かに殺してしまいたいの」「なにかいい方法はない!?」
父 「そうかお前がそこまで言うんだったら、きっとどうしようもないヒドイばあさんなんだな」「よし、やっちゃえ!」「ここに丁度いい薬がある」「これはな~おじいさんが第2次世界大戦で出征した際に戦況が悪くなってな、それでも、帝国陸軍兵士は生きて虜囚の辱めを受けず」といってな「捕虜になるくらいなら名誉の死を選べ」ということで「一人ひとりに手渡された、即効自殺薬の落命丸というクスリなんだ」「これを飲んだらほとんど心臓麻痺と同じ症状であっと言う間に死ぬんだ」「おじいさんはたまたまこれを飲むことなく終戦を迎えたんだ」「だが、捨てずに私が今日まで保管していたんだ」「そうか こんなものが役立つとは思わなかったな」「ジュースかコーヒにでも混ぜてばあさんに飲ませて やっちまえ!」と娘にその落命丸を手渡しました。
「でもな、今お前とばあさんは犬猿の仲だろう」「いま ばあさんが急死しちゃったら、一番疑われるのはお前だ」「そうなれば参考人としてしょっ引かれて、厳しい取り調べを受けることになる」「なにもやってなくったって、やったと自白するほど取調べというものは厳しいんだ」「あくまでシラを切り通せるもんじゃない」「だからウソでもいいから、なにかにつけて姑さんを立て 自分は一歩下がって譲る心で接してみなさい」「そうだ 恰好だけでいいんだ」「そして 仲の良い嫁・姑やなと周囲から見られるようになれば、たとえ婆さんが急死してもお前が疑われるようなことにならない」「その時がチャンス到来だ」「その時を待って決行だ」
娘は決意を新たにして帰って行きました。
そして数か月後に娘は父のもとにやって来ました。
「お父さんの言うように 何かと姑さんを立てて お豆の炊き方を教えてもらったり、お風呂で背中を流しましょうなどとヨイショしているうちに、ヨイショすることが苦にならなくなって来たし、姑さんもすっかりいい姑さんになって、嫌味や皮肉を言わなくなり バーゲンで買ったのよなんていろんなものを買って帰ってくれるようになったのよ」「今まで考えられなかったような優しい姑さんになったのよ」「それに 私赤ちゃんが出来たみたい」
父 「じゃちゃ チャンス到来だ やっちゃえ!」
娘は静かに首を振りました。 「いえ そうじゃないの あんなにいい姑さんだなんて 私どうして判らなかったのかしら?」「どうかしてたみたい」「あんなにいい姑さんを 殺そうなんて真剣に考えていたんだ」「バカにみたい」・・・と
父 「そうだったのか そりゃ残念だ」「じゃ この落命丸はいらないんだな」・・・と言って、紙の包みを開いてあっという間もなく口に放り込んでしまい、その場にバタンと倒れこみました。
娘はアッと驚きました。 「お父さん なんで!」「どういうこと!?」と叫びました。
そっと下から父の顔を覗くとギョロっと片目を開き、次にもう一方の目も開きました。
「どうしてって こういうこっちゃ」「この薬は落命丸でも何でもない ただのビタミン剤や」「でも あの時お前は殺気立つほどに興奮していて 姑さんを殺したい!なんて言っていた」「あの時に 人間は以心伝心っていうじゃないか」「譲る気持で接してみなさい きっと解り合える」なんて言っても、お前は「お父さん 何も分からないからそんな呑気なことが言えるのよ!」・・・って却って火に油を注ぐようなことになっただろう。
「だから 一芝居打ってやったんだよ」「そうか そうか仲良しになったか
それは良かった」・・・と言う小咄です。
「人間 真心をもって接すればかならず相手に通じるものだ」というお話ですが、現実はそううまく行くかどうかは解りません。
でも、そういう場面では一度試してみることも必要ではないかと思います。
真心をもって接する、その結果相手に通じればそれに越したことはありません。
しかし、それでもなを通じない場合があるかもしれません。
その場合は仕方がありません「やっちゃう」のです・・・と言って笑いを頂戴しています。 (私の「相続紛争を避けるために」というお話の一節です)
