中央日報の、日本特派員経験のある記者が、ダブルスタンダードについて論じています。(2021年8月5日付、日本語、韓国語)
この記者は、2011年の東日本大震災の時に被災地を取材し、福島取材が原因で、自分の体の5つの細胞で染色体変異が起きた「放射能被害者」なんだそうです。その後も、東京で4年以上、福島を含む被災地産の食材を選り好みせずに食べ続けたけれども、毎年受けている「原子力病院での多様な放射能関連精密検査」でも、何の異常も見つかっていない。したがって、福島産食材の安全性は、自分の体が証明している、と。
今回の東京五輪で、韓国は選手村近くのホテルに給食支援センターを設け、多くの食材を韓国から空輸して、韓国選手向けの弁当を作りました。そして、メディアはこれを「福島産の食材を避けるため」と報道。これに対して日本は「ここまでくると侮辱だ」(玄葉元外相)、「福島の思いを踏みにじる言動」(佐藤自民党外交部会会長)と反発しました。
すると、大韓体育会と韓国メディアは、「2008年の北京五輪から同様のセンターを運営してきた」、「米国も別途の給食支援センターを用意した」として、「日本が韓国だけを非難するのは二重のものさしだ」だ応酬しました。
「二重のものさし」というのは、「ダブルスタンダード」を意味する韓国語の表現です。
これについて記者は、科学的根拠もないのに、韓国の給食支援センターが福島と周辺8県の食材を排除し、他の日本産食材についてもセシウム測定器で放射能検査を実施したこと、さらにそれを「自慢げ」に全世界に発信したことに疑問を呈します。
給食支援センターが本当に必要だったなら、「福島産食材の危険性」には言及せず、米国がそうしたように、ただ「選手のコンディション維持のための献立調節」と言えばよかった、と。
そして、もう一つの「二重のものさし」の例をあげます。
今回の五輪で、韓国の放送局であるMBCは、開会式の参加国紹介に際し、ウクライナにはチェルノブイリ原発事故の写真を示し、ハイチでは「大統領の暗殺で政局は霧の中」という字幕を流すなど、不適切な報道を繰り返して、国内外のメディアから批判されました。さらに、7月25日に行われた男子サッカーB組予選の対ルーマニア戦で、ルーマニアのマリウス・マリン選手がオウンゴールを入れると「ありがとう、マリン」というテロップを流し、これにも批判が相次ぎました。
記事は、この問題を取り上げます。
MBCは今回ルーマニアのマリウス・マリン選手がオウンゴールを入れると、「ありがとう、マリン」という字幕を出し世論に袋叩きにされた。しかし2008年の北京五輪での野球韓日戦の試合を思い出してみよう。当時MBCの解説者は打球を逃した外野手佐藤に向かって「ありがとう、佐藤」を連発した。ところが当時はみんな「記憶に残る語録」と絶賛した。嘲弄の表現も日本がその対象になれば「名解説」になる、まさにそういうものを私たちは二重のものさしと呼ばなければならない。
2008年北京五輪の野球日韓戦と言われても、まったく覚えていません。ブログ記事をたどってみると、北京オリンピックの期間中、私はブラジルに出張していて、オリンピックをほとんど見ていないのですね。
調べてみると…(プレジデントオンライン、リンク)
北京五輪、野球の日本代表チームは予選を4位で通過し、決勝トーナメント(準決勝)で韓国と対戦。2対2の同点で迎えた8回裏、李承燁(イ・スンヨプ)に2ランを打たれ、韓国が勝ち越し。なおも二死一塁で、7番打者高永民(コ・ヨンミン)の当たりは左中間へ。レフトの佐藤とセンターの青木宣親がともに追いかけ、先に追いついた佐藤が、フェンスにぶつかりながら捕球しようとしたが、ボールはグラブからこぼれてセンターへ転がる。一塁走者は三塁を回ってホームイン。韓国にダメ押しの5点目が入る。
このとき、テレビ解説者の発した「ありがとう、佐藤」という言葉は名解説と言われ、翌日の新聞にも同じ言葉が躍ったそうです。
ルーマニア選手に対しては「欠礼」なのに、日本選手に対しては「名解説」。これを指して、中央日報の記者は「二重のものさし(ダブルスタンダード)」と言ったのですね。正しい指摘です。
ところで、今回の東京五輪でも、野球の日韓代表チームは準決勝で対決し、やはり2対2の同点で迎えた8回裏、満塁で山田哲人が走者一掃の二塁打を放って、日本が5対2で勝利しました。
