雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

ことばと詩 56 古在吉重『思想とはなにか』岩波新書、1960年 202100518

2021年05月18日 20時12分10秒 | ことばと詩
ことばと詩 56 古在吉重『思想とはなにか』岩波新書、1960年 202100518


 古在吉重さんは1901年東京生まれ、1990年没のマルクス主義哲学者です。


 ボクは古在吉重さんの本は何冊も持っているので、少しづつ紹介していきます。


 「戦争の重圧と天皇制の暴力のもとで、転向というのはむしろ「力」の結果だった。つくりだされたいわゆる転向理論、すなわち権力の屈服の合理化は、どんなにたくみな論理によってあやつられていようとも、じつは理論的思考の自発的な産物ではなかった。そこにはたらいたのは本質的には「論理の力」ではない。むしろ「力の論理」だった。
 論理の力ではなくて、力の論理が支配するところ、そこにはもはや論理学の法則ではなく、力学の法則が支配する。」
 (p132、「転向について 2 転向の力学」)



ことばと詩 55 ヘレン・カルディコット「あなたが地球を愛するなら」より 20210510

2021年05月10日 10時19分14秒 | ことばと詩
ことばと詩 55 ヘレン・カルディコット「あなたが地球を愛するなら」より 20210510


 ヘレン・カルディコットさんはスウェーデンの核物理学者です。東日本大震災後にも来日し講演をしています。


 80年代?この映画「あなたが地球を愛するなら」で感動したので、たぶん自主上映会をやった。そのときにテープに音声をとってテープ起こしをしたんだと思う。


 当時のボクのテープ起こし原稿が出てきた。その感性的な最終部分。


「私が言いたいのはー
 もしみなさんがこの地球を愛するなら
 ほんとうに愛するなら
 春の訪れを感じ
 マグノリアの花をながめ
 フジの花を見つめ
 バラの香りをかげば
 私たちにとって
 いちばん大事なものが何か
 わかるはずだということです。
 地球を愛するなら」



ことばと詩 54 福岡伸一『ルリボシカミキリの青』文春文庫、文藝春秋社、2012年

2021年05月01日 10時59分11秒 | ことばと詩
ことばと詩 54 福岡伸一『ルリボシカミキリの青』文春文庫、文藝春秋社、2012年

 「つまりこういうことだ。私たちは見たいと望むものしか見ることができない。そして見えたはずの星座は、すべての星座がそうであるように、本来、ランダムに散らばっている星々を繋いでみた「空目(そらめ)」なのである。」(p32)



ことばと詩 53 平林久「「星の進化」というおかしな言葉」 20210429

2021年04月29日 17時37分41秒 | ことばと詩
ことばと詩 53 平林久「「星の進化」というおかしな言葉」 20210429


 「天文では、星の一生に対して「星の進化」というおかしな言葉が使われます。1世代の中で星が核反応で変わっていくのは、あえて生物用語で言うなら「成長」「老化」です。 天文で国際的には evolution と言ってますが、これからして変なのですね。しかし、今さら「星の老化」ともいえないでしょうね。」
 ( 平林久『星と生き物たちの宇宙 ー 電波天文学/宇宙生物学の世界 ー』集英社新書、2000年、270ページ、p183~184 )


 宇宙ステーションにアマガエルたちを送った生物学者と宇宙電波天文台を作った電波天文学者の、あっちへ飛びこっちへ飛ぶ、おもしろおかしいメール対談集。


 実際に会って対談したわけではない。10ヶ月間のメール交信を本にした。


 20年もたつと2人はそれぞれどうしているだろうか。野辺山電波天文台は、いまや予算不足で閉鎖寸前になっているようだ。


 天文学のことも少しは追ってみたい。





ことばと詩 52 矢川徳光「発達には・・・」 20210322

2021年03月22日 09時10分25秒 | ことばと詩


ことばと詩 52 矢川徳光「発達には・・・」 20210322


 むかし、子育てをしていたころは、盛んに子どもや教育の本を読んだ。ボクが好んだのは全面発達の本でした。とくに矢川徳光さんやマカレンコさんの本はお気に入りでした。


 矢川徳光さんは現代日本のマルクス主義教育学者で、いまでもとても素敵です。


 1900年生まれ、1982年没。


 その後、いつだったか「矢川徳光さんの長女の夫がチェリストの井上頼豊さん」ということを知ってビックリしたことがあります。




 発達には上限がなく
 教育には下限がない
( 矢川徳光、手書き「ネットワークノート」より )



