こんにちは。
現在、造血幹細胞移植学会に参加するため、新幹線で神戸に向かい移動中です。
神戸に行くからではありませんが、途中の読み物として、長尾和宏先生の「抗がん剤 10のやめどき」という本を読みながら移動中です。
近藤医師の本と異なり、購入して読む価値があると思いました。なかなか参考になると感じました。
僕は年は若いのですが、何故か緩和ケア的な事をする機会も多く、似たような経験もいろいろしております。
ただ、血液内科という分野ではここの記載と異なる考えで動いています。
例えば悪性リンパ腫に対するCHOP±Rという治療は標準治療です。これより強い治療はありますが、この治療で治る人がそれなりに多いため、再発時に行う治療法と差がつきません。
ですので、悪性リンパ腫の再発であればより強い治療を行い、自家末梢血幹細胞移植を行い治癒を狙います。
まあ、そういうことでどういった患者さんに標準治療より強い治療を最初から実施した方が良いかというのも研究されています。
そういえば解析して気がつきましたが、うちの大学、年間100人近くリンパ腫来るのに再発少ないから、自家移植の件数少ない気がする。あと高齢者が多いからか。
話を戻しますと、本の中でファーストラインよりもセカンド以降の方が根拠が少なく、抗がん剤を止めるのを検討するというのは、少なくとも70歳以下の血液疾患の患者さんには当てはまらないかもしれません。
もちろん、個人個人によりますが。
あと、治療スケジュールを多少広げても構わないという内容があります。
これに関しては継続可能でなくてはいけませんが、完治を目指す治療ではスケジュール通りがよいです。
リンパ腫でもスケジュール通りに行えなかった場合の治癒率の低下は論文にもされています。
確かに緩和的に行う場合、個人個人によって治療の仕方を変えます。
昨日も、リンパ腫に対して内服治療を行っている再発した高齢のリンパ腫の(まあ、すごく良い感じに改善して、自宅に帰って更に元気になられたようですが)方に、
「これ以上は増やせないかな。もしかすると内服が続けられるように、1日か2日、抗がん剤の内服期間を減らして、休薬期間を延ばす方がよいかも」
と、言ったりしています。
ここら辺の微調整は結構得意かもしれません(^^;;
長尾先生の本は非常に参考になると思いますが、やはり全てに適応できるわけではないと思います。
ただ、抗がん剤のやめ時は非常に重要です。血液疾患でもあてはまると思います。
カンファレンスで
「医者の自己満で抗がん剤を適当に続けるな!引き際考えろ!」
と、後輩を怒鳴ったこともあります
(続けたわけではなく、サードラインも全く効かず、SDにもならなかった時に更に何か治療をしたいと言った時の話です。患者さんの治したいという気持ちに寄り添ってはいるのかもしれませんが、逆に専門家はメリットとデメリットをきちんとしめさないといけませんので)
あー、ある先輩ドクターから「言い方考えろ」と言われそうだ。声が聞こえてきそうだ>_<
携帯からの更新のため、これで終わります。
もうすぐ京都です。さあ、学会頑張ろう
現在、造血幹細胞移植学会に参加するため、新幹線で神戸に向かい移動中です。
神戸に行くからではありませんが、途中の読み物として、長尾和宏先生の「抗がん剤 10のやめどき」という本を読みながら移動中です。
近藤医師の本と異なり、購入して読む価値があると思いました。なかなか参考になると感じました。
僕は年は若いのですが、何故か緩和ケア的な事をする機会も多く、似たような経験もいろいろしております。
ただ、血液内科という分野ではここの記載と異なる考えで動いています。
例えば悪性リンパ腫に対するCHOP±Rという治療は標準治療です。これより強い治療はありますが、この治療で治る人がそれなりに多いため、再発時に行う治療法と差がつきません。
