アンダーウッド報告書（つづき）

「堤岩里教会虐殺事件」の真相～アンダーウッド報告書よりつづく

　私はこの話を終えると、他の人々がいるところに行った。赤ん坊に乳を飲ませている若い女数人と、おばあさんたち、そして１９～２０歳ぐらいの青年がいた。彼らはキリスト教徒で、福監理教会宣教部のノーブル博士のことを知っていた。焼けてしまった教会は、博士の管轄だった。私は彼らに、上とほとんど同じ、またはまったく同じ質問をしたが、時間、方法、死者の数、放火などについて、同じ返事を聞いた。

　私は青年に、どうやって生き残ったのかと尋ねると、伐採のために遠くの山に行き、夜に帰ってきたら、友達や男の親戚がみな死んだり、教会の焼け跡の中に埋まっていたと答えた。これらの人々が、教会のあった所を教えてくれ、おりていって、また一体の別の死体を発見、写真を撮った。他の死骸は、教会の廃墟の中に埋まったままだった。

　残された人々は、たいへん貧しかった。あちこちに火事の中から持ち出した家財道具が見えたが、人々は食べる糧食が不足していた。彼らの大部分は食糧と農業のための種を失い、彼らが頼りにしていた家畜を含め、すべてのものを失った。

　私たちは彼らの写真を撮ったあと、別れを告げ、村を通って、まだ残っている家の一つに行ってみた。その家の主人は年寄りだったが、自分の家がただ一つ残ったのは、火が燃え移らなかったのと、自分がキリスト教徒ではないので放火されなかったからだと言った。彼が説明した事件の顛末も、ほかの人々の話と、すべての面で符合した。彼もやはり何人殺されたか知らなかったが、約３０人とみていた。

　写真をさらに三、四枚とって、人力車のある所に戻り、町に向かった。車夫たちは５キロほど離れたソフンというところまで乗せてくれると言った。ソフンでも、堤岩里事件のようなことが、２、３日前に起きた。ここでは約１５カ所が放火され、大部分がキリスト教徒の家だと、聞きもしないのに教えてくれた。このことは、ほかの話とも符合し、当該地域担当の宣教師たちがソウルに送った報告とも符合した。

　軍人たちは、二週間もしくは１０日前に、自動車に載って投入され、最初に村が放火されたのは、そのときだった。主任は、すでに混乱は終わったと報告し、私たちがついさっき訪問した、この村の住民たちが暴力を振るったという非難は聞くことができなかった。警察は、他の所では暴力が恣に行われたと主張している。私たちは警察に別れを告げ、来たときと同じようにソウルに帰った。ソウルに到着したのは午後５時３０分頃。

　筆者は韓国で生まれたので、韓国人たちとの会話には、絶対の自信があることははっきり言っておく。また私が目撃したことについても、もちろんだ。しかし私は、日本語の会話については、「火、暴動、小規模、ちがう、そうだ、橋、道路、自動車」などの単語が、ところどころ聞き取れただけだ。

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