嫁いだ娘が実家に帰ってきて父に告げました。 「お父さん私どうしても辛抱できないの」「あの姑さん毎日毎日意地悪したり、陰湿な嫌味を言ったりでもう我慢の限界」「だからって離婚して帰ってくればいいのかもしれないけれど、それではあの姑さんに負けたことになる」「負け犬みたいなことにはなりたくないの」「お父さん私考えたの、あの姑さんを密かに殺してしまいたいの」「なにかいい方法はない!?」
父 「そうかお前がそこまで言うんだったら、きっとどうしようもないヒドイばあさんなんだな」「よし、やっちゃえ!」「ここに丁度いい薬がある」「これはな~おじいさんが第2次世界大戦で出征した際に戦況が悪くなってな、それでも、帝国陸軍兵士は生きて虜囚の辱めを受けず」といってな「捕虜になるくらいなら名誉の死を選べ」ということで「一人ひとりに手渡された、即効自殺薬の落命丸というクスリなんだ」「これを飲んだらほとんど心臓麻痺と同じ症状であっと言う間に死ぬんだ」「おじいさんはたまたまこれを飲むことなく終戦を迎えたんだ」「だが、捨てずに私が今日まで保管していたんだ」「そうか こんなものが役立つとは思わなかったな」「ジュースかコーヒにでも混ぜてばあさんに飲ませて やっちまえ!」と娘にその落命丸を手渡しました。
「でもな、今お前とばあさんは犬猿の仲だろう」「いま ばあさんが急死しちゃったら、一番疑われるのはお前だ」「そうなれば参考人としてしょっ引かれて、厳しい取り調べを受けることになる」「なにもやってなくったって、やったと自白するほど取調べというものは厳しいんだ」「あくまでシラを切り通せるもんじゃない」「だからウソでもいいから、なにかにつけて姑さんを立て 自分は一歩下がって譲る心で接してみなさい」「そうだ 恰好だけでいいんだ」「そして 仲の良い嫁・姑やなと周囲から見られるようになれば、たとえ婆さんが急死してもお前が疑われるようなことにならない」「その時がチャンス到来だ」「その時を待って決行だ」
娘は決意を新たにして帰って行きました。
そして数か月後に娘は父のもとにやって来ました。
「お父さんの言うように 何かと姑さんを立てて お豆の炊き方を教えてもらったり、お風呂で背中を流しましょうなどとヨイショしているうちに、ヨイショすることが苦にならなくなって来たし、姑さんもすっかりいい姑さんになって、嫌味や皮肉を言わなくなり バーゲンで買ったのよなんていろんなものを買って帰ってくれるようになったのよ」「今まで考えられなかったような優しい姑さんになったのよ」「それに 私赤ちゃんが出来たみたい」
父 「じゃちゃ チャンス到来だ やっちゃえ!」
娘は静かに首を振りました。 「いえ そうじゃないの あんなにいい姑さんだなんて 私どうして判らなかったのかしら?」「どうかしてたみたい」「あんなにいい姑さんを 殺そうなんて真剣に考えていたんだ」「バカにみたい」・・・と
父 「そうだったのか そりゃ残念だ」「じゃ この落命丸はいらないんだな」・・・と言って、紙の包みを開いてあっという間もなく口に放り込んでしまい、その場にバタンと倒れこみました。
娘はアッと驚きました。 「お父さん なんで!」「どういうこと!?」と叫びました。
そっと下から父の顔を覗くとギョロっと片目を開き、次にもう一方の目も開きました。
「どうしてって こういうこっちゃ」「この薬は落命丸でも何でもない ただのビタミン剤や」「でも あの時お前は殺気立つほどに興奮していて 姑さんを殺したい!なんて言っていた」「あの時に 人間は以心伝心っていうじゃないか」「譲る気持で接してみなさい きっと解り合える」なんて言っても、お前は「お父さん 何も分からないからそんな呑気なことが言えるのよ!」・・・って却って火に油を注ぐようなことになっただろう。
「だから 一芝居打ってやったんだよ」「そうか そうか仲良しになったか
それは良かった」・・・と言う小咄です。
「人間 真心をもって接すればかならず相手に通じるものだ」というお話ですが、現実はそううまく行くかどうかは解りません。
でも、そういう場面では一度試してみることも必要ではないかと思います。
真心をもって接する、その結果相手に通じればそれに越したことはありません。
しかし、それでもなを通じない場合があるかもしれません。
その場合は仕方がありません「やっちゃう」のです・・・と言って笑いを頂戴しています。 (私の「相続紛争を避けるために」というお話の一節です)