ことばと詩 51 「地球は青かった。宇宙は黒かった」 20210107

2021年01月07日 11時48分03秒 | ことばと詩


ことばと詩 51 「地球は青かった。宇宙は黒かった」 20210107


 「地球は青かった」というのは今から60年前、1961年に人類の歴史上初めて宇宙飛行をしたソ連のガガーリンさんのことばです。


 ガガーリンさんのその後の運命は変転したようです。


 「地球は青かった」、それでは宇宙は?やはり真っ黒だろう。そこでボクが思いついた対句が「地球は青かった。宇宙は黒かった」


 誰かが「宇宙は黒かった」というのを言ってないかとグーグル検索してみたら、日本人宇宙飛行士の星出彰彦さんのインタビューで「宇宙は楽しかった。宇宙は黒かった。宇宙は怖かった。」というのがありました。


 でも「青い地球と黒い宇宙」の対句は発見できませんでした。


 ということは雨宮智彦くんのオリジナルと主張してもいいのかな。


「青い地球と黒い宇宙」「地球は青かった。宇宙は黒かった」



ことばと詩 第1回~第50回 タイトル一覧 20210102

2021年01月02日 13時54分12秒 | ことばと詩
ことばと詩 第1回~第50回 タイトル一覧 20210102


 昨年春に始めた新コーナー「ことばと詩」の「第1回~第50回 タイトル一覧」です。まだまだ続くと思います。




 開始の前に


新・本と映像の森 168 ことばと詩 1 チャン・フン・ダオ
新・本と映像の森 169 ことばと詩 2 金子光晴「反対」
新・本と映像の森 170 ことばと詩 3 パルミロ・トリアッティ
新・本と映像の森 171 ことばと詩 4 小森香子「河」
新・本と映像の森 173 ことばと詩 5 ポール・ゴーギャン ① 絵とことば
新・本と映像の森 175 ことばと詩 6 平井和正 ① 宗教について
新・本と映像の森 176 ことばと詩 7 平井和正 ② 悪平等・機根 20180901


 開始 2019年4月3日(水)~


ことばと詩  4 ハイネ 1 「本を焼く者は、人間も焼くようになる」 20190403
ことばと詩  5 恩田陸 草取り 20190405金
ことばと詩  6 久美沙織( 恩田陸『光の帝国』集英社文庫、2000年、p282~283「解説」より )
ことばと詩  7 アニメ映画「マクロスプラス」より ミュンの歌
ことばと詩  8 小林多喜二「闇があるから光がある」 20190519
ことばと詩  9 闇と光 ② 聖書・創世記より
ことばと詩 10 闇と光 ③ 聖書・福音書より 20190521
ことばと詩 11 闇と光 ④ 「闇がなければ星も光らない」
ことばと詩 12 闇と光 ⑤ 「光は闇と交わらない!」
ことばと詩 13 北森鴻「大黒闇」より
ことばと詩 14 闇と光 ⑥ 「闇」と「暗」は音
ことばと詩 15 闇と光 ⑦ 闇がなければ星は光ることができぬ 20190725
ことばと詩 16 本について 内田樹『子どもは判ってくれない』より 20190828
ことばと詩 17 島崎藤村「千曲川旅情の歌」 20191014
ことばと詩 18 長野県歌「信濃の国」 20191022
ことばと詩 19 修羅(阿修羅)について 201911023
ことばと詩 20 山口正之さん『現代社会と知識労働』よりp67 20191121
ことばと詩 21 一色登希彦:小松左京/原作『日本沈没 2 日本海溝』小学館、2006年
ことばと詩 22 京極夏彦『姑獲鳥(うぶめ)の夏 上』講談社文庫、2005年、p23~24 20191210
ことばと詩 23 平井和正『幻魔大戦 ⑳ 光芒の宇宙』角川文庫、1983年、p197~198 20191213
ことばと詩 24 中山七里『贖罪の奏鳴曲』講談社文庫、2103年、p276~277 20191222
ことばと詩 25 一色登希彦:小松左京/原作『日本沈没 1 地下の竜巻』小学館、2006年
ことばと詩 26 雨宮智彦語録 ① しつこさだけが……
ことばと詩 27 浦沢直樹『21世紀少年 上』 「マネのマネか」「コピーのコピーだ」
ことばと詩 28 神野沙希「細胞の……」
ことばと詩 29 カメのカシオペイアが言います
ことばと詩 30 野尻抱介「歌う潜水艦とピアピア動画」より 20200502
ことばと詩 31 かわぐちかいじ『沈黙の艦隊 1』講談社、1989年 20200504
ことばと詩 32 ル=グウィン・アーシュラ・K/著、清水真佐砂子/訳『ゲド戦記 3 さいはての島へ』
ことばと詩 33 ルイ・アラゴン「未来のうた」より 20200721
ことばと詩 34 『ガリレオ』(テレビドラマ・映画)より、湯川学帝都大学准教授のことば 20200722
ことばと詩 35 雨宮智彦語録 ② 細かすぎると 20200728
ことばと詩 36 則子さん語録 ① 「捨てるのは大変よ」 20200813
ことばと詩 37 雨宮智彦語録 ③ 幸せになるのは…  20200901
ことばと詩 38 マルクス・エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』より 20200902
ことばと詩 39 中澤正夫さん(精神科医)「人間には“すばらしいこと”が2つ…」 20200906
ことばと詩 40 内藤了『怨毒草紙 <よろず建物因縁帳>』<タイガ>、講談社、2020年より 20201009
ことばと詩 41 かわぐちかいじ『沈黙の艦隊 31』講談社、1996年 20201031
ことばと詩 42 平井和正『真幻魔大戦 11 破滅世界のクロノス』トクマノベルス、1983年
ことばと詩 43 アニメ「ターンAガンダム」よりティアラ・ソレルのことば 20201127
ことばと詩 44 坂本玄子(みちこ)さん、子どもについて 20201205
ことばと詩 45 萩尾望都さんの詩(『ポーの一族 4』「ペニーレイン」から) 20201211
ことばと詩 46 エイゼンシュテイン「生きて考えて熱中した」 20201217
ことばと詩 47 ゲーテ『西東詩集』より「三千年の・・・」
ことばと詩 48 井尻正二「創られたもの・・・」
ことばと詩 49 レオナルド・ダ・ヴィンチ「理性のとどかないことに・・・」
ことばと詩 50 宇野千代さん「氷山のように」 20210101



