雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

ことばと詩 42 平井和正『真幻魔大戦 11 破滅世界のクロノス』トクマノベルス、1983年

2020年11月15日 11時49分03秒 | ことばと詩
ことばと詩 42 平井和正『真幻魔大戦 11 破滅世界のクロノス』トクマノベルス、1983年


 SF長編だが未完に終わった、ボクが大好きな作品。「真幻魔大戦」で現代からの3万年前の空想のムウ大陸を舞台にした「第3部」。


 ムウ帝国の盲目のソル王女に黒人青年ソニー・リンクスが言うことば。好きなセリフなので、探していたらやっと見つけました。


 「お前さんのいい草は勝手だよ。地球の歴史の大部分は地獄で埋められているんだ。ムウの世界は大砂漠の中のオアシスだ。夢のような理想郷だ。・・・・・・
 ・・・・・・こんなことがあっていいのかと思うくらいだぜ!あまりにも恵まれすぎていて不公平だ!地獄に生きている連中はそう思うはずだ。」(p197)


ことばと詩 41 かわぐちかいじ『沈黙の艦隊 31』講談社、1996年 20201031

2020年10月31日 08時06分54秒 | ことばと詩
ことばと詩 41 かわぐちかいじ『沈黙の艦隊 31』講談社、1996年 20201031




 マンガ『沈黙の艦隊』の長い長い航海の最終章。最終巻ではない。


 マンガ『沈黙の艦隊』の原潜ヤマトの戦闘はうそっぽいというより、公海でミサイル一発くらえばマンガそのものが第1巻でおわりだろうと素朴に思う。


 アメリカ軍はそれほど甘ちゃんではないのではないか。


 ヤマト艦長海江田四郎さんの核兵器への考えにもボクは反対です。


 ここで引用するのは海江田四郎さんのニューヨーク・国連総会での演説より、ボクが賛成できる部分です。(賛成する部分ではありません、念のため。)




 「個人とか
  市民とか
  国家という
  名ではなく


  “人類”という名においてのみ
  歴史は とぎれなく存在し
  
  われわれは
  人類という名においてのみ
  未来を語ることができるのです!」(p123)


・・・(中略)・・・


 「有史以来
  人類が手に入れた
 最も偉大な資産は
 民主主義です!


 そして民主主義の核となる
 多数の意思は


 有史以来
 変わることなく
 すでに確定しています!


・・・(中略)・・・


 われわれ
 人類の大多数は


 有史以来
 戦争に反対しているのです!」(p161~164)




 このあともっと重要なフレーズもあるが長くなりすぎるので割愛します。興味ある方は自分で読んでください。



ことばと詩 40 内藤了『怨毒草紙 <よろず建物因縁帳>』<タイガ>、講談社、2020年より 20201009

2020年10月09日 15時32分38秒 | ことばと詩
ことばと詩 40 内藤了『怨毒草紙 <よろず建物因縁帳>』<タイガ>、講談社、2020年より 20201009

  内藤了さんの連作「よろず建物因縁帳」はボクの好きな作品群のひとつです。人物像もリアルで魅力的です。長野を舞台にしています。

  とりわけ主人公の高沢春菜(はな)は、とてもいいです。

  今日は脇役の加藤雷助和尚の珍しくまじめなことば。 

 「他人の不幸、恐怖、苦しみ、痛み、嫉妬に妄執・・・まだあるが、それらを無上の悦びとする歪んだ心が凝り固まって、発する瘴気が鬼になる。人に取り憑き、惑わせて、そのものを取り込みながら膨らんでゆく。」

ことばと詩 35 雨宮智彦語録 ② 細かすぎると 20200728

2020年07月28日 20時16分38秒 | ことばと詩
ことばと詩 35 雨宮智彦語録 ② 細かすぎると 20200728

 「ことばと詩 26 雨宮智彦語録 ① しつこさだけが……」の続編。

 たぶん何か原典の小説があるかもしれないが今はさだかではない。

 ぼくが覚えているのはこういうかたちだ。肝に命じている。


   「細かすぎると滅ぶ」

 

ことばと詩 34 『ガリレオ』(テレビドラマ・映画)より、湯川学帝都大学准教授のことば 20200722

2020年07月22日 08時30分12秒 | ことばと詩
ことばと詩 34 『ガリレオ』(テレビドラマ・映画)より、湯川学帝都大学准教授のことば 20200722

