新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

アザシチジン(ビダーザ)の話

2013-03-11 21:38:18 | 医学系

こんばんは

 

昨日は当大学の卒業パーティがありまして、二次会から参加してきました。二次会といっても各診療科ごとにやっているわけですが、血液内科は6年生3名と5年生2名が来てくれて、それなりに盛り上がっておりました。

 

血液内科の若手が少ないというのは事実ですが、最近うちの大学(血液内科)はコンスタントに人が増えていて、第二次黄金期に向かっているのかもしれません

 

まぁ、そうなるといいなぁと思っています。

 

さて、ずいぶん昔に「アザシチジンで困る・・・」という記事を書きました。

実際に保険適応がしっかりあって・・・ある意味エビデンス(根拠)がしっかりしている治療薬は他にないですよね(実はエビデンスではタンパク同化ステロイドやビタミンDやビタミンKよりも免疫抑制療法のほうがありますが、日本では保険適応はないし)。

 

アザシチジンについては昔も書いたような気がしますが「高リスクの骨髄異形成症候群(MDS)」に対して使用する薬剤です。高リスクというのはIPSSという分類法でInt-2、High riskに分類される患者さんたちで、生存期間中央値(50%の患者さんがなくなる期間)が診断されてInt-2が1.2年、Highが0.4年です。

 

これらの患者さんたちに対し、それまでの一般的に行われてきた治療法では15か月で半分の患者さんがなくなりましたが、アザシチジンのグループは24.5ヶ月と明らかな生存期間の延長を認めました。

それ以来、高リスクのMDSの標準治療とされています。

 

最近、低リスクにもアザシチジンを使用する臨床試験などもやっている施設があるようですが、今のところは様子見をしたいところですね。理由は何もしなくても生存期間中央値が5.7年(low)、3.5年(int-1)はある低リスクMDSの患者さんたちにアザシチジンを使用して、有害事象が多くなると嫌だからです。例えば成おzン中央値が10年以上になった…というなら考えます。あとは輸血依存がほとんどないならば考えますが、有害事象がない薬ではないので二の足を踏みますね。

治療というのはメリットがデメリットを大きく上回るからこそ行います。抗癌剤治療の類や手術、放射線治療などすべてそうです。体に少なからずダメージがいきますので、それを超える効果がないといけません。

ですので、メリットが確実に出るだろうと思う「高リスク」群はともかく、低リスクに使用する根拠はまだないですし…。低リスクでも特殊な状況(輸血依存で、それをどうにかすることが大きく患者さんのメリットになるなど)なら、メリットがデメリットを上回ると思いますが。

 

さて、アザシチジン。学生さんには説明するときにはこんな風に言っています。

「アザシチジンは脱メチル化薬と言われる仲間なんだけど、どういう薬かわかりますか?」

だいたい・・みんなよくわからないといいます。

 

簡単に書きますが脱メチル化…というのにはこういう意味があります。

「遺伝子」というもののなかに「がん遺伝子」と「がん抑制遺伝子」というものがあります。

 

「がん遺伝子」というのは増殖を高めるようなものが多く、「増えろ~。増えろ~」と命令してきます。

 

がん抑制遺伝子は「あれ、これはおかしいぞ。増殖ストップ」とか「あぁ、もうこのままではがん化して、皆に悪い影響を与えてしまう。そうなる前に死んでしまおう」など…どうにかしてがん化を起こさせなようにするグループです。

 

そりゃそうだろうといわれると・・・こまるのですがw 

 

メチル化…というのは遺伝子に「メチル基」というのが引っ付いたときに、うまくその遺伝子は働けなくなります。そういうのをエピジェネティックな異常…とかって言いますが、要はメチル基を取り除けば「がん抑制遺伝子が復活!」ということになるわけです。

 

骨髄異形成症候群やそこから進展した白血病などは「増殖がゆっくり」であることが多いです。どちらかというと異常な細胞が死ななくなったようなグループが多いので。

がん遺伝子…の異常というよりは「がん抑制遺伝子」の異常のような感じがしませんか?

 

まぁ、実際に調べてみるとMDSの細胞では、がん抑制遺伝子のCpGアイランドと呼ばれる領域にメチル化が起きていることがわかってきて、アザシチジンを使うようになったわけです。

 

すなわちアザシチジンの狙いは「メチル化によって機能しなくなったがん抑制遺伝子を復活させること」です

 

他にも殺細胞効果があったり・・・もしかするとBloodなどの有名な雑誌には出ていますが、骨髄移植後に使用するとGVL効果を高めGVHDを減らす(要するにいいことばっかり)とかいうデータも出てきています。

 

まぁ、アメリカのほうで治験が動いているみたいですが。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また。

 

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アプリでブログ

2013-03-07 10:49:03 | Weblog
こんにちは

今、新幹線のなかです。金沢まで移動中にアプリをみていたら、Gooのブログアプリがあったので使ってみました。

新幹線で越後湯沢に行き、そこから特急で金沢に行きます。

16時からのワーキンググループ成果発表会を聞き、今日も宴会の予定です



いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします





それでは、また。
うまくかけていたら移動中にもう一つ書いてみます

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

造血幹細胞移植学会へ:金沢に行ってきます

2013-03-07 08:32:34 | 医療

おはようございます

 

明日から造血幹細胞移植学会が始まります。今日の16時からあるワーキンググループの報告会を聞こうと思っているので、今から金沢に向け移動を開始します。

 

骨髄移植をより副作用を少なく、より免疫反応をはじめとした抗腫瘍効果を高めるかが重要ですが・・・そういう一助になる方法がないかと(まぁ、一つ考えていることはあるのですけど)思っている次第です。

 

まぁ、今回は新しくできる「造血幹細胞移植専門医」の取得に必要なセミナーに参加するのが一番の目的ですが・・・。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

仕事も遊びも・・・

2013-03-04 22:25:36 | Weblog

こんばんは

 

2月末はJALSGの研修会で「研究倫理」などの話を聞き、大変勉強になりました。研究をするような立場になったので、本当に参考になりました。

血液腫瘍シンポジウムも面白かったのですが、JALSGの研修会のほうが参考になったような気がします。けどハプロ移植(兵庫医大、小川先生)の話は面白かった。

 

先週は臨床関係のデータ整理を中心に仕事を行い(基礎研究は試薬待ち)、金曜日の院内CPCの準備をして過ごしました。院内CPCというのは病理解剖を行われた患者さんから得られた教訓事項や経験をみんなで共有するような場所だと思ってください。

その後、陸上部の追いコンに参加し、さらに土日は草津に温泉+スキーに行きと…まぁそれなりに充実した毎日を送っておりました。

 

明日も北海道人会追いコンなんですけど…(飲み会が多い)

 

今週は木曜日からは金沢へ移動し、造血幹細胞移植学会に参加する予定です。ここでの一番の目的はもうすぐ始まる造血幹細胞移植専門医に必要なセミナーを受講することですね。向こうで飲み会も予定されておりますが・・・。

 

そんな飲み会の多い毎日を過ごしております。飲み会も仕事も楽しくて、充実した毎日を送っております・・・。

 

まぁ、そう思っていることができるだけよい人生ということだと・・・・。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする