韓国で、李栄薫ソウル大学名誉教授の『反日種族主義』という本が売れているということを、韓国出張から帰った後に知りました。
ネットで検索すると、ある韓国人が本の内容を要約してくれていたので、それを以下に訳出します。
李栄薫『反日種族主義』
プロローグ
韓国の民族主義は、西洋の民族主義とは違い、種族主義、特に反日種族主義という文化権力だ。
種族主義の起源
1-1 趙廷来(チョ・チョンネ)の小説『アリラン』の中で描かれている、日本による韓国人虐殺、強奪、野蛮の狂気は、韓国の種族主義、シャーマニズム、トーテミズムを示す荒唐無稽の極致である。
1-2 国史教科書にある、土地40%収奪説は、片手に銃を、もう一方の手には測量器を持って朝鮮の土地を収奪したという、慎鋪厦(シン・ヨンハ)教授が作りあげたトンデモ学説に基づくもので、日本の朝鮮併合は、個々の土地を収奪するためのものではなく、韓国を永久に支配することを目的とした巨大プロジェクトであって、日本の法と制度を移植したプロセスとして理解すべきである。
1-3 日帝期の農民の窮乏は、農業生産性の問題にすぎず、日帝が米を収奪したためではない。日本に渡って行った米は、収奪ではなく、厳然たる輸出であり、これを通じ米の価格の上昇と所得の増加があった。
1-4 主権強奪は明らかに日帝の誤りであるが、教科書で描写されているように、日帝が個人の財産を強奪し、収奪したというのは事実ではない。日帝は、朝鮮に自由市場経済、民法、財産権の保護などの近代的制度を導入した。
1-5 強制徴用は虚構であり、日本に出稼ぎに行った労働者がいたにすぎない。文書や写真の記録は、彼らが差別を受けておらず、奴隷のような生活をしていなかったことを明らかにしている。2019年の初等学校6年生の社会の教科書54ページの韓国人の強制労働の写真は、北海道開拓の際の日本人労働者の写真である。
1-6 強制徴用労働者像は、韓国人が崇拝するもう一つのトーテムにすぎない。作業の配置において朝鮮人と日本人は差別がなかった。産業災害率は朝鮮人が高かったが、それは危険な作業をしてより多くの手当をもらおうとした朝鮮人が、より多く死んだものであって、労働の需要と供給が合致した結果でしかない。
1-7 戦争中、日本の炭鉱で働いた朝鮮人のために、日本の労働者はより少なく、朝鮮の労働者はより多くの賃金を受けとることになった。
1-8 陸軍特別志願兵は、出世しようと自発的に志願した朝鮮庶民であり、彼らは植民地時代には帝国の先兵だったが、1945年以降は祖国の軍人になった。
1-9 学徒志願兵は、間抜けだったわけでも、強制動員被害者でも、民族の闘士でもなく、立身出世、安楽な軍隊生活、延命欲にかられた複雑な存在だが、韓国史は彼らを反日志士として描写し、エリートたちの黒い歴史を隠蔽している。
1-10 1965年の請求権協定に関しては、そもそも請求すべきものがあまりないお互いの財産、債権・債務の調整のプロセスであり、大法院(最高裁)が問題視した労働者の損害と苦痛を含む個人請求権まですべて整理したものである。
1-11 韓国と日本は国交正常化で大きな利益を得ており、国交正常化によって韓国は日本の植民地になると言って反対した論者たちの予言は、愚かな見方であり、彼らは愚かで厚顔無恥である。
種族主義の象徴と幻想
2-12 白頭山を小中華の象徴とみなす神話、崔南善の猛虎気象図、高銀の白頭山、そして白頭山の天池に立つ文在寅、金正恩夫婦の写真を見れば、白頭の血統を称え、白頭山密営の丸太小屋に強制動員される南韓の人々の運命が予感される。
2-13 独島は世界史的に存在があいまいな紛争地域である。韓国の詩人たちが独島に行き、詩を朗唱し、独島を先祖の胆嚢だというのは、独島を反日種族主義の神聖なトーテムにする試みだ。
2-14 日帝が朝鮮の土地から大人物が出るのを防ぐため、全国の名山に鉄の杭を打ち込んで風水侵略をしたといわれているが、これは測定基準点(大三角点)にすぎず、訳述人のチ・クァンイルの話を聞いて、これを鉄の杭の神話にする韓国人は、閉じた世界観、非科学性、迷信性を反日と結びつけ、低劣な精神文化を示している。
2-15 旧総督府庁舎を解体したのは、破壊型文化テロで、恥ずべき清算すべき歴史を消そうという煽動を通じて、大韓民国の産業化、近代化、民主化を生んだ空間を破壊したものである。
2-16 高宗は亡国の暗愚な王なのに、一部の学者たちは開明君主として美化している。反日であれば何でも尊重される、とんでもない世相だ。
2-17 皇帝は条約締結に最後まで反対したが、乙巳五賊(李完用など5人の売国奴)が日本に屈して条約を締結したというのは、事実ではない。高宗が条約締結の御命を下したのであり、併合と朝鮮王朝の滅亡は、国家体制の総体的失敗を意味するに過ぎない。亡国の責任を乙巳五賊に問うのは、精神的退行だ。
2-18 親日清算は詐欺劇だ。制憲国会が推進したのは、悪質な反民族行為者の処罰であるが、盧武鉉政府の親日は清算運動では、その範囲が一定の職級以上であったのが、弾圧の先頭に立った親日反民族行為者へ、そして民族問題研究所の親日下手人へと、徐々にその対象が広がってきた。反民特委でも問題にされていない人々を、当時実際に被害を受けた人も問題視していない人々を、断罪する「遅く生まれた幸運を享受する者たちの暴挙」をほしいままにするのが、現在の親日人事掃討戦だ。なぜ親日清算と同じ熱意で、大韓民国の癌的存在である親北、従北派清算に力を傾けないのか。
2-19 日本は罪を犯したのだから何を要求してもいいんだというならば、強制動員被害に対する補償の要求は、永遠に終わらない。日本に対しては最後まで賠償要求し、はるかに大きな被害を与えた北朝鮮には、1ウォンも賠償を求めないというのは正常か?
