タイ語では肉を「ヌア」と言います。
また牛,豚,鶏はそれぞれ
牛=ウア
豚=ムー
鶏=カイ
タイ語の語順では修飾語は後ろにつくので,牛肉,豚肉,鶏肉は,それぞれ
牛肉=ヌア・ウア
豚肉=ヌア・ムー
鶏肉=ヌア・カイ
これが料理の名前に入るとどうなるか。
たとえばカオパッ(チャーハン)。
豚肉チャーハンはカオパッ+ヌア・ムー=カオパッ・ムー
鶏肉チャーハンはカオパッ+ヌア・カイ=カオパッ・カイ
ところが牛肉チャーハンはカオパッ+ヌア・ウアが,カオパッ・ウアにならず,カオパッ・ヌアとなる。
つまり,「豚肉」「鶏肉」は料理名の中では「肉」が省略されて「豚」「鶏」となるが,「牛肉」は「牛」のほうが省略されて「肉」となる。
「これがタイ語の特徴です」
「へえ,おもしろいですね」
最近受けているタイ語の個人レッスンで,こんな説明を受けました。
授業が終わって,
(じゃ,日本語はどうなんだ?)
と考えてみると…
日本語で肉は「ニク」。牛,豚,鶏は「ウシ」「ブタ」「ニワトリ」。で,肉の名前は,「ギュウニク」「ブタニク」「トリニク」…。
うーん,すでにこの段階で,ウシ→ギュウ,ニワトリ→トリの変形を受けている。なんで「牛」だけ音読みなんだろう。そして鶏の肉はどうして「ニワトリ・ニク」と言わず,「トリニク」なんだろう。
以前,どこかの国の空港のファストフードの店で「ニワトリ・バーガー」という日本人向けカタカナ表示を目にし,「プッ」と吹き出したことがあります。
料理名ではどうか。
トリ肉を焼いた料理は「ヤキトリ」
ブタ肉を焼いた料理は「ヤキブタ」
ところがギュウ肉を焼いた料理は「ヤキギュウ」とか「ヤキウシ」とは言わず「ヤキニク」!
なんと,日本語でも料理名の中で,豚肉,鶏肉の場合は「肉」が省略され,牛肉では「牛」が省略されているではありませんか。ほかの例を考えてみると,「肉じゃが」は牛肉を使うが「ウシジャガ/ギュウジャガ」とは言わない。肉うどんも然り。
この法則は万国共通なのか! 大発見だ!
いや興奮するのはまだ早い。もっと例を探してみましょう。
日本語で,牛肉+どんぶりは「肉丼」ではなく「牛丼」。
「肉まん」は中身が牛肉じゃなくて豚肉なのに「肉まん」。ま,「肉まん」の場合,関西では「豚まん」と言いますね。「肉まん」というと,関西では自動的に「牛肉」がイメージされるからでしょうか?
いずれにしろ「牛肉が料理名の中では「肉」になる」という傾向は,日本語に認められなくもないけれど,タイ語ほど顕著ではない。
万国共通ではなくバンコク限定だったようです。
試みにタイ語辞典を引くと,
ヌア:肉(特に牛肉)
となっているのに対し,日本の国語辞典では,
にく:①動物のからだの,皮の下にある,やわらかな部分,②鳥・けもののからだのうちで,食べられるやわらかなところ
に続く語釈として
③牛肉やぶた肉
となっている(三省堂国語辞典6版)。
一般に「にく」と言われると,何の肉を思い浮かべるか。
これは,出身地方や育った環境(特に子どものころのその家の経済状態)に左右されるようです。東京の中流家庭出身の私に限っていえば,子どものころ,母から「夕食はニクよ」と言われれば自動的に「豚肉」と受け取りました。
東京では牛肉は高かったので,うちの経済状態では滅多に食卓にのぼることはありませんでした。関西では牛肉と豚肉の価格差はあまりなかったそうなので,「ニク」と言われてまず「牛肉」を思い浮かべる人が多いかも。でも,鶏(や羊,馬,クジラ,犬…)を思い浮かべる人は少ないでしょう。
うーむ,「韓国漫談」なのに韓国と関係ないことを書いてしまった。
ということで,韓国語の「肉」の考察は次回。
また牛,豚,鶏はそれぞれ
牛=ウア
豚=ムー
鶏=カイ
タイ語の語順では修飾語は後ろにつくので,牛肉,豚肉,鶏肉は,それぞれ
牛肉=ヌア・ウア
豚肉=ヌア・ムー
鶏肉=ヌア・カイ
これが料理の名前に入るとどうなるか。
たとえばカオパッ(チャーハン)。
豚肉チャーハンはカオパッ+ヌア・ムー=カオパッ・ムー
鶏肉チャーハンはカオパッ+ヌア・カイ=カオパッ・カイ
ところが牛肉チャーハンはカオパッ+ヌア・ウアが,カオパッ・ウアにならず,カオパッ・ヌアとなる。
つまり,「豚肉」「鶏肉」は料理名の中では「肉」が省略されて「豚」「鶏」となるが,「牛肉」は「牛」のほうが省略されて「肉」となる。
「これがタイ語の特徴です」
「へえ,おもしろいですね」
最近受けているタイ語の個人レッスンで,こんな説明を受けました。
授業が終わって,
(じゃ,日本語はどうなんだ?)