ことばと詩 50 宇野千代さん「氷山のように」 20210101

2021年01月01日 21時50分47秒 | ことばと詩
ことばと詩 50 宇野千代さん「氷山のように」 20210101


 元日、今日のNHKFMラジオでやっていた特集で、1984年の録音をやっていた。


 小説家宇野千代さんの若々しい声だった。


 宇野さんの言葉のうろ覚えの再現、違っていたらごめんなさい。


 「わたしたちの真の能力は氷山のように水中深く隠されている
  私たちの人生の目的は、それを探して世のため人のために役立てること」


 年末年始はテレビもラジオも、いい番組がありますね。



ことばと詩 49 レオナルド・ダ・ヴィンチ「理性のとどかないことに・・・」 20201223

2020年12月23日 17時12分56秒 | ことばと詩
ことばと詩 49 レオナルド・ダ・ヴィンチ「理性のとどかないことに・・・」 20201223


 レオナルド・ダ・ヴィンチのことば、70年代の「手書き&文献切り抜きノート」より


 「理性のとどかないことになると、大声でわめきたがるのがつねであるが、こういうことはたしかなことについてはおこらないものである」


 


ことばと詩 48 井尻正二「創られたもの・・・」 20201222

2020年12月22日 15時41分54秒 | ことばと詩


ことばと詩 48 井尻正二「創られたもの・・・」 20201222


 「創られたものこそが存在であり
  創ることこそ認識である」


 古生物学者井尻正二さんのことばですが、ボクの40年前の「手書き&文献切り抜きノート」ですので、今は元文献が不明です。


 文献がわかったら書きます。



ことばと詩 47 ゲーテ『西東詩集』より「三千年の・・・」

2020年12月19日 07時34分55秒 | ことばと詩
ことばと詩 47 ゲーテ『西東詩集』より「三千年の・・・」


 澤地久枝さん著『NHK人間大学 昭和私たちの同時代史』平成六年、で見つけたことば。


 「三千年の歴史から
  学ぶことを知らぬものは
  知ることもなく、やみの中にいよ、
  その日その日を生きるとも」(p130)


 いまだったら「五千年の歴史」って言わないといけないだろうなあ。



ことばと詩 46 エイゼンシュテイン「生きて、考えて、熱中した」 20201217

2020年12月17日 16時28分30秒 | ことばと詩

ことばと詩 46 エイゼンシュテイン「生きて、考えて、熱中した」 20201217


 エイゼンシュテインさんはソ連の映画監督で1948年2月11日に亡くなった。50才でした。大作「イワン雷帝 第2部」がスターリン体制下で上映禁止になり、その改作を準備していたさなかだった。