山田の一打が出る前、一死一塁で近藤健介があわや併殺と思われる内野ゴロを打つと、一塁手は二塁に投げて一塁ランナーをフォースアウトにし、遊撃手が一塁に転送。一塁ベースカバーに入った投手の高祐錫(コ・ウソク)は、一塁ベースを踏み損ねて、バッターランナーを生かしてしまいました。後続の村上宗隆を申告敬遠、さらに9番の甲斐拓也も四球で歩き、1番山田にレフトフェンス直撃の走者一掃二塁打を打たれたわけです。
日韓戦に敗れ、金メダルの望みを絶たれた韓国の翌日の新聞は、「A級戦犯」の高祐錫を非難。ネットでも「反民族行為者」、「試合をめちゃめちゃにした人物」などと、散々叩かれました。
そのような報道を知ったGG佐藤は、13年前の自分の姿と重なったのでしょう。自身のツイッターで、高祐錫投手をかばい、
「本当に、そういうのやめてあげて。韓国のために一生懸命やった結果なんだから」、
「高祐錫選手、辛かったら僕に電話してな。カカオトークでもいいよ」
と書き込んだそうです。(産経新聞、リンク)
韓国野球チームは、続く米国との敗者復活戦にも敗れ、銅メダルをかけたドミニカとの三位決定戦に進みました。
一方、予選で日本を破った女子バレー韓国代表は、準決勝でブラジルに敗れ、こちらも三位決定戦へ。
ところが、ファンの反応は対照的でした。女子バレーチームに対しては、
「すでに私たちには金メダル」
「立派な試合をもう十分に見せてくれた」
「奇跡的に勝って銅メダルを」
「けがに気をつけて」
「4強だけでも感謝」
など、称賛一色であるのに対し、野球の代表チームに対しては非難が殺到。敗者復活戦で米国に負けた後、監督が、
「金メダルは取れなかったが、失望はしていない」
などとコメントしたことが、ファンの怒りを招いたようです。
これなども、「二重のものさし」のもう一つの例といえましょう。
女子バレーは日本に勝ち、野球は日本に負けたことが大きく影響していると思われます。
韓国では、オリンピックで銅メダル以上、アジア大会で金メダルを獲得すれば、兵役免除という規定があります。
青瓦台(大統領府)の国民請願の掲示板には、
「東京五輪の野球で韓国が銅メダルを獲得しても兵役免除を与えるべきでない」
という声まで登場したそうです。
結局、韓国野球チームは三位決定戦の対ドミニカ戦にも敗退して銅メダルも取れなかったので、「国民請願」は形をかえて実現することになりました。
この記者は、2011年の東日本大震災の時に被災地を取材し、福島取材が原因で、自分の体の5つの細胞で染色体変異が起きた「放射能被害者」なんだそうです。その後も、東京で4年以上、福島を含む被災地産の食材を選り好みせずに食べ続けたけれども、毎年受けている「原子力病院での多様な放射能関連精密検査」でも、何の異常も見つかっていない。したがって、福島産食材の安全性は、自分の体が証明している、と。
今回の東京五輪で、韓国は選手村近くのホテルに給食支援センターを設け、多くの食材を韓国から空輸して、韓国選手向けの弁当を作りました。そして、メディアはこれを「福島産の食材を避けるため」と報道。これに対して日本は「ここまでくると侮辱だ」(玄葉元外相)、「福島の思いを踏みにじる言動」(佐藤自民党外交部会会長)と反発しました。
すると、大韓体育会と韓国メディアは、「2008年の北京五輪から同様のセンターを運営してきた」、「米国も別途の給食支援センターを用意した」として、「日本が韓国だけを非難するのは二重のものさしだ」だ応酬しました。
「二重のものさし」というのは、「ダブルスタンダード」を意味する韓国語の表現です。
これについて記者は、科学的根拠もないのに、韓国の給食支援センターが福島と周辺8県の食材を排除し、他の日本産食材についてもセシウム測定器で放射能検査を実施したこと、さらにそれを「自慢げ」に全世界に発信したことに疑問を呈します。
給食支援センターが本当に必要だったなら、「福島産食材の危険性」には言及せず、米国がそうしたように、ただ「選手のコンディション維持のための献立調節」と言えばよかった、と。
そして、もう一つの「二重のものさし」の例をあげます。
今回の五輪で、韓国の放送局であるMBCは、開会式の参加国紹介に際し、ウクライナにはチェルノブイリ原発事故の写真を示し、ハイチでは「大統領の暗殺で政局は霧の中」という字幕を流すなど、不適切な報道を繰り返して、国内外のメディアから批判されました。さらに、7月25日に行われた男子サッカーB組予選の対ルーマニア戦で、ルーマニアのマリウス・マリン選手がオウンゴールを入れると「ありがとう、マリン」というテロップを流し、これにも批判が相次ぎました。