 『ガリレオ』(テレビドラマ・映画)より、湯川学帝都大学准教授のことばをすこしだけ抜き書きしてみました。

 湯川学さんが解決編の前に必ず数式を書き連ねるのは、結論が数式的・論理的に導き出せるはずという制作者の誤った思いこみでしょう。

 それ以外は、ボクは湯川学さんのファンです。


 「現象には必ず理由がある」

 「ありえない?誰が証明したんだ?」

 「感情は論理的ではない。論理的でないものにまともに取り合うのは時間の無駄だ」

 「虚像を追い求める人生もあるということだ」

 「人間は計算式のように美しくはない。それどころか、見るに堪えないほど醜いときがある」

 「考えるという行為は、人間に与えられた最大の楽しみだ」

 「物事には見えないものがある。それこそが一番重要かもしれないんだぞ」



ことばと詩 33 ルイ・アラゴン「未来のうた」より 20200721

2020年07月21日 14時09分07秒 | ことばと詩

ことばと詩 33 ルイ・アラゴン「未来のうた」より 20200721

ルイ・アラゴンはボクの大好きなフランスの詩人です。これはボクの愛読書である大島博光さん『アラゴンとエルザ 抵抗と愛の賛歌』(東邦出版、1971年)の「エルザの狂人」p394から引用します。


わたしは君に言おう
男は女のために生れ
愛のために生れてくるのだと
古い世界のすべてが変わるだろう
はじめに生が つぎに死が変るだろう
そうしてすべてのものが 分けられよう
白いパンも 血まみれのくちづけも
そうして 夫婦たちの わが世の春が
オレンジの花のように 地上に散り敷くだろう


 毎日のように読んでいたこの本(大島博光さん『アラゴンとエルザ 抵抗と愛の賛歌』)を本棚の隅からやっと今年、引っ張り出してきて見直したのは40数年ぶりでしょうか。

 自伝タイトル「青い銀河とオレンジの花」のルーツのひとつです。


ことばと詩 32 ル=グウィン・アーシュラ・K/著、清水真佐砂子/訳『ゲド戦記 3 さいはての島へ』

2020年06月09日 14時13分48秒 | ことばと詩
ことばと詩 32 ル=グウィン・アーシュラ・K/著、清水真佐砂子/訳『ゲド戦記 3 さいはての島へ』


原著「THE FARTHEST SHORE」1972年、<岩波少年文庫>


 「「まったく、どうすればいいのか…。」様式の長は、そう言ってはじめてゲドと向かい合った。その緑色の目は冷たかった。

 「わたしは心配です。たしかに、何かあります。根底が不安に揺らいでいます。」

 「そうなんだ。」ゲドは言った。

 「わしらは深い源(みなもと)のところをようく気をつけて見なければならん。明るい日差しばかりを長い間楽しみすぎたからの。あの腕輪がひとつになったおかげで世の中、平和になり、わしらはその平和にひたりきって、ろくなこともせず、浅瀬でばかり漁をしてきた。今夜は深みをきわめなくては。」

   20130727



ことばと詩 31 かわぐちかいじ『沈黙の艦隊 1』講談社、1989年 20200504

2020年05月04日 06時35分19秒 | ことばと詩

ことばと詩 31 かわぐちかいじ『沈黙の艦隊 1』講談社、1989年 20200504

 モーニングKC、226ページ、定価500円。

 SFなのか空想マンガではあるがリアル戦争マンガです。でも、航行している反乱原潜ヤマトをアメリカ軍が1発の巡航ミサイルトマホークで撃沈しちゃわないのが「空想」といえば「空想」です。

 それとやたら人物の顔がでかいのがボクの感性には合わない。

 それはともかく、もう1人の主人公・潜水艦「たつなみ」艦長深町洋(ふかまちひろし)二等海佐はたつなみの水測室で聞く。

「俺が確認したわけじゃない。
 潜水艦乗りが信用するのは何だ」

 渡瀬三等海佐は答える

 「自分の眼と耳と勘……だけであります!」(p24)

 もう1つの場面。

 潜水艦隊司令長官・田所進海将補は聞く。

 「知ってどうする?」

 深町は答える。

 「オン・ステージにある艦の任務の第一は状況の正確な把握だと思っとります!」
 (p57)