ですので、悪性リンパ腫の再発であればより強い治療を行い、自家末梢血幹細胞移植を行い治癒を狙います。
まあ、そういうことでどういった患者さんに標準治療より強い治療を最初から実施した方が良いかというのも研究されています。
そういえば解析して気がつきましたが、うちの大学、年間100人近くリンパ腫来るのに再発少ないから、自家移植の件数少ない気がする。あと高齢者が多いからか。
話を戻しますと、本の中でファーストラインよりもセカンド以降の方が根拠が少なく、抗がん剤を止めるのを検討するというのは、少なくとも70歳以下の血液疾患の患者さんには当てはまらないかもしれません。
もちろん、個人個人によりますが。
あと、治療スケジュールを多少広げても構わないという内容があります。
これに関しては継続可能でなくてはいけませんが、完治を目指す治療ではスケジュール通りがよいです。
リンパ腫でもスケジュール通りに行えなかった場合の治癒率の低下は論文にもされています。
確かに緩和的に行う場合、個人個人によって治療の仕方を変えます。
昨日も、リンパ腫に対して内服治療を行っている再発した高齢のリンパ腫の(まあ、すごく良い感じに改善して、自宅に帰って更に元気になられたようですが)方に、
「これ以上は増やせないかな。もしかすると内服が続けられるように、1日か2日、抗がん剤の内服期間を減らして、休薬期間を延ばす方がよいかも」
と、言ったりしています。
ここら辺の微調整は結構得意かもしれません(^^;;
長尾先生の本は非常に参考になると思いますが、やはり全てに適応できるわけではないと思います。
ただ、抗がん剤のやめ時は非常に重要です。血液疾患でもあてはまると思います。
カンファレンスで
「医者の自己満で抗がん剤を適当に続けるな!引き際考えろ!」
と、後輩を怒鳴ったこともあります
(続けたわけではなく、サードラインも全く効かず、SDにもならなかった時に更に何か治療をしたいと言った時の話です。患者さんの治したいという気持ちに寄り添ってはいるのかもしれませんが、逆に専門家はメリットとデメリットをきちんとしめさないといけませんので)
あー、ある先輩ドクターから「言い方考えろ」と言われそうだ。声が聞こえてきそうだ>_<
携帯からの更新のため、これで終わります。
もうすぐ京都です。さあ、学会頑張ろう
突然すみません。
主人が多発性骨髄腫です。
発病したのが昨年の4月。
ベルケイドとレナデックスで寛解導入し、11月に移植。
月一回の通院でしたが、2月くらいからIggが上昇。フリーライトもこの度3になりました。
移植前より悪くなりました。
来週マルクをするそうです。
移植の意味はあったのでしょうか?
まだ移植後は何も治療していません。
これからベルケイドの予定です。
こんなに早く再発するのでしょうか?
移植は失敗だったのでしょうか?
疑問だらけです。
主人はIggk型です。
こんばんは、コメントありがとうございます
検査の実際を見ていませんので、何とも申し上げにくいのですが、ベルケイド+デカドロンで寛解導入を行った後に11月に移植をされて、移植評価を3か月後に(これはこの時期に行うことになっています)行ったということですね。移植後3か月以内に動き出すことは珍しいです。古いところでは自家移植後の維持療法は3か月経過後から開始でしたし。今も移植の評価が3か月後(IgGは半減期:半分になるまでの時間、が21日なので間があかないと消えません。それ故、間をあけてしっかり評価します)。それがすぐ治療を行わなかった理由です。もしかしたら消えているのに治療を行った、その結果、副作用がおきるかもしれません。
治療後の評価についてです。
まず、IgGが上昇したのが腫瘍が抑制されて、よいやつが増えてきたのか、腫瘍由来が増えているのかが重要です。他のIgAなどの値はどうですか?
