「虎に翼」の朝鮮人放火事件で、証拠として出された手紙の一部にひっかかりを覚えた寅子は、まず裁判所事務員の小野(朝鮮語が少しできる)に、つづいて東京に住むかつての同級生の香淑に、朝鮮語の表現について尋ねます。その結果、検察が提出した日本語訳が間違っていることがわかりました。내가 몹시 속을 태운 탓에 네가 내 걱정도 많이 했을 터이다.私が中を完全に燃やしてしまったせいで心配をかけただろう。 こ . . . 本文を読む
朝ドラ「虎に翼」で、在日朝鮮人の裁判が進行中です。 在日朝鮮人の兄弟が経営するスマートボール場が火事になり、兄が放火の疑いをかけられているのです。少し前に、火災保険をかけていたことから、詐欺の容疑もあります。 本人たちは否認していますが、検察は状況証拠から追及します。 そして、公判で新たな証拠が出てきました。 拘置所から弟に送った、兄の手紙が弟の家から押収されたのです。 そこには、「私が中を完全 . . . 本文を読む
朝ドラ「虎に翼」で、寅子の大学時代の同級生、没落華族の涼子さまが再登場しています。 これですべての同級生と再会を果たしたことになりますね。 本日の放映分では、涼子が新潟でしている喫茶店、Lighthouseに寅子が訪れる場面でした。 別れ際、涼子が言いました。「今日はとっても楽しゅうございました」 元華族らしい、上品な言い回しですね。 没落した上流階級と言えば、以前、太宰治の作品に言及したことが . . . 本文を読む
写真:「虎に翼」の一場面(NHKより)「虎に翼」で、国際結婚した夫婦とその息子の、親権をめぐるトラブルが取り上げられていました。「自分が親権をもちたい」という争いではなく、両親ともに「親権をもちたくない」というトラブルであるところが特殊です。 父親は元外交官、母親は父親の任地で知り合ったフランス人。息子は日仏の混血児(今の言葉でいえばハーフ、ダブル)で、小学生のときに両親とともに来日。最初は日本語 . . . 本文を読む
写真:大庭家の遺産分割協議(NHKより) 二週間前の放映分ですが、「虎に翼」で、寅子の大学時代の同級生がまたまた再登場しました。 大庭梅子です。 梅子は、夫の死去にともなう遺産相続で家族がもめ、家庭裁判所に調停を求めてきたのですね。 大庭家の遺家族は5人。梅子と息子3人、それに義母です。 戦前の民法では、戸主が死んだ場合、遺産は家督とともに長男が一人ですべてを相続することになっていました。 戦後の . . . 本文を読む
朝ドラ「虎に翼」で終戦直後の日本の孤児たちの姿を見て、韓国の『ユンボギの日記』という本を思い出しました。 私が韓国関係の仕事を始めた1990年代初め、日本で雇ったアルバイトの韓国人留学生のなかに、尹福姫(ユン・ボキ)という女性がいました。彼女が入ったとき、前からいた留学生が「ユンボキ!」と言って囃し立てました。 事情を聞くと、韓国で『ユンボギの日記』という映画があって、その主人公と名前が似ている . . . 本文を読む
写真:韓国から孤児を養子にする米国人(韓国日報) 朝ドラ「虎に翼」で、家庭裁判所判事補になった寅子が、家庭局の同僚と孤児の多い上野の現場視察に行ったとき、小橋が浮浪児に財布をすられます。スリの親分が、やはり戦争孤児の道男。捕まった道男が小橋につっかかります。「とっつかまえたけりゃ好きにしろよ。トラックにでも押し込んで、売っ払えばいい。またすぐ逃げ出すだけだ」 戦争孤児などの浮浪児を捕まえて施設(孤 . . . 本文を読む