記事は、この問題を取り上げます。
MBCは今回ルーマニアのマリウス・マリン選手がオウンゴールを入れると、「ありがとう、マリン」という字幕を出し世論に袋叩きにされた。しかし2008年の北京五輪での野球韓日戦の試合を思い出してみよう。当時MBCの解説者は打球を逃した外野手佐藤に向かって「ありがとう、佐藤」を連発した。ところが当時はみんな「記憶に残る語録」と絶賛した。嘲弄の表現も日本がその対象になれば「名解説」になる、まさにそういうものを私たちは二重のものさしと呼ばなければならない。
2008年北京五輪の野球日韓戦と言われても、まったく覚えていません。ブログ記事をたどってみると、北京オリンピックの期間中、私はブラジルに出張していて、オリンピックをほとんど見ていないのですね。
調べてみると…(プレジデントオンライン、リンク)
北京五輪、野球の日本代表チームは予選を4位で通過し、決勝トーナメント(準決勝)で韓国と対戦。2対2の同点で迎えた8回裏、李承燁(イ・スンヨプ)に2ランを打たれ、韓国が勝ち越し。なおも二死一塁で、7番打者高永民(コ・ヨンミン)の当たりは左中間へ。レフトの佐藤とセンターの青木宣親がともに追いかけ、先に追いついた佐藤が、フェンスにぶつかりながら捕球しようとしたが、ボールはグラブからこぼれてセンターへ転がる。一塁走者は三塁を回ってホームイン。韓国にダメ押しの5点目が入る。
このとき、テレビ解説者の発した「ありがとう、佐藤」という言葉は名解説と言われ、翌日の新聞にも同じ言葉が躍ったそうです。
ルーマニア選手に対しては「欠礼」なのに、日本選手に対しては「名解説」。これを指して、中央日報の記者は「二重のものさし(ダブルスタンダード)」と言ったのですね。正しい指摘です。
ところで、今回の東京五輪でも、野球の日韓代表チームは準決勝で対決し、やはり2対2の同点で迎えた8回裏、満塁で山田哲人が走者一掃の二塁打を放って、日本が5対2で勝利しました。
山田の一打が出る前、一死一塁で近藤健介があわや併殺と思われる内野ゴロを打つと、一塁手は二塁に投げて一塁ランナーをフォースアウトにし、遊撃手が一塁に転送。一塁ベースカバーに入った投手の高祐錫(コ・ウソク)は、一塁ベースを踏み損ねて、バッターランナーを生かしてしまいました。後続の村上宗隆を申告敬遠、さらに9番の甲斐拓也も四球で歩き、1番山田にレフトフェンス直撃の走者一掃二塁打を打たれたわけです。
日韓戦に敗れ、金メダルの望みを絶たれた韓国の翌日の新聞は、「A級戦犯」の高祐錫を非難。ネットでも「反民族行為者」、「試合をめちゃめちゃにした人物」などと、散々叩かれました。
そのような報道を知ったGG佐藤は、13年前の自分の姿と重なったのでしょう。自身のツイッターで、高祐錫投手をかばい、
「本当に、そういうのやめてあげて。韓国のために一生懸命やった結果なんだから」、
「高祐錫選手、辛かったら僕に電話してな。カカオトークでもいいよ」
と書き込んだそうです。(産経新聞、リンク)
韓国野球チームは、続く米国との敗者復活戦にも敗れ、銅メダルをかけたドミニカとの三位決定戦に進みました。
一方、予選で日本を破った女子バレー韓国代表は、準決勝でブラジルに敗れ、こちらも三位決定戦へ。
ところが、ファンの反応は対照的でした。女子バレーチームに対しては、
「すでに私たちには金メダル」
「立派な試合をもう十分に見せてくれた」
「奇跡的に勝って銅メダルを」
「けがに気をつけて」
「4強だけでも感謝」
など、称賛一色であるのに対し、野球の代表チームに対しては非難が殺到。敗者復活戦で米国に負けた後、監督が、
「金メダルは取れなかったが、失望はしていない」
などとコメントしたことが、ファンの怒りを招いたようです。
これなども、「二重のものさし」のもう一つの例といえましょう。
女子バレーは日本に勝ち、野球は日本に負けたことが大きく影響していると思われます。
韓国では、オリンピックで銅メダル以上、アジア大会で金メダルを獲得すれば、兵役免除という規定があります。
青瓦台(大統領府)の国民請願の掲示板には、
「東京五輪の野球で韓国が銅メダルを獲得しても兵役免除を与えるべきでない」
という声まで登場したそうです。
結局、韓国野球チームは三位決定戦の対ドミニカ戦にも敗退して銅メダルも取れなかったので、「国民請願」は形をかえて実現することになりました。
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