犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

虫について

2009-02-25 00:04:50 | バンコク便り
 またタイに行ってきました。

 出発の直前,日本は急に暖かくなったり寒くなったり(三寒四温?)で,ちょっと風邪気味。出張中に悪化してはならじと,風邪薬,のど飴を持参でタイに乗り込みました。

 タイは気温30度。しかし,事務所やホテルはクーラーがガンガン効いている。

 案の定,風邪が悪化しました。のど飴も二日目にして舐めつくす。

「タイにものど飴ってあるよね」

「ええ,ありますよ」

「お菓子っぽいのじゃなくて,薬用がいいんだけど」

「じゃ,薬屋さんに行きましょう」

 タイ語で薬はヤー

 韓国語のヤク同様,「」という漢字語が語源のようです。

「タイの伝統的なのど飴もあるんですよ」

「へぇ,じゃそれにします」

 さっそく取り出してみると,直径3ミリぐらいの黒ずんだ金色の小粒です。タイ風仁丹といったところでしょうか。

 口に含むと苦酸っぱい味とともに,漢方薬的な異臭が漂います。

(良薬口に苦しっていうからな。こりゃ効きそうだぞ)

 ケースには,当たり前ですがタイ文字が並んでいる。いちおう文字と発音の規則だけはマスターしたので読んでみる。

「タカープハアトゥア」

 ハアは5,トゥアは匹。

(タカープ5匹か)

「タカープってなんですか」

「ああ,あれ日本語でなんだっけ。足がたくさんあるやつ」

「ムカデ?」

「それそれ」

(オェッ)

 まだ口の中で溶けきっていない丸薬をあやうく吐き出すところでした。

(この異臭はムカデのエキスだったのか…)

「でもこれ,製造元の名前ですよ。べつにムカデから作ったというわけじゃなく」

「だって,5匹って?」

ムカデ5匹というメーカーなんです」

「なんとまぎらわしい……」

 幸か不幸か,韓国のポンテギ(蚕のさなぎ),タイの芋虫フライ赤蟻の卵バッタに続き,虫食のレパートリーを広げるに至りませんでした。

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2 コメント

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いやいや…^^ (某延世大留学生)
2009-02-25 03:10:21
ムカデ5匹とはすごい会社名ですね。文化の違いを感じます。満州族の後輩が言ってましたが、中国東北部ではトンボを捕まえて足をむしり取ってライター火で焙って普通におやつとして食べるんだそうです。タイ語にも中国語起源の語彙があるんですね。韓国でも薬を意味する固有語がないのが不思議でした。あれほど薬が好きな人たちなのに。
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薬屋さん (犬鍋)
2009-02-28 01:18:15
店を表す韓国語は,店(ジョム),家(チプ)が多いけれど,薬の場合は薬局(ヤックク)か薬房(ヤッパン)ですね。

薬店にすると弱点と同音異義語になっちゃうからかな。
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