こんばんは
3月5日から4月5日までの間に血液学会総会の演題投稿をしなくてはなりません。一応、先日倫理委員会に提出したものを解析して提出するつもりですが、その解析+αに基礎実験のほうは試薬が来るのを待っているというところです。
まぁ、いろいろやることは探せば山のように出てくるというところです。ついでに医局旅行の計画をついに2人の教授の承諾を得、医局長の指揮(医局旅行幹事に任命されました)のもと発動させました。
さしあたり、時期などをアンケート調査して(場所はいろいろと考えて決めてしまいましたw)計画を立て、実行する予定です。
さて、このBlogもいろいろな記事があり、どういう検索キーワードが引っかかって、どういう記事を読んでいるかもわかるのですが…ちょっと気になることがあったので記載させていただきます。
今日、たまたま外来輸血時にお話しした患者さんも「余命」のことを言っていました。このBlogの検索ワードにも「骨髄異形成症候群+余命」「悪性リンパ腫+余命」「急性白血病+余命」などのワードが並んでいます。
僕は以前書いたかもしれませんが、まず余命に関してはいうことはあまりないです。なぜなら個人個人の命なんて神様でもなければわかりませんので。
という記事にも書きましたが、僕は悪性リンパ腫も急性白血病も「標準治療をやり遂げる」ことをまず考えればよいと思っている人間で、効かなかったらどうしよう・・・とか、再発したらどうしようというのは患者さんに考えてほしくないと思っています。
前向きに治療を進める。
予後を患者さんが知る必要性があるとすれば、患者さんが家族の方や、知り合いの方々に対して亡くなった場合の対処をしないといけない場合、もしくは死ぬまでの時間をある程度把握して、その時が来るまでの計画を立てる場合など…だと思っています。
僕は病気を診断し、告知した時に…当たり前ですが「この病気でこういう状態だと、一般的に5年生存率はこのくらいです。ただ、○○さんが治るかどうかは1か0です」とか言ったりします。
僕は本当にそれ以上のことを聞かれたら「統計学的なお話はできますが、○○さん個人の話はできません。僕は神様ではないので、○○さんの予後についてはわかりません。まずは行うべき治療を行い、病気をやっつけて治ることを考えましょう」というような答えをします。さらにどうしても細かく知りたいと言われれば、いくらでも細かく言いますが…その時点で患者さんのメリットはないという判断をしています。
偶然かどうかはわかりませんが、僕が2008年から2011年までの間に主治医として治療にあたった急性白血病の患者さんのうち、一般的な標準治療を行った患者さんって8割以上ご存命だと思います(もし、思い出していない患者さんがいたらごめんなさい)。まぁ、再発のリスクが高いと思った方は移植をしていますし、再発してもどうにかして第2寛解期で移植している(これは後輩が主治医で行った移植ですが)し・・・。
ついでにこの時期に診療していた悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)の患者さんの一部を統計解析してみたんですが、一般に言われているよりも成績いいんですよね。
そういうことも含め・・・僕は統計学的に「生存に影響を与える因子」として解析することはできませんけど、「治るんだ」「再発することは考えないようにしよう」と思って治療をするのと、「50%の確率で再発するんだ」と思って治療をするのでは違うのではないかと思っています。
今日、話をした患者さんにも
「確かに統計学的に▽■さんの病気は生存中央値が0.4年という風に言われてしまいます。しかし、その解析は昔の良い薬がなかった時代の数値です。良いか悪いかで言えば、性質が悪いものというのは間違いないですが・・・余命何年と決めつけるのはよくないです。ついでに言うと同じような病気の状態でも2年、3年と長生きされていた患者さんも知っています(まぁ、その方は僕もびっくりするくらいですが)。個人個人については病気の性質も違いますし、薬の反応性も違います。そういうことも含めてわかりません。▽■さんの病気は完治するというたぐいのものではないので、余命を考えて生きることは非常に大事で素晴らしいと思いますが、もっともっと生きられるかもしれないと考えたほうがよいです」
と、お伝えしました。
医師は完治する類のものでない場合生存中央値×年とか・・・、あとは説明責任という意味では積極的な治療では「5年生存率」は▽%とかと説明をすると思います。
しかし、本当に医師も神様ではないので「個人」の余命を判断することはできないのです。
僕たちは「同じようなグループを解析した結果、グループとしてこのくらいの生存確率です」ということはわかっても、「個人としてどのくらいか」というのは言えません。
それ故僕が担当したすべての患者さんには、例えば・・・
「(急性白血病の患者さんに)抗癌剤治療で病気が検査でわからない状態になる可能性は7割~8割くらいです。その後の抗癌剤だけで治るかどうかというのは追加の検査をして分類しますが、4~5割程度でしょう。抗癌剤だけでは治る可能性が低いと思われる人には骨髄移植を検討します。
予後は神様ではないのでわかりません。5年生存率というのを統計学的にお伝えはできますが・・・たとえば最初の治療はがん細胞がいっぱいあるのでリスクが高いわけですが、これがうまく消えた人と消えなかった人では予後に差が出てきます。あえて言うなら○○さんが5年後に生きているかいないかは、まさに0か1しかないです。寛解に入らなかったらいろいろ考えなくてはならないですが、まずは寛解を目指して頑張るのがよいかなと思います。」
・・・まぁ、どちらかというと「0か100かしかないので、治る方目指して頑張りましょう」というような感じで終わりますけど。
ともかく、予後というのは気になると思いますが…統計学的(こういうグループの・・・)には言えても、個々人の余命というのはなかなか言えません。
本当に積極的な手が出なくなったときに…初めて「もしかすると、このくらいしか生きられないかもしれない」とは言います。それは先程も言いましたが、患者さんや家族がいろいろな準備をするのに絶対に必要な時間だと思うからです。
しかし、それ以外では…特に最初の段階ではあまり「余命」とか「予後」という言葉を気に掛けるよりも、「できることがあるならまずはやろうじゃないか・・・」という考え方のほうがよいのではないかと思います
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
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それでは、また。
P.S:これにもいろいろ批判があるとは思いますが、患者さんにもよると思いますが僕は前向きに治療に取り組むためには、あまり余命とかを言わないほうがよいのではないかと思っています。