写真:マルに似た犬(photoACより)
愛犬マルの死①
実は私も子どもの頃、マルという名の犬を飼っていました。
父が酔っぱらった勢いで、どこかの飲み屋からもらってきた雑種犬です。私が幼稚園の年長のときだったと思います。
すでに名前がついていて、雌犬なのにマルでした。
番犬として庭で飼っていましたが、かわいそうなことに、ある日、放し飼いにされていた近所の農家の雄犬(トミーという名の、やはり雑種犬だったことを今でも覚えています)がわが家の敷地に不法侵入してきて、犯されてしまったのです。
私たち家族は交尾している現場を目撃し、長い竿でトミーを打ち据えたのですが、トミーは牙をむいて抵抗し、簡単には離れませんでした。
子どもが生まれても困るので、数日後に犬猫病院に連れて行き、中絶&避妊手術をしました。
この事件は、私にとっての最初の性教育になりました。
トミーの飼い主からは、謝罪も賠償も得られませんでした。
そのときの手術に問題があったのか、マルはその後、尿の出が悪く、膀胱炎でしばしば病院のお世話になりました。
マルが死んだのは1975年。
なぜ覚えているかというと、父が亡くなった年だからです。
父は前年末に食道癌が見つかり、食道と胃の半分を摘出する手術を受けました。
その後、二度目の開腹手術を受けますが、まさに手術の日にマルが死んだのです。
家族は、「身代わりになってくれた」と言いましたが、開腹すると癌は父の全身に転移していることがわかり、何もせずにそのまま縫合したとのことでした。父はその年の年末に亡くなりました。
マルは9歳。死因はフィラリアでした。最後の一年はフィラリア特有の咳をしていました。当時はまだ、フィラリア予防のワクチンも治療薬もなく、人間の癌同様、不治の病でした。
死んだあと、遺骸は庭にあった大きな柿の木の根元に兄といっしょに穴を掘り、埋葬しました。
当時は「樹木葬」というようなしゃれた名前はなかったと思います。
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