 つい最近、YouTubeでエイゼンシュテインさんの「イワン雷帝 第1部」をやっと見ることができた。すごかったです。建物の部屋での人間の影と光の使い方。


 映像にもかかわるボクとしては、あこがれの人、少しでも近づきたいと思う。


 「生きて、考えて、熱中した」というのは自伝の「題辞」のことばです。もちろんフランスの作家スタンダールの「生きて、書いて、愛した」を模したもの。


 かっこいいですね。


 題辞のおわりは「筆者は何をくぐり抜けて生き、何を考え、何に熱中したかをお見せしよう」と言っている。(以上、山田和夫さん著『エイゼンシュテイン』新日本新書、1998年、による)



ことばと詩 45 萩尾望都さんの詩(『ポーの一族 4』「ペニーレイン」から) 20201211

2020年12月11日 09時56分26秒 | ことばと詩
ことばと詩 45 萩尾望都さんの詩(『ポーの一族 4』「ペニーレイン」から) 20201211


 萩尾望都さんは詩人です。そういうと、ウソお、萩尾望都さんはマンガ家でしょ、という声が帰ってきそうです。


 もちろん、萩尾望都さんはマンガ家です。でも萩尾望都さんのマンガに散りばめられたセリフの詩が、すごくいいんですね。


 マンガが無くても、詩として自立しているとボクは思う。


 そうかどうかは、たとえば「ポーの一族」シリーズを自分で見て(読んで)判断してください。


 『ポーの一族 4』「ペニーレイン」の


 「花畑の
  まんなかで
  とんぼがえりする
  コビトを見た


  それが
  神話の
  はじまり


  夜の庭には
  月に踊る妖精
  死んだこどもには
  バラの茎根を
  ナルキッソスには
  白い花嫁を


  竜よ
  天馬よ
 一角獣よ
 牧神よ
 イカロスよ


 目ざめよ
 目ざめよ
 もろもろの神話
 ー 時の夢よ ー」


 ちょっと詰め込みすぎっていうか、総動員の感じはありますが、ボクはこういうの好きですね。ぜひ詩観賞の角度で萩尾望都さんのマンガを読んでみてください。


 やはり、萩尾望都さんって「夜と闇と死」「寂しさ」がぴったり合うという感じですね。


 いま描かれている「ポーの一族」シリーズでアーサーのことを詳細に描いているんだから、キリアン・ブルンスウィックのその後も描いて欲しい。


 でないとマチアスが浮かばれない(「小鳥の巣」参照)。キリアンはマチアスの血を受け継いでいるのだから。以上、きわめて個人的感傷でした。





ことばと詩 44 坂本玄子(みちこ)さん、子どもについて 20201205

2020年12月05日 14時59分09秒 | ことばと詩
ことばと詩 44  坂本玄子(みちこ)さん、子どもについて 20201205


 三木成夫『生命とリズム』(河出文庫、2013年)に掲載された三木成夫さんと坂本玄子さん(日本体育大学)の対談から坂本さんの発言。


 「ある1年生担当の大ベテランの先生が1年生の評価の方法として「泥んこになれますか、はさみが使えますか、虫と仲良しですか、よく寝ますか、友だちがいますか」という5つをあげていましたが、この評価で落ちこぼれる現代っ子は、今多くなっているのではないでしょうか。」(p161)


 「昆虫にしても、図鑑を見て、分類とか、頭と胸としっぽということを知識でじつによく知っている子が、その虫自体には絶対触れないんですね。それは先生のおっしゃる、なめる、触れる、見る、という段階で言うと、なめる、触れるが抜けてしまって、見るだけ、しかもそれも本で見るだけになっているんです。」(p162)

 似たような話は、最近はやりの「スーパーシテイ」や「デジタル社会」にもちょっと言えるかなあと思います。


 「聞いて極楽、見て地獄」、ましてや触れたりなめたりしたら、死ぬぜ。


 三木成夫『生命とリズム』もいずれ「本と映像の森」で紹介したいと思います。



ことばと詩 43 アニメ「ターンAガンダム」よりティアラ・ソレルのことば 20201127

2020年11月27日 18時05分56秒 | ことばと詩
ことばと詩 43 アニメ「ターンAガンダム」よりティアラ・ソレルのことば 20201127


 「ターンAガンダムガンダム」は「モビールスーツ」の「戦闘物語」とは異質ですが、だからボクは好きです。


 「武力を使って人を幸せにしようとすることでは
  それは黒歴史を作った人々と
  同じになってしまいます」