新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

文部科学省意見公募開始:大学医学部定員増 or 新設議論

2011-12-24 11:00:58 | 医療

おはようございます

 

今日はクリスマスイブですね。キリスト教徒ではないので、祝うというよりは「便乗して楽しむ」だけですがw

しかし、本当に寒い。いつも不思議なのですが、関東のほうが北海道よりも寒く感じるのですよね。札幌の実家に帰ったときより、今のほうが寒く感じます。

 

今日は使用で新宿に午後から行くのでその前に記事を書きます。

今日はこちら

 

 文部科学省は、全国的な医師不足解消に向けて大学医学部の新設などを議論する有識者会議がまとめた「論点整理」について、国民からの意見公募(パブリックコメント)を始めた。論点整理は医学部定員を増員する現在の方向性を当面引き継ぐべきだとの意見を多く記載する一方、医学部新設については賛否が分かれているため両論併記にとどめた。
 医学部新設は最終的に、有識者会議などの意見を踏まえて政府が判断する見通し。東北では財団法人厚生会仙台厚生病院(仙台市青葉区)と東北福祉大が合同で、仙台市内での医学部新設を目指している。
 有識者会議は「今後の医学部入学定員の在り方検討会」で、2010年12月に日本医師会役員や大学付属病院長ら20人が議論を始めた。琉球大を最後に約30年間凍結されている医学部新設などをテーマに会合を重ね、ことし11月に論点整理をまとめた。だが1年近い議論でも医学部新設の賛否は結論が出なかった。
 新設に賛成する専門家は「既存の医学部の定員増は教員や施設に限界があり、増え続ける医療ニーズに対応できない」と強調。少子化が進んでも医療を必要とする高齢者人口は増え続け、医療の高度化でより多くの医師が必要になると訴える
 反対派は既存医学部の定員増で対応できるとし「少子化で将来的に医師過剰になっても、新設した医学部を廃止することは困難」と主張する。
 大学医学部の定員数は2008年度から毎年増えており、12年度は07年度比1366人増の8991人となる見込み。東北の6大学でも190人増え、12年度は東日本大震災と福島第1原発事故の発生を受けて福島県立医大で15人、東北大で5人増える予定。
 新設方針が決まった場合、実際に医学部が新設されるまでには短くても3年の準備期間が必要とされる。文科省医学教育課は「医師不足は地域偏在の問題なども含め課題が多い。パブリックコメントの意見を踏まえ、今後の検討会の進め方を考えたい」と話す。
 論点整理は同省のホームぺージに掲載している。意見は来年1月15日まで、住所や氏名、意見などを記入の上、郵送かメールで提出する。宛先は〒100―8959 東京都千代田区霞が関3の2の2、文科省高等教育局医学教育課。メールはari―iga@mext.go.jp

◎必要医師数岩手は1.4倍 10年6月時点

 国が医学部新設の議論を進める背景になっている全国の医師不足は、深刻な状況となっている。厚生労働省が全国約1万カ所の医療機関を対象に実施した「必要医師数実態調査」によると、2010年6月時点で2万4000人分の医師が不足していた。
 東北6県と2次医療圏別の医師数に対する必要医師数の倍率は図の通り。岩手の1.40倍は全国でも最も高く、青森が1.32倍で続く。
 病床整備を進める単位として設定されている2次医療圏別に見ると、6県で最も高いのは山形・最上の2.04倍。以下高い順に青森・下北2.01倍、釜石1.63倍などと続く。郡部を中心に全国平均(1.14倍)を上回っている。
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と、言うことでコメントを送ってみました。

 

 

医学部定員に関して、医学部新設、大学病院の定数拡大に関しての意見を書かせていただきます。

 

基本的に現時点では医師数は不足しており、今後も「専門性」がさらに高くなること、高齢の患者が増えることなどから医師数を増やさなくては対応できないと考えております

しかし、医学部新設は現実的には難しいと思っております。理由は教官数が不足することです。

 

医学部を新設するに当たり、必ず教員が必要になります。既存の医学部から教員を集めることは難しいので、地方などの病院から優秀な人材を集めることになると思います。そうすると地域医療に穴が開く可能性が高いと思います。今の日本にそれをできる余裕はありません。

医学部新設は私は必要だと思うのですが、それは今すぐにではなくまずは既存の医学部を拡充してある程度の状況改善を図らなくてはいけないと思います。基本的に医学部新設は劇薬で、効果も上がるかもしれませんが「日本の医療」が劇薬に耐えられなかったら死んでしまうかもしれません

 

 2008年あたりに医学部新設、医師数増加の話が出たころから「医学部新設は無理」「まずは大学医局の改革、医局員の待遇改善から大学の活性化を」と書き続けてきました。

 

