写真:北朝鮮から贈られたコミとソンガン(韓国ヘラルド経済)
2018年9月に北朝鮮の金正恩総書記から文在寅前大統領の贈られた2匹の豊山犬(朝鮮半島の在来種)、コミとソンガンについて、以前、当ブログでお伝えしました。
北朝鮮から贈られた豊山犬の末路
前回の記事では、主にコミが生んだ子犬たちの話でしたが、今回は、コミとソンガンの消息です。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が韓国の第20代大統領に就任した5月10日、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領夫妻は、それまで住んでいた青瓦台を引き払い、慶尚南道梁山市の私邸に帰郷しました。
2018年9月に北朝鮮の金正恩総書記から文在寅前大統領の贈られた2匹の豊山犬(朝鮮半島の在来種)、コミとソンガンについて、以前、当ブログでお伝えしました。
北朝鮮から贈られた豊山犬の末路
前回の記事では、主にコミが生んだ子犬たちの話でしたが、今回は、コミとソンガンの消息です。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が韓国の第20代大統領に就任した5月10日、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領夫妻は、それまで住んでいた青瓦台を引き払い、慶尚南道梁山市の私邸に帰郷しました。
実は、その数日前、文大統領が青瓦台(大統領府)で飼っていた伴侶動物たち(=ペット)が、一足先に引っ越しをしていました。
5匹の犬と、1匹の猫です。
5年前、大統領の就任したときにすでに飼っていた、豊山犬のマルと猫のチンチギ。チンチギは保護センターから引き取った捨て猫だったそうです。大統領就任後に保護センターから引き取ったトリ。そして金正恩総書記から贈られたコミとソンガン(冒頭写真)。
前回は、コミが二回目に出産(このときの父親は大統領府の発表によればマル)した7匹の子犬のうち、1匹(タウン)については引き取り先が不明でしたが、最近の報道で、文大統領が手元に残していたことがわかりました。
文大統領退の任後、コミとソンガンの取扱いを巡っては、ひとしきり議論がありました。
現行の「公職者倫理法」によれば、公務員が職務に関連して受け取った贈り物は国家または地方自治体に帰属します。コミとソンガンは、文大統領が私人としてではなく国家元首として受け取ったものなので、当然国家の所有物です。文大統領のほかの飼い犬、飼い猫とは違い、エサ代など飼育にかかる費用も国家予算から支出してきたんだそうです。
だから文大統領もコミとソンガンを自宅に連れていくことは、「法律上は」できない。
通常、大統領が在任中に外国から受け取った贈答品は、退任後、大統領記録館に収容・展示されますが、二匹の犬は生き物なのでそうもいかず、取扱いに困っていたわけです。
実は、新大統領の尹錫悦氏も文前大統領に劣らない愛犬家・愛猫家であることは、以前お伝えした通り(リンク)。自宅で4匹の犬と3匹の猫を飼っています。
(なら、コミとソンガンも尹大統領が育てればいいんじゃない?)