それらも増えているならば正常なものが回復しているかもしれません。
FLCがありますのでCRにはなっていないのかもしれませんが、何とも言えません。
移植の意味があったかどうか。これも全体が見えないので何とも言えません。
移植後の早期再燃(完全寛解:CRになっていないので、再発とは言わないです)の方もひとりだけ経験しました。そういう状況かもわからないです。
ベルケイドの効果にもよりますが、今後ベルケイド+レブラミド+デカドロン(VRD療法)やもうすぐ出てくるであろうポマリドマイドなどを使用することになるかもしれません。
移植の評価に関しては主治医の先生に伺ってみてください。ここに書かれている情報だけでは、何とも言えないのでしっかり確認してくださいと、お伝えしたいと思います。
また、コメントいただければと存じます
最近再発の兆候がみられ、治療を考えています。本人は元気、多分次回も効かなくなって止めたわけでないベルケイドだと思います。副作用の下痢をどのようにして対処したらよいか?また十全大補湯と何か併用してバックアップ出来る漢方を教えていただきたいです。今現在バラクルート?帯状疱疹の藥と肝炎ウイルスの藥を飲んでいます。
レブラミドの服用で骨髄異形性症候群になりかけているとも言われていました。今は落ち着いています。igGが増えてきていますが、今まで腎機能も正常で骨病変もありません。長々と申し訳ありません。先生にお伺いしたことを、素人の私が偉そうに主治医に意見するようなことには使いません。何かもし今回もうまく病気を静めたい思いです。
よろしくお願いいたします。
こんばんは、コメントありがとうございます。
ベルケイドでお母様が寛解に入ったというのは素晴らしいことだと思います。ベルケイドを使用する際に帯状疱疹の予防を行うことと、B型肝炎の既感染者がバラクルードを飲むのは一般的です。
現在、再発の兆候があるということですが、おそらく昔であれば兆候を読み取ることもできないレベルを見ているような気がします。
そういう意味では慌てる必要はないと思います。
ベルケイドの副作用がどの程度あったか、そしてベルケイドで寛解に入ってどれだけの期間があったかがベルケイドで治療を行うかどうかのポイントになります。
恐らくですが、近々新薬が登場します。状況によってはそちらも選択肢になるかと思います。
漢方薬は生薬の複合で、複数の薬を混ぜると違う漢方薬の効果になったりします。ですので、二つの漢方薬の内服時間は分けたほうが良いと思います。
下痢はどのような下痢が何回くらい出ましたか?
腹痛を伴いますか?水様便(水みたいなシャーシャーの下痢)ですか?冷え性に近いタイプでしょうか?
いろいろ漢方薬にもタイプがあります。十全大補湯は悪性腫瘍のある方は比較的使用しやすい漢方薬なので、選びやすいのですが、下痢に対してというのはいくつか手を考えなくてはいけないかもしれません。
あとは考えないでいうなら、僕は五苓散を自分には使用します。ただ、下痢に対してというよりは脱水防止という観点かもしれません。
下痢に対してのアドバイスはしにくいのですが(ふつうに止痢剤+整腸剤の組み合わせでまず試すと思います)、病気との付き合い方としては今しかけるべきかどうか、そして今後出てくるであろう新薬も念頭に入れてという感じだと思います。
また、コメントいただければと存じます
ありがとうございます。というありきたりの言葉しかかけませんが本当に心の底から有難いと思っています。
3月31日にマルクの検査が入りました。そこでどうなっているか?はっきりすると考えますので、またその後すぐご相談の書き込みをさせていただきたいと思います。
今色々考えても方向が変わると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
こんばんは、コメントありがとうございます。
数年前に比較して、骨髄腫の治療はかなり発展してきています。そしてこれからも発展していく方向です。
あとは骨髄だけではあまり方向性ははっきりしないかもしれません。骨髄腫はその名前の通りで「骨髄」に腫瘤を作っています。そこにどんぴしゃりで針を刺せば、腫瘍細胞は99%とかになります。
むしろ、FISH法の検査結果などが気になりますが・・・
お困りであればいつでもコメントをいただければと存じます。(すぐに返事できないかもしれませんが)