「今日はハイジの命日だね」
クララからラインメッセージが届きました。
ハイジというのは去年までわが家で飼っていた犬の名前(オス)。
クララというのは、私の四女の名前です(ただし、ひらがな書き)。
ハイジは昨年の8月9日に、16歳10か月で死にました。
ハイジ、逝く
簡易なやり方で火葬し、骨は骨壺に入れて、今のピアノの上に安置されています。
犬の弔い
人間ならば一周忌の法要を営むところですが、犬ですからね。命日を忘れずにいたのは、クララだけでした。
「もう、一年経っちゃたんだね。早いね」
去る者は日日に疎し。
中国の古典にある詩句を、「徒然草」に引用した吉田兼好は、次のように書きます。
その後、年月がたって、故人のことを忘れるわけではないが、「去る者は日日に疎し」ということばのとおりになってゆく。忘れていないとはいうものの、死の直後ほどの切実さがなくなっているからか、故人について冗談を言って笑うこともある。なきがらは、人里離れた山の中におさめて、特別の日のみお参りをして見ると、まもなく卒都婆(墓石)も苔むし、落ち葉に埋もれて、夕方の嵐や夜の月だけが、故人を慰めている。
故人を思い出してしのぶ人が生きている間はまだよい。彼らもまた、まもなく死に絶える。故人の名を聞き伝えているだけの子孫が見も知らぬ先祖を追慕するはずもない。追善供養なども行われなくなってしまうと、だれの墓であるかもわからなくなる。…(『徒然草』第三十段。三木紀人訳)
私の生家は7人家族でしたが、今では、私を除き全員、鬼籍に入りました。
祖父、父については生前を知る人はもはやなく、数葉の写真と私の記憶が残るのみ。
ハイジのことを、4人の娘たちは忘れることはないと思います。孫たちは、いちばん上の子(当時3歳)の記憶に、かすかに残るかどうか。
命日は忘れても、正月などに家族が集まれば、思い出を語り合ったりはするでしょう。
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