こんばんは
今日の昼間に丁度日本対プエルトリコ戦が放送されていたので、食事しながら見ていました。残念ながら負けてしまいましたが、準決勝まで進んだので頑張ったと思います。98回の医師国家試験まで3年連続100%はないという話でしたが、なんでも「3連続」というのは難しい話ですね。
さて、本日は「医師はそれほど不足していない」というお話に関して、少しだけアンチテーゼを提案させていただきます。
本日帰り際に「初診の方が『時間がかかりすぎる』と怒って診察前に帰ってしまい、投書で苦情を書いてきている」という話を聞きました。通常であれば、大学病院なので「紹介状を持って、予約をしたうえで受診されてください」といってもよい状況ですが、だいたいその日に受診すれば「紹介状を持っていれば」うちの大学病院は受診可能です。
予約患者さんがいますので、僕が外来をしていた頃も「この患者さんには採血行ってもらって12:00から、この方は12:30、この方は13:00・・・」とやっていましたが、一人の患者さんを優先すると他の患者さんへのしわ寄せが大きいのでそういうことをするのは、患者さんが重症ですぐに対応が必要な時だけです。
例えば、急性白血病を前振りなく紹介されたときとか(ちなみに、前も書きましたが治療開始が一定期間以上遅れると死亡率が上昇するので、急性白血病は緊急事態です)
本当に多くの医師がいて、一人10分でも20分でも時間を取るだけの余裕があり、じっくり話を聞いて診療する余裕があるならともかく、今の医師数では「3分間診療」のようなことが起こるわけです。
僕が外来をやっていた時はできるだけ話を聞いてはいましたが、本当に2郡に分けてやっている感じでした。
申し訳ありませんが、外来診療で早く見て、早く終わらせるのは急性白血病や悪性リンパ腫などの治療後の患者さんです。再発していないことを確認するのが目的ですから、それが確認できればその日はおおむねOKです。もちろん患者さんの中には維持療法をしていたり、何らかの薬物治療をしていることがありますので、そういったことの副作用も確認します。
逆に時間をかけるのは高齢者の外来治療を行っている患者さん。例えば骨髄異形成症候群や骨髄腫などの患者さんです。ここに時間をかけるためにはどうしても前者の時間の削らないといけません。それでも何か異常があった患者さんに対して対応する時間を作るために、四苦八苦しています。
最も時間がかかるのは新患の患者さん。当たり前ですが「自分はどういう異常があるのだろう」と不安に感じている患者さんや家族に「3分間」で終わることはできません。ある程度説明する必要があります。その時間もかなりとられるわけです。
初診の患者さんを別にみればいいのですが、それができる病院も限られているように思います。うちはちなみに全員1人の医師が診ているので、新患が多い時は本当に泣けてきます。
昔、急性白血病の40代の男性が近くのクリニックから紹介されてきたとき、患者さんの状態が悪く入院できればよかったのですが、すでに病床数の1.5倍の患者さんが入院していて、これ以上はどう頑張っても不可能という状態。運悪く、国際学会などがあり、医師数も少なかったこともあって外来と患者さんの受け入れ先探しを両方やらなくてはならない状況でした。
血液内科医は「急性白血病」は基本的に緊急事態というのはわかっていますし、この患者さんの白血球数は10万を超えていたので(ついでにDICもあり)本当に緊急でしたが、最終的に15件目の東京都の南東の方にある某有名病院に転院(どこもわかっているけど、受け入れ不能)されました。この間、外来がその都度ストップするので3時間ほどの遅れが出てしまい、直謝りしながら外来を進めていました。
医師数が多いのであれば、基本的にこんなに待ち時間が長くないと思いますし、短時間の診療になることもないはずです。まぁ、短時間の診療でよい患者さんも多いのですが、時間をかけるべき患者さんにもなかなか時間をかけられないというのも事実だと思います。
そういう問題点もあるのだと、本当に病気になった時に「時間に追われた対応をされる」のはあまり良い気がしないのではないかと思っております。
もちろん、真理として万人が納得する何かがあるのかもしれませんが、僕の中では「医師も大変だけど、本当は患者さんも時間をかける必要がある人がかけられていない」という事実があり、医師数は不足していると考えています。
1日は24時間です。あまり考えられていない方もいるかもしれませんが、悪性腫瘍の患者さんに時間をかけるのも大事ですが、生活習慣病の人は薬物治療よりも、基本に「生活指導」がありますのでもっと時間をかけなくてはいけないはずです。それがあまりにも多くの患者さんを1人の医師が診るので、生活指導などがおろそかになるのではないかと思っています。
まぁ、その分野を他の職種の人がやっている病院もいっぱいあるとは思いますが(そういうところに新たな雇用ができるとも思っています)
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
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それでは、また。