ひさびさにフランス医療ネタに行きます。
さて、フランスと日本医療の違いの大きなひとつは
国民総生産GNPに対して、医療費に使われる税金の率が
低いということです。
毎月払う社会・国民保険料と診察時に払う負担分が診療費全体の
45%におよぶらしく、国庫、企業、地方負担金
が欧州の諸外国に比べると低いらしいのです。
日本では、公共事業費に投資される金額が、医療費に投資される
額の3倍だとかで、国の関心が国民の健康を維持することよりも
経済の発展、維持に向けられていることが、わかりますね。
こういう言い方は、きつい言い方なのかもしれませんが、
病人は働けないわけですから、必然的に生産性がなかったり、
あるいは劣っていたりするわけでして、生産性がある人をプラスと
みるなら、病人はマイナスな存在なわけです。
で、治療はマイナスをゼロ以上に持ち上げる手段ですから、結果的に
生産性を助けることになるのですが、それよりも確実にゼロをプラスに
転換してくれる可能性の高い『事業』にお金を投資しましょうという
考えかたが背後にあるのかなぁと思うわけです。
基本的に国が経済力を失ったら、沈み行く船になってしまうのですから
そういう考えもありかとは思いますけれども、
でも、以前 WHO(世界保健機構)で優良医療システム3位の地位を獲得してた
日本なわけでして(2000年時では10位です)
地位が落ちた要因は、医療費の個人負担率が2割負担から3割負担に
移行したときに、公的資金の医療費に使われる割合が減ったことが原因で、
その地位を失ってしまったようです。
超高齢化社会に突入する前に、国庫の医療費負担分を減らしておこう
なんて政府は考えたのでしょうな。
そういう点が、日本のシステムの悪いところみたいです。
さて、医者の分類についてですが、フランスはオーストラリア同様に
完全保険医、一部自由報酬医、無保険医との3段階にわかれているらしく
これは、医者の技量によって、より高い医療費を出せば、より腕のいい
お医者さんに診てもらえるというシステムですね。
これって日本人の感覚からしたら「お金のある人が、腕のいい医者に
みてもらえて、そうでない人はだめってことなの?」という
ある種の不公平感を感じさせるものですが、自由競争における差別化という
のは、市場原理からみたばあい避けられないものなのでしょうか。
いっぱい勉強して、技術を磨いた人は、たくさんお金をいただける
ということですね。要するに。
でも、フランスの偉いところは、高額の医療費を請求する一部自由報酬医
および無保険医の数を制限しているということですね。
そこに国家として平等性を極力維持しようという姿勢がみてとれます。
患者、医者双方に対する平等性です。
こうすることで、医療全体のレベルを低下させないようにしようという
試みもあるかと思います。
どんなに頑張って高度の医療技術を得たとしても、報酬が一緒なら
遭えてそういう努力はしても意味がないなんて、思うお医者さんも
でてくるかもしれませんからね。
でも、いいお医者さんには、たくさん患者が来るという理屈で考えれば
一生懸命学ぶことは無意味にはならないとはおもいますけど。
それから、フランスは医療保険負担分が日本よりも細分化されている
ようです。
日本は「一律3割負担」が原則かとおもいます。
が、フランスは
医療 70%
補助的医療(看護婦など補助的な立場にある人から受ける治療)60%
歯科(治療・義歯) 70%
医薬品 35%~100%
入院 80%
手術 70%
となっているようです。
入院など重篤で長期にわたる場合の負担減を考慮しての80%かなと
思います。
こうみると、国家の基本的な考え方が弱者救済の視点にあることが
数字的に現れていると思います。
さて、他にユニークだなと思った点がひとつ。
お医者さんには非常に権威があるということです。
ある人が風邪で病院にいったとします。
で、診察のあとお医者さんがとった行為は
「風邪なので、寝ていれば治ります。ので、2日間の労働停止命令を
だしますので、自宅で休んでください。それでも治らなかった
場合は再度診察にきてください。必要に応じて延長命令をだします。」
とのこと。
で、お医者さんが職場に提出するための手紙を発行してくれるそうです。
これ、面白いと思います。
会社や職場に気兼ねなく堂々と休めるって、素敵だと思いませんか?
『仕事があるから休めない』なんて、とてもまじめな日本人だからこそ
こういうシステムがあったらいいのに、と思うのは私だけですかね?