 そういう意味では『沈黙の艦隊』のなかのアメリカ海軍の艦船は強大な武力をもちながら「状況の正確な把握」ができず命令まちの情けない状況に陥っている。



ことばと詩 30 野尻抱介「歌う潜水艦とピアピア動画」より 20200502

2020年05月02日 08時35分47秒 | ことばと詩


ことばと詩 30 野尻抱介「歌う潜水艦とピアピア動画」より 20200502

 野尻抱介「歌う潜水艦とピアピア動画」「ACT・1」p137~138、『南極点のピアピア動画』早川文庫、2012年。

 
 「まあそう落ち込むなよ。宮崎駿も言ってたぞ。企画が通らなくたって、人生おしまいだなんて考えずに大事に引き出しにしまっとけって。いつか使うときが来るから」
 品川駅構内の居酒屋。カウンター席に男が2人。
 「……誰です」
 気のない、酔いで濁った目で、中野は訊いた。
 …………
 「宮崎駿知らない?カリ城やナウシカやトトロの監督」
 「知りませんが」
「僕らの世代じゃ基礎知識なだけどね。人生は宮崎アニメで学んだもんだよ」


 引用した文章の後半部分「人生は宮崎アニメで学んだ」というのはそのとおりでしょう。しかし前半の「宮崎駿も言ってた」部分は「宮崎アニメ」を見ても言ってるはずはありません。

 これはたぶん、宮崎アニメやジプリを解説した鈴木さんの文章によることだろうと思います。ボクも鈴木さんの文章はかなり読みました。宮崎アニメと共におすすめです。


ことばと詩 29 カメのカシオペイアが言います 20200430

2020年04月30日 13時28分24秒 | ことばと詩

ことばと詩 29 カメのカシオペイアが言います 20200430

「新・本と映像の森 328 ミヒャエル・エンデ:大島かおり/訳『モモ』岩波少年文庫、2005年」に出てくるサブ主人公の亀(カメ)のカシオペイアはおもしろくユニークなキャラです。

 ボクは『モモ』のなかでいちばん好きです。主人公のモモでさえ、その真面目さでは「灰色の男たち」とかなり似ているような気もします。

 で、p350.カメのカシオペイアが言います。いやしゃべるわけじゃない。背中に文字が出るのです。

 「サキノコトハ、ワカリマス」
 と、カシオペイアの背中に文字がでました。
 「アトノコトハ、カンガエマセン!」



ことばと詩 28 神野沙希「細胞の……」

2020年03月27日 09時08分35秒 | ことばと詩

ことばと詩 28 神野沙希「細胞の……」

 このごろ短歌や俳句や川柳を興味深く見ている。

 とくに現在の俳句や川柳がとても新選でおもしろい。

 『しんぶん赤旗 2020年3月23日』(7)面「月曜インタビュー 俳句は命の肯定の詩型 自由な突破力生かして」がいい。

 そのなかで出ていた1句。

    細胞の全部が私さくら咲く 沙希


ことばと詩 27 浦沢直樹『21世紀少年 上 “ともだち”の死』小学館、2007年 「マネのマネ」「コピーのコピーだ」

2020年03月20日 09時36分59秒 | ことばと詩


ことばと詩 27 浦沢直樹『21世紀少年 上 “ともだち”の死』小学館、2007年6月4日 「マネのマネ」「コピーのコピーだ」 20200320


浦沢直樹『20世紀少年』は20数巻ある傑作(とボクは思う)長編マンガです。まえに読んだときは今いちストーリイが読み取れなかったですが、最近やっとわかってきました。それは別の機会にやりたいと思います。

 今日は、その最終2巻のワンシーン。

 話の出発点の主人公たちが子供だったころ。のちに“ともだち”教団の大幹部・国会議員となる若い万城目(まんじょうめ)が街で妖しげな「NASAグッズ」を売っている。

 その前には、ただ1人、お面をかぶった少年が……。

少年
「ようするに…
 本物の
 マネのマネか…」

万城目
「なんだよ。
 買わねえなら、
 あっち行け」

少年
「マネのマネか…」

万城目
「オリジナルは
 損する。
 そのコピーを
 した奴は
 まだまだだ。
 世界をつかむのは
 決まって
 コピーのコピーだ…」

少年
「ふーーん」(p127~128)