写真:ソウル家庭法院(家庭裁判所) 朝ドラ「虎に翼」で、日本の家庭裁判所の産みの苦しみを知りました。GHQの意向もあったのでしょうが、日本の街角にあふれていた戦争孤児のケアもそのきっかけの一つになったということも。 太平洋戦争終了時、韓国に戦争孤児はいなかった。韓国で戦争孤児が大問題になるのは、朝鮮戦争(韓国では韓国戦争と呼ぶ)のときです。 このときの戦争孤児は12万人と言われます。 韓国にも、日 . . . 本文を読む
写真:朝鮮総督府 朝ドラ、「虎に翼」で、寅子の同級生に崔香淑(サイ・コウシュク/チェ・ヒャンスク)という朝鮮半島出身の女性が登場します。 もともと兄の勧めで来日、その兄が一足先に朝鮮半島に戻り、高等試験(司法試験)の直前に、香淑も帰って行きました。 もう出てこないのかと思っていたら、戦後に再登場。 寅子が働く家庭裁判所設立準備室のメンバーの一人、汐見圭の奥さんになっていたのです。 どういう経緯かと . . . 本文を読む
写真:再会した山田よねと轟太一 虎子の明律大学の同級生の中で、ひときわ異彩を放っていた山田よねは、東京大空襲で死んだのではないかと思われていましたが、生き延びていました。 彼女の男装姿は(もしかしてトランスジェンダー)と思わせます。 実際は、姉が女郎屋に売られ、自分も売られかかったという経験をして、「女を捨てる」決心をしたということが語られているので、性的指向とは関係がないのかもしれません。「虎に . . . 本文を読む
朝ドラ「虎に翼」で、寅子の大学時代の同級生、花岡が死にました。 花岡は東京地裁で、闇米などの経済犯を裁いていた。終戦直後は極度の食糧不足。配給米は少なすぎ、人々は闇米を買うことで食いつないでいたが、闇米を裁く立場の自分が闇米を食べるわけにはいかないと言って口にせず、その結果餓死したということです。 この事件にはモデルがあります。 1947年に餓死した山口良忠判事。『デイリー新潮』に記事があります . . . 本文を読む
写真:1982年刊『日本国憲法』(小学館) 朝ドラ「虎に翼」で、主人公の寅子は、戦後まもなく発布された「日本国憲法」に感動し、再び法曹界に戻る決心をしました。 寅子がくり返し読み返すのが、第14条第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 ドラマの中では、特に「性別によって差別されない」という部分に . . . 本文を読む
写真:東北帝国大学法文学部 二つ前の記事で、『帝国大学の朝鮮人―大韓民国エリートの起源』(鄭鍾賢著、渡辺直紀訳、慶応義塾大学出版会、2021年)という本を紹介しました。 その中に、戦前、内地の帝国大学を卒業した女性についての記述がありましたので、以下に紹介します。 1926年、現在のソウルに京城帝国大学(京城は植民地時代のソウルの名称)が開校しましたが、当時、日本には東京、京都、東北(仙台)、九州 . . . 本文を読む
写真:「虎に翼」の佐田優三と寅子 今日(5月21日)の朝ドラ「虎に翼」で、寅子の夫、佐田優三が「弁護士になったらやりたかったこと」として、「法律の本を出したかった。僕が法律を学ぶ楽しさを知ったように、誰かにも伝えられたらなって」という台詞がありました。(法律を学ぶ楽しさ?)「法律を学ぶことが楽しい」というのは、ピンときません。 学生時代を振り返ると、中学・高校で、自然科学や歴史は面白いと感じました . . . 本文を読む
朝ドラ、「虎に翼」で、主人公猪爪寅子の明律大学の同級生に、崔香淑(さい・こうしゅく/チェ・ヒャンスク)という朝鮮半島出身の女性が出てきます。 モデルになった三淵嘉子の明治大学の同級生に朝鮮半島出身の女性がいたという情報はないので、おそらく架空の人物。 ドラマの中で彼女は、女性として、また朝鮮人として二重の差別を受けたことになっています。 NHKのホームページによれば、崔香淑は、「朝鮮半島からの留 . . . 本文を読む