続く
さて、フランスと日本医療の違いの大きなひとつは
国民総生産GNPに対して、医療費に使われる税金の率が
低いということです。
毎月払う社会・国民保険料と診察時に払う負担分が診療費全体の
45%におよぶらしく、国庫、企業、地方負担金
が欧州の諸外国に比べると低いらしいのです。
日本では、公共事業費に投資される金額が、医療費に投資される
額の3倍だとかで、国の関心が国民の健康を維持することよりも
経済の発展、維持に向けられていることが、わかりますね。
こういう言い方は、きつい言い方なのかもしれませんが、
病人は働けないわけですから、必然的に生産性がなかったり、
あるいは劣っていたりするわけでして、生産性がある人をプラスと
みるなら、病人はマイナスな存在なわけです。
で、治療はマイナスをゼロ以上に持ち上げる手段ですから、結果的に
生産性を助けることになるのですが、それよりも確実にゼロをプラスに
転換してくれる可能性の高い『事業』にお金を投資しましょうという
考えかたが背後にあるのかなぁと思うわけです。
基本的に国が経済力を失ったら、沈み行く船になってしまうのですから
そういう考えもありかとは思いますけれども、
でも、以前 WHO(世界保健機構)で優良医療システム3位の地位を獲得してた
日本なわけでして(2000年時では10位です)
地位が落ちた要因は、医療費の個人負担率が2割負担から3割負担に
移行したときに、公的資金の医療費に使われる割合が減ったことが原因で、
その地位を失ってしまったようです。
超高齢化社会に突入する前に、国庫の医療費負担分を減らしておこう
なんて政府は考えたのでしょうな。
そういう点が、日本のシステムの悪いところみたいです。
さて、医者の分類についてですが、フランスはオーストラリア同様に
完全保険医、一部自由報酬医、無保険医との3段階にわかれているらしく
これは、医者の技量によって、より高い医療費を出せば、より腕のいい
お医者さんに診てもらえるというシステムですね。
これって日本人の感覚からしたら「お金のある人が、腕のいい医者に
みてもらえて、そうでない人はだめってことなの?」という
ある種の不公平感を感じさせるものですが、自由競争における差別化という
のは、市場原理からみたばあい避けられないものなのでしょうか。
いっぱい勉強して、技術を磨いた人は、たくさんお金をいただける
ということですね。要するに。
でも、フランスの偉いところは、高額の医療費を請求する一部自由報酬医
および無保険医の数を制限しているということですね。
そこに国家として平等性を極力維持しようという姿勢がみてとれます。
患者、医者双方に対する平等性です。
こうすることで、医療全体のレベルを低下させないようにしようという
試みもあるかと思います。
どんなに頑張って高度の医療技術を得たとしても、報酬が一緒なら
遭えてそういう努力はしても意味がないなんて、思うお医者さんも
でてくるかもしれませんからね。
でも、いいお医者さんには、たくさん患者が来るという理屈で考えれば
一生懸命学ぶことは無意味にはならないとはおもいますけど。
それから、フランスは医療保険負担分が日本よりも細分化されている
ようです。
日本は「一律3割負担」が原則かとおもいます。
が、フランスは
医療 70%
補助的医療(看護婦など補助的な立場にある人から受ける治療)60%
歯科(治療・義歯) 70%
医薬品 35%~100%
入院 80%
手術 70%
となっているようです。
入院など重篤で長期にわたる場合の負担減を考慮しての80%かなと
思います。
こうみると、国家の基本的な考え方が弱者救済の視点にあることが
数字的に現れていると思います。
さて、他にユニークだなと思った点がひとつ。
お医者さんには非常に権威があるということです。
ある人が風邪で病院にいったとします。
で、診察のあとお医者さんがとった行為は
「風邪なので、寝ていれば治ります。ので、2日間の労働停止命令を
だしますので、自宅で休んでください。それでも治らなかった
場合は再度診察にきてください。必要に応じて延長命令をだします。」
とのこと。
で、お医者さんが職場に提出するための手紙を発行してくれるそうです。
これ、面白いと思います。
会社や職場に気兼ねなく堂々と休めるって、素敵だと思いませんか?
『仕事があるから休めない』なんて、とてもまじめな日本人だからこそ
こういうシステムがあったらいいのに、と思うのは私だけですかね?
続く