なんて声も聞かれましたが、北朝鮮に対して厳しい姿勢をとっている尹大統領、金正恩と文在寅の置き土産を引き取るのは気が進まないでしょう。
実際、尹大統領は就任前、「犬は情が移るし、今まで世話をしてきた主人が飼い続けるほうがいい」と言っていました。
文大統領自身も自分が飼い続けることを希望していて、4月末に行われた尹錫悦氏との政権引継ぎ会談で、文大統領のほうから正式に世話をし続けたいとの申し出があり、尹当選人が承諾したそうです。
ただ「法律上」の所有権は引き続き国家にあり、国家が世話を文前大統領に委託するという形をとるそうです。
ところで、韓国と北朝鮮は2018年4月の南北首脳会談のときに出された「共同宣言」で、開城工業地区に南北共同連絡事務所を設置することに合意、その年の9月にオープンしました。まさに金正恩から文在寅に2匹の犬が贈られた月ですね。
韓国は、合意にもとづき、その後の3年間で、事務所の建設・運営費として総額168億8300万ウォン(約15億円)もの大金をつぎ込みました。
ところがその後、南北関係は悪化。北朝鮮は、2020年6月、韓国の脱北者団体が飛ばした金正恩総書記批判のビラに激怒し、南北共同連絡事務所の建物を、なんと爆破してしまったのです。
写真:東亜日報
北朝鮮にこんな仕打ちをされるんだったら、北から贈られた二匹の犬など「殺処分」にして、「補身湯」(ポシンタン=犬鍋)にしてもおかしくないくらいですが、そこは愛犬家の文大統領、そんなことをするはずはない。
その後も二匹の豊山犬(とその子犬たち)を家族のように大切に世話し続けました。北朝鮮との関係改善の夢も捨てきれなかったのでしょう。
退任の1週間後、文大統領は梁山市の自宅での近況をSNSで公開しました。農作業をしたり、愛犬たちを散歩させたりするなど、のんびりと暮らしているようです。
北朝鮮は文大統領の思いをよそに、今年に入って立て続けにミサイルを発射するなど、挑発を続けています。
退任後は、在任時の各種疑惑について検察・警察からの追及も予想されています。
文大統領が故郷でいつまでのんびりと暮らせるかは、だれにもわかりません。
写真:帰郷後の文大統領(twitter)
〈参考〉
文大統領の愛犬マルはギネス級?
文在寅は犬公方?
北朝鮮の犬鍋事情
(なら、コミとソンガンも尹大統領が育てればいいんじゃない?)
なんて声も聞かれましたが、北朝鮮に対して厳しい姿勢をとっている尹大統領、金正恩と文在寅の置き土産を引き取るのは気が進まないでしょう。
実際、尹大統領は就任前、「犬は情が移るし、今まで世話をしてきた主人が飼い続けるほうがいい」と言っていました。
文大統領自身も自分が飼い続けることを希望していて、4月末に行われた尹錫悦氏との政権引継ぎ会談で、文大統領のほうから正式に世話をし続けたいとの申し出があり、尹当選人が承諾したそうです。
ただ「法律上」の所有権は引き続き国家にあり、国家が世話を文前大統領に委託するという形をとるそうです。
ところで、韓国と北朝鮮は2018年4月の南北首脳会談のときに出された「共同宣言」で、開城工業地区に南北共同連絡事務所を設置することに合意、その年の9月にオープンしました。まさに金正恩から文在寅に2匹の犬が贈られた月ですね。
韓国は、合意にもとづき、その後の3年間で、事務所の建設・運営費として総額168億8300万ウォン(約15億円)もの大金をつぎ込みました。
ところがその後、南北関係は悪化。北朝鮮は、2020年6月、韓国の脱北者団体が飛ばした金正恩総書記批判のビラに激怒し、南北共同連絡事務所の建物を、なんと爆破してしまったのです。
写真:東亜日報
北朝鮮にこんな仕打ちをされるんだったら、北から贈られた二匹の犬など「殺処分」にして、「補身湯」(ポシンタン=犬鍋)にしてもおかしくないくらいですが、そこは愛犬家の文大統領、そんなことをするはずはない。
その後も二匹の豊山犬(とその子犬たち)を家族のように大切に世話し続けました。北朝鮮との関係改善の夢も捨てきれなかったのでしょう。
退任の1週間後、文大統領は梁山市の自宅での近況をSNSで公開しました。農作業をしたり、愛犬たちを散歩させたりするなど、のんびりと暮らしているようです。
北朝鮮は文大統領の思いをよそに、今年に入って立て続けにミサイルを発射するなど、挑発を続けています。
退任後は、在任時の各種疑惑について検察・警察からの追及も予想されています。
文大統領が故郷でいつまでのんびりと暮らせるかは、だれにもわかりません。
写真:帰郷後の文大統領(twitter)
〈参考〉
文大統領の愛犬マルはギネス級?
文在寅は犬公方?
北朝鮮の犬鍋事情
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