もともとゲテモノ好きだったわけじゃないと思うのですが,いろいろな国に行って珍しい食べ物を見つけると,
「どんな味がするんだろう」
という好奇心がムクムクと湧いてきて,つい注文してしまいます。
これまでに,いろいろな食材を試してきました。
哺乳類では,牛豚以外に羊,犬,鹿,カンガルー…。
鳥類では,アヒル,ウコッケイ,キジ,ダチョウ,スズメ,ハト…。
爬虫類では,ヘビ,ワニ…。
両棲類ではカエルなど。
昆虫類として,蚕のサナギ,芋虫,赤蟻の卵,バッタ…。
その他,何類に属するのかよくわからないものとして,エイ,ヌタウナギ,ユムシ,カブトガニ(の卵)…。
まずかったものもあり,美味しかったものもある。
日本でも田舎に行くと以外な食材に出会えることがあります。
もう20年近く前のこと。当時,職場の温泉好きの人々が年末の仕事納めの日に温泉旅行に行くことが恒例になっていました。私は初参加の年にいきなり幹事に指名され,宿の予約その他を引き受けました。
「去年は伊豆で散財したからな。今年は安く頼むよ」
前年は伊豆の有名温泉旅館に行き,一泊で数万円の大名旅行をしたらしいのです。
「鬼怒川あたりがいいなあ」
とリクエストがあり,そちら方面の安いところを選びました。「八丁の湯」という秘湯です。
夕食は事前予約なので,私が勝手に決めた。鹿や熊といった野趣あふれるメニューがありましたが鹿鍋は高いので鹿刺に。一般的なメニューのほかに,ちょっと変わったものも頼んでおこうということで,「サンショウウオの天麩羅」を入れておきました。
年末の鬼怒川は雪。
東武線の鬼怒川温泉からさらにバスに乗る。しかし,バスも八丁の湯までは通っておらず,女夫淵(めおとぶち)温泉で降ろされる。そこからには,雪がひざまで積もったなかを徒歩で40分。
「おいおい,すごいところだな」
「安い宿だから仕方ありませんよ」
電車とバスの中ですでにできあがっていたわれわれは,覚束ない足どりで雪を踏みしめます。当時まだ若かった私を含め,若手はずんずんと進んでいく。
「ちょ,ちょっとゆっくり行こうよ」
後ろから声がかかります。さっきまで酒の勢いで陽気だった年配組は,口数も少なくなり,真剣な面持ちです。
(取り残されたら命が危ない…)
とでも思ったのでしょうか。
やっと宿にたどりつき,ひなびた露天風呂で体を温めたあと,食堂へ。
いろいろなグループが一つの大広間でテーブルを囲みます。ところどころで鍋がチンチンと煮えている。ところがわれわれが通されたテーブルには鍋がない。それもそのはず,私は高い鍋は頼みませんでした。
「なんか寂しいなあ」
「だって,安くあげろといわれたから…」
「これ,なんだ?」
「あ,それは…サンショウウオです」
「サンショウウオ?」
天麩羅とはいっても揚げたてというわけではない。冷たく,しんなりしています。
「ちょと食べてみろよ」
責任をとって毒味をすることに。体長5センチぐらいで,ころもがかぶっているので姿形は見えません。
一口でぱくっと食べてしまえばよかったのに,半分かじって断面を見たのがいけなかった。焦げ茶色と黄土色と緑色の混じったような,両棲類の内臓が見えました。
しかし,ここで吐き出してしまっては他の人が手をつけない。ぐっとこらえて,何事もなさそうに嚥下しました。でも,結局皿の半分は私が食べるはめに。
以後,私は二度と温泉幹事を命じられることはありませんでした。
これが数少ない私の両棲類体験の一つです。
「どんな味がするんだろう」
という好奇心がムクムクと湧いてきて,つい注文してしまいます。
これまでに,いろいろな食材を試してきました。
哺乳類では,牛豚以外に羊,犬,鹿,カンガルー…。
鳥類では,アヒル,ウコッケイ,キジ,ダチョウ,スズメ,ハト…。
爬虫類では,ヘビ,ワニ…。
両棲類ではカエルなど。
昆虫類として,蚕のサナギ,芋虫,赤蟻の卵,バッタ…。
その他,何類に属するのかよくわからないものとして,エイ,ヌタウナギ,ユムシ,カブトガニ(の卵)…。
まずかったものもあり,美味しかったものもある。
日本でも田舎に行くと以外な食材に出会えることがあります。
もう20年近く前のこと。当時,職場の温泉好きの人々が年末の仕事納めの日に温泉旅行に行くことが恒例になっていました。私は初参加の年にいきなり幹事に指名され,宿の予約その他を引き受けました。
「去年は伊豆で散財したからな。今年は安く頼むよ」
前年は伊豆の有名温泉旅館に行き,一泊で数万円の大名旅行をしたらしいのです。
「鬼怒川あたりがいいなあ」
とリクエストがあり,そちら方面の安いところを選びました。「八丁の湯」という秘湯です。
夕食は事前予約なので,私が勝手に決めた。鹿や熊といった野趣あふれるメニューがありましたが鹿鍋は高いので鹿刺に。一般的なメニューのほかに,ちょっと変わったものも頼んでおこうということで,「サンショウウオの天麩羅」を入れておきました。
年末の鬼怒川は雪。
東武線の鬼怒川温泉からさらにバスに乗る。しかし,バスも八丁の湯までは通っておらず,女夫淵(めおとぶち)温泉で降ろされる。そこからには,雪がひざまで積もったなかを徒歩で40分。
「おいおい,すごいところだな」
「安い宿だから仕方ありませんよ」
電車とバスの中ですでにできあがっていたわれわれは,覚束ない足どりで雪を踏みしめます。当時まだ若かった私を含め,若手はずんずんと進んでいく。
「ちょ,ちょっとゆっくり行こうよ」
後ろから声がかかります。さっきまで酒の勢いで陽気だった年配組は,口数も少なくなり,真剣な面持ちです。
(取り残されたら命が危ない…)
とでも思ったのでしょうか。
やっと宿にたどりつき,ひなびた露天風呂で体を温めたあと,食堂へ。
いろいろなグループが一つの大広間でテーブルを囲みます。ところどころで鍋がチンチンと煮えている。ところがわれわれが通されたテーブルには鍋がない。それもそのはず,私は高い鍋は頼みませんでした。
「なんか寂しいなあ」
「だって,安くあげろといわれたから…」
「これ,なんだ?」
「あ,それは…サンショウウオです」
「サンショウウオ?」
天麩羅とはいっても揚げたてというわけではない。冷たく,しんなりしています。
「ちょと食べてみろよ」
責任をとって毒味をすることに。体長5センチぐらいで,ころもがかぶっているので姿形は見えません。
一口でぱくっと食べてしまえばよかったのに,半分かじって断面を見たのがいけなかった。焦げ茶色と黄土色と緑色の混じったような,両棲類の内臓が見えました。
しかし,ここで吐き出してしまっては他の人が手をつけない。ぐっとこらえて,何事もなさそうに嚥下しました。でも,結局皿の半分は私が食べるはめに。
以後,私は二度と温泉幹事を命じられることはありませんでした。
これが数少ない私の両棲類体験の一つです。
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