犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国便り~使えなかった旧券

2024-10-21 22:30:16 | 韓国便り(帰任以後)

写真:韓国の五千ウォン札。上が現行、下が旧券(コネストより)


 次女の家に行ったときのこと、

「お父さん、今度また韓国に行くんでしょう? これあげるよ」

 韓国の5000ウォン札でした。

「帰国したときに持っていたのを、ずっと保管していたんだけど、それぞれ1枚ずつ残しておけばいいかなと思って」

「今のよりちょっと大きいね」

「このあと、韓国のお札変わったよね」


 今回の韓国出張は、理由はわからないけれど、ホテルの値段が高騰していて、これまで利用していたホテルは軒並み1泊30万ウォン以上。年度初めにとっていた予算をオーバーするので、ネットでいろいろ探し、16万ウォンの宿を予約していました。

 深夜に金浦の到着し、模範タクシーの運転手にホテル名を告げてもわからない。運転手は住所をカーナビに入れて検索していました。

 ホテルの近くまで行ってナビが示した道はすごく細い。

 大型車の模範タクシーは、かまわず突入します。

 道幅が狭いうえに曲がりくねっていて、車の両側数センチのところを何とか通過。着いたのは、とても「シティーホテル」とはいえず、ビジネスホテルとラブホテルの中間みたいなやつでした。

 韓国には「シティーホテル」「ビジネスホテル」「ラブホテル」の区別がなく、利用者は値段によって使い分けてるみたいです。

 行ってみてわかったことは、「朝食付きではない」ということ。有料だということではなく、そもそもレストランが併設されていない!

 朝食は自分で調達しなければなりません。

 すでに時刻は夜中の12時近く。ホテルの隣のコンビニには、スナックとカップラーメンしかない。

 3分ほど歩いたところでセブンイレブンを見つけました。

 お握り一つとクリームパンを購入し、次女にもらった5000ウォン札を出しました。

 若い女性店員は、お札を矯(た)めつ眇(すが)めつ眺めていましたが、

「別のお札ないですか?」

「これ、使えないんですか?」

「見たことがないんで…」

(見たことがない!)



セブンイレブンで買った朝食

 ホテルに帰ってからネットで調べてみると、今使われている紙幣が出たのは2006年のこと。

 私以外の家族が帰国したのが2005年。その直後に紙幣の切り替えが行われていたんですね。

 18年前のことですから、20代前半の従業員が「見たこともない」というのは無理もない。

 ちなみに、5000ウォン札の肖像画は、以前も今も李栗谷(イ・ユルコク)という朝鮮時代の儒学者(冒頭写真)。その後に出た最高額紙幣の5万ウォン札は、李栗谷のお母さんの申師任堂(シン・サイムダン、書画家)です。

 翌日、事務所で韓国人職員に事情を話すと、

「使えるはずですけどね。銀行にいけば新券に代えてもらえます。私が今度銀行に行きますから」

と言って、現行紙幣に交換してくれました。

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