大阪転勤が決まってから、飲みのお誘いが増えたのですが、例によって伯母の介護のために家に早く帰らないといけないので、なかなかお誘いに乗ることができません。
飲めるのは、木曜日と金曜日だけ。しかし、当日になって声をかけても先方に先約があったりする。
この日は、ふだんの飲み仲間の部下と二人で飲みに行きました。彼はもともと日系ペルー人でしたが、昨年日本に帰化し、今ではペルー系日本人。仕事柄、海外出張が多く、ペルーのパスポートでは、さまざまな困難が伴うことが多いので、帰化を決断したのでした。赤いパスポートになってから、出入国手続はきわめてスムーズになったそうです。
ふだんは立ち飲みとか、ホルモン屋とか、庶民的な店に行くことが多いのですが、二人きりとはいえいちおう送別会なので、小ぎれいな店(ちょっと高級)に行きました。
久しぶりだったので、仕事のこと、家庭のこと、最近生まれた子どものことなど、話が弾み、気がついてみれば終電に間に合うかきわどい時間になっていました。
四時間ぐらい飲み続けたので、二人とも酩酊状態。駅でトイレに行き、そこで別れました。
この日、私は伯母の家ではなく、娘の家でもなく、はるばる埼玉郊外の自宅に帰りました。途中、一回乗り換えがあるのですが、ここは寝過ごすことなく、無事に乗り換えました。乗り越すと終電には間に合わない時間です。
あとは、終点まで一本。上り電車はなくなりますから、熟睡しても駅員に起こしてもらえる。幸い、途中で前の席が空き、坐ることができました。
何分ぐらい経ったでしょうか。
車内アナウンスの声で目が覚めました。
アナウンスの駅名を聞いたとき、
「私はだれ? ここはどこ?」
状態。
自分の家に帰るのは久しぶりだったので、さて、ぼくは今日、どこに帰るんだっけと、一瞬、わからなくなりました。
電車のドアは空いていて、閉まる直前の静けさが広がっていました。
「降りなくちゃ!」
理由は不明ながら、そのときの僕はそう思ったんですね。閉まる直前のドアから走り出ました。間一髪でドアは閉まりました。
人の流れにしたがって、出口に通じる階段を上りながら、その駅が見慣れない駅であることに気がつきました。
「しまった!」
乗ってきたのは終電。もはや上り電車も下り電車もありません。
(またやってしまった! タクシーで帰るしかないか)
そのときです。かばんがないことに気づいたのは。
(まずい! 網棚に置き忘れた!)
この窮状をとりあえず妻に伝えようとして、ポケットからスマホを取り出し、LINEでSOSを発信しようとしました。
すると、家族共同のルームに、デパート勤めをしている三女からのメッセージがありました。
「お母さん、今日、終電で帰る」
(ということは、さっきの電車に乗っているのか!?)
「おい、その電車の網棚にお父さんのかばんがあるから、回収頼む!」
三女がそのメッセージを見たとき、すでに電車は終点につき、鞄は駅員の手にありました。ところが、似たようなかばんが二つあったらしい。
「お父さん、何か、所有者が特定できるものある?」
免許証入りの財布は身につけていたし、かばんに名前が書いてあるわけじゃないし…
駅員は、
「今日はもう駅を閉めるので、明日以降、遺失物係に来てください」
といっているらしい。
そこを娘がねばってくれて、かばんの中から名刺入れを発見、なんとかかばんを回収してくれたのでした。
タクシー代5000円に、娘へのお礼のおこづかい…
ずいぶん高くついた送別会でした。
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家族のチームワークの素晴らしさを感じました。
ところで、どこで降りちゃったんですか?
5000円というと、かなり手前ですね。