と考えてみると…
日本語で肉は「ニク」。牛,豚,鶏は「ウシ」「ブタ」「ニワトリ」。で,肉の名前は,「ギュウニク」「ブタニク」「トリニク」…。
うーん,すでにこの段階で,ウシ→ギュウ,ニワトリ→トリの変形を受けている。なんで「牛」だけ音読みなんだろう。そして鶏の肉はどうして「ニワトリ・ニク」と言わず,「トリニク」なんだろう。
以前,どこかの国の空港のファストフードの店で「ニワトリ・バーガー」という日本人向けカタカナ表示を目にし,「プッ」と吹き出したことがあります。
料理名ではどうか。
トリ肉を焼いた料理は「ヤキトリ」
ブタ肉を焼いた料理は「ヤキブタ」
ところがギュウ肉を焼いた料理は「ヤキギュウ」とか「ヤキウシ」とは言わず「ヤキニク」!
なんと,日本語でも料理名の中で,豚肉,鶏肉の場合は「肉」が省略され,牛肉では「牛」が省略されているではありませんか。ほかの例を考えてみると,「肉じゃが」は牛肉を使うが「ウシジャガ/ギュウジャガ」とは言わない。肉うどんも然り。
この法則は万国共通なのか! 大発見だ!
いや興奮するのはまだ早い。もっと例を探してみましょう。
日本語で,牛肉+どんぶりは「肉丼」ではなく「牛丼」。
「肉まん」は中身が牛肉じゃなくて豚肉なのに「肉まん」。ま,「肉まん」の場合,関西では「豚まん」と言いますね。「肉まん」というと,関西では自動的に「牛肉」がイメージされるからでしょうか?
いずれにしろ「牛肉が料理名の中では「肉」になる」という傾向は,日本語に認められなくもないけれど,タイ語ほど顕著ではない。
万国共通ではなくバンコク限定だったようです。
試みにタイ語辞典を引くと,
ヌア:肉(特に牛肉)
となっているのに対し,日本の国語辞典では,
にく:①動物のからだの,皮の下にある,やわらかな部分,②鳥・けもののからだのうちで,食べられるやわらかなところ
に続く語釈として
③牛肉やぶた肉
となっている(三省堂国語辞典6版)。
一般に「にく」と言われると,何の肉を思い浮かべるか。
これは,出身地方や育った環境(特に子どものころのその家の経済状態)に左右されるようです。東京の中流家庭出身の私に限っていえば,子どものころ,母から「夕食はニクよ」と言われれば自動的に「豚肉」と受け取りました。
東京では牛肉は高かったので,うちの経済状態では滅多に食卓にのぼることはありませんでした。関西では牛肉と豚肉の価格差はあまりなかったそうなので,「ニク」と言われてまず「牛肉」を思い浮かべる人が多いかも。でも,鶏(や羊,馬,クジラ,犬…)を思い浮かべる人は少ないでしょう。
うーむ,「韓国漫談」なのに韓国と関係ないことを書いてしまった。
ということで,韓国語の「肉」の考察は次回。
「じゃがいも」「さつまいも」「さといも」「やまいも」など。これ以外の芋を思い浮かべる人もいるのかな?
万国共通とバンコク限定のところで大笑いしました。
妻の出身地島根は牛肉だったそうです。
有標性ですか。勉強になりました。
「イモ」は私の場合,サツマイモを思い浮かべます。「焼きいも」(さつまいも),肉じゃが(じゃがいも)の例からすると,さつまいもは料理名(?)の中では「いも」になる?
韓国語のさつまいもはコグマ,じゃがいもはカムジャ。「イモ」という総称はないんじゃないかな。
タイ語は,さつまいもがマン,じゃがいもがマン・ファラン(外国のいも)。
もっとも代表的と思われるタロイモは,プアクという別の言葉です。