大学医局の多くは「教育」「臨床」「研究」と行っておりますが、今は「臨床」を中心としてやらざるを得なくなっています。目の前に患者がいるのに「教育」「研究」を行えるでしょうか。医師は、少なくとも地方の大学の臨床勤務医たちは「研究」を優先せずに、臨床と教育を重視しています。

 

その根拠として、たとえば新臨床研修制度が始まるまで、血液学会では基礎研究の発表が半数はありました。いまでは基礎研究の割合はかなり少ないです

どこの医局にも余力はなくなってきました。

 

教育に関してはぎりぎりまで行わなくてはなりません。教育は(医学部だけでなく、すべての教育は)10年後、20年後の未来にかかわってくる問題です。ですので臨床現場にいる医師も学生(病院実習)の教育を何とかして行おうとしております。しかし、現実的に朝早く(私は7時半から学生と一緒に1時間~1時間半患者さんの回診をしておりました)や夜遅くにしか面倒を見ることができませんでした。教授や講師たちも夜7時くらいから学生に教育をしたりしております。

 

過去に2年間ほかの大学の医局にもお世話になっておりました。大学の臨床も教育も研究もしておりましたが、収入は一般病院の医師よりもかなり低くバイトをされていました。もし、バイトをしなければ教育も研究もできるだろう…と考えられるかもしれませんが、同じ資格で同レベル能力を持った人間が「半分以下」の給与でより多くの仕事をやれ・・・というのは「聖職者」「奉仕」を強要しているように思います

 

僕は以前から「大学病院の待遇改善」は一つのやるべきことであると思っています。それと同時に医局の教育システムを変えるべきだと思っています。

大学病院の待遇改善が行われ、教育体制などの確立ができて初めて、大学医学部の定員拡充ができるようになり、それらの卒業生が増えていく頃に「医学部新設ができるようになるのではないか」と考えています

 

現時点では医学部の新設は現実的には難しいと思います。今でもバランスが悪いところに、それを行うためにさらに大きな「ひずみ」が生じ、足元から崩れていくかもしれません。

他にもさまざまな考えを持っておりますが、この件に関してはまず第一に「大学医学部の待遇改善」を通して、教員数を増やし教育や研究にも力を注げるようにしてください。そのうえで医学部の定員を増やしてください。

 

これをやり遂げて卒業生が出るころには「医学部の新設がさらに必要か」は見極めることができるようになっていると思います

 

意見を提出させていただき、ありがとうございました。教育は日本の未来にかかわる大きな問題です。皆様が日本の教育をよりよくできるように、国民の一人として協力できればと思っております。

では失礼いたします。

 

と、まぁこんな感じで送ってみました。

 

いいか悪いかはわかりませんが、一応行動しようと思いました。

 

皆さんはどう思いますか?

 

 

ちなみにパブリックコメント案内(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000554&Mode=0)、意見募集案内(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/043/sonota/1314230.htm)です。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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それでは、また。

 

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いいことだと思います。 (ゆみこ)
2011-12-24 19:47:01
今までBlogで伝えてきた事を、まとめて意見として上手く伝えられたのではないかと思いますよ。

現場からの意見が多く活かされるといいですね。

お疲れさまでした。

それにしても、うちの県はかなり医師不足だったとは(;^_^A
返信する
現場の意見が大事 (アンフェタミン)
2011-12-25 08:21:57
>ゆみこさん
おはようございます。コメントありがとうございます

行動しなくては意味がないと思い、とりあえず「小さな」行動をしてみました。
医師不足であれば埼玉県はどこにも負けませんw

誇れる内容ではないですけど

また、コメントいただければと存じます
返信する
コメント書きすぎましたが… (ゆみこ)
2011-12-25 22:18:38
とりあえずの小さな行動だとしても、水面に落ちる一滴の水のように波紋を描くかも知れませんよ。
というより、期待したいところですね。

公募に意見を提出するのは、わりかし一歩を踏み出しにくいものです。


あー、さっき書こうか迷いましたが、書いちゃえ(笑)実は、な~んとな~く先生の私生活が進展しそうな気がしてたんですよ。だって、最近の先生は結婚って書きすぎだったものね~(笑)
先生の彼女さんにも、謝って置かないとね。コメントで先生を度々おちょくってしまい、申し訳ございませんでした。幸せだと思いますが、もっと幸せにしてもらってくださいね。
では、お幸せに~!!
返信する
千里の道も一歩から (アンフェタミン)
2011-12-26 22:23:41
>ゆみこさん
こんばんは、コメントありがとうございます

小さなことですが将来の大きな一歩になったらよいなぁ…と思います。まぁ、継続して何かをやっていかなくてはならないのでしょうけど

結婚という言葉、そんなに使ってましたかねw
う~ん、まぁそろそろ…とは考えていましたが…。
幸せになるように努めます

また、コメントいただければと存じます
返信する

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