 これは第一次安倍内閣が成立したころに描かれたマンガです。

 けっして安倍首相のことを皮肉っているわけではないと思います。あくまでも偶然の一致というやつです。

 安倍晋三首相の父は安倍晋太郎。母方の祖父は岸信介。つまり安倍晋三首相はコピーのコピーといえなくもない。

 とにかくたんなるコピーはろくなものじゃないということを言いたい。

 マルクスが偉いから私も偉いと勘違いするマルクス崇拝者もなかには、いるのでね。

 人間は個別に成長するんですね。そのことと理論がどうかかわっているのかがボクの問題です。

 詳しくは『20世紀少年』をお読みください。



ことばと詩 26 雨宮智彦語録 ① しつこさだけが…… 20200308

2020年03月08日 21時14分54秒 | ことばと詩

ことばと詩 26 雨宮智彦語録 ① しつこさだけが…… 20200308


 『雨宮智彦語録』という本があるわけではありません。

 「雨宮智彦語録 ①」は「しつこさだけが人生だ」というものです。もちろん自分の人生の1面だと思います。反面、すぐ簡単に変更するのもボクです。

 誰かのことばに「やさしさだけが人生だ」というのがあったかどうか。うろ覚え。



ことばと詩 25 一色登希彦:小松左京/原作『日本沈没 1 地下の竜巻』小学館、2006年

2020年02月28日 11時38分19秒 | ことばと詩

ことばと詩 25 一色登希彦:小松左京/原作『日本沈没 1 地下の竜巻』小学館、2006年

 「ことばと詩」は昨年12月で止まっていたので再開します。まず、一色登希彦:小松左京/原作『日本沈没 1 地下の竜巻』小学館、2006年。

 「始まり」「始発点(プライマル・スクリーム)」となった新宿の飲み屋「雑種天国」で奇矯な科学者田所博士が言ったことば(p35)。


 「『熱い』な、
 ここは。

 異様に。」

「いいかね?
 お嬢さん。
 熱力学的見地で
 語るならば・・・・

 『熱い』という事は
 色々な事が
 起きている‥‥
 という事だ。

 そしてまた、
 こののち、
 色々な事が
 おきる・・‥
 という事だ。」

 現在の新型コロナウイルスについて言っているようにも思うんですけど。

なおマンガ版は原作小説や映画のシチュエーションや登場人物を一部借りていますけど、まったく別のフィクションと思った方がいいと思います。



ことばと詩 24 中山七里『贖罪の奏鳴曲』講談社文庫、2103年、p276~277 20191222

2019年12月22日 21時24分27秒 | ことばと詩


ことばと詩 24 中山七里『贖罪の奏鳴曲』講談社文庫、2103年、p276~277 20191222

 原書2011年、「第三章 贖いの資格」より

 中山七里『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』は、ボクの好きな推理小説・警察小説です。しゃべっているのは主人公級のベテラン刑事・渡瀬さん。

 いつも渡瀬さんの行動とセリフには痺れます。

 「前にも言ったことがあるよな。後悔なんかするな。悔いたところで過去は修復できない。謝罪もするな。いくら謝っても失われた命が戻る訳じゃない。その代わり、犯した罪の埋め合わせをしろ。いいか。理由はどうあれ、人1人殺したらそいつはもう償い続けるしかないんだ。死んだ人間の分まで懸命に生きろ。決して楽な道を選ぶな。傷だらけになって汚泥の中を這いずり回り、悩んで。迷って、苦しめ。自分の中にいる獣から目を背けずに絶えず闘え」
 口調はおだやかでゆっくりだったが、しかしその一言一言が胸の奥に下りてくる。これはいつか味わった感覚だ。そうだ。島津さゆりのピアノ ー あの激烈で鋭敏な旋律と同じように、稲美の言葉が突き刺さっている。
 「自分以外の弱い者のために闘え。奈落から手を伸ばしている者を救い上げろ。それを繰り返して、やっとお前は罪を償ったことになるんだ」
 「そんなもの‥‥いつ終わるってんだよ」
 「お前が死んだ時さ」」

 それにしても、浜松市西区の元保育園副園長、いましたよね。土下座して「謝って」いました。

 まだ謝るべき主要な相手がいると思いますが。