2-20 土地気脈論、儒教的死生観、族譜(系図)を通じて得られたのであろう、祖先を共有する親族文化の土台の上に、韓国の民族主義は日帝の弾圧を受け形成され、身分的、種族主義的神学となった。
種族主義の牙城、慰安婦
3-21 「私は日本軍慰安婦だ」と告白し女性は170人だが、「私は米軍慰安婦だ」と告白したのは、わずか2、3人だ。これは、反日種族主義が、日本人慰安婦のみを保護・支援する集団情緒に土台を置いているからである。
3-22 妓生制が少数の特権層のためのものだったとすれば、日本の戸主制導入は、娘を売る権利を父に与え、朝鮮の公娼制と大衆売春社会を促進させた。性の商売が最も儲かった時代、朝鮮人の売春業は戦時、各国へ活発に進出した。女性の域外送出は日本軍慰安婦送出だった。
3-23 慰安婦たちは、大部分、強制連行されなかった。女性挺身勤労隊とはまったく別の概念である。そして慰安婦の数はとほうもなく誇張された。朝鮮軍司令部は、朝鮮の斡旋業者に下請けを与えたものであり、米国の記録によると、慰安所は軍によって編成された公娼で、重労働、高収益、ハイリスクの市場だったにすぎない。慰安婦の実像は、ソン・ヨンオク教授の性奴隷説とはかけ離れており、日本の慰安婦制度は、解放後も、韓国で堂々と生き延び、韓国軍慰安婦、民間慰安婦、米軍慰安婦の形で存在した。日本軍慰安婦が性奴隷なら、解放後の民間と基地村の慰安婦はそれよりもはるかに過酷な性奴隷だった。実際、ある慰安婦は死に際に日本を呪詛することはなかったのであって、両班の末裔である職業的運動家たちが抱いた反日種族主義の敵対感情とはかけ離れていた。
3-24 解放後40年の間、だれも問題にしなかったのに、1983年、吉田清治という一人の日本人の「慰安婦狩り」という嘘の証言のために生れたのが慰安婦問題だ。時間が経って、実像を知っている人がいなくなり、記憶が薄れると、われわれの姉や妹を狩りをするかのように連れて行き、慰安婦にしたという架空の新しい記憶が作ったのが、1990年11月、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)だ。
3-25 挺対協は原理主義的活動で、日本政府の謝罪と慰労金支給の試みを拒否し、慰安婦を「国家公権力が暴力的に強制した性奴隷」と主張する。しかし強制連行はなかった。むしろ朝鮮の女性人身売買の問題だった。貧しく、人権が薄弱なところでいつでも起こることを、韓国軍慰安婦、米軍慰安婦、民間慰安婦問題はさしおいて、日本軍慰安婦だけを取り出して性奴隷と批判するのは、根拠がない。彼らの目的は、日韓関係の破綻である。本当に元慰安婦たちの苦痛と悲しみに共感し、彼らを慰労するには、解放後70年まで反省しなければならない。娘を売ったのも、貧しい家の娘を騙して慰安婦として引き渡したのも、彼女たちが韓国に戻ってこられなくしたのも、戻ってきたとしても社会的賤視の中で息をひそめて生きざるをえなくしたのも、他の誰でもない韓国人である。慰安婦問題は、もっとも極端な反日種族主義のケースだ。
エピローグ
反日種族主義の報い。韓国社会は大きな問題に直面している。大きな問題とは、個人主義、自由主義の不在だ。このような面で、李承晩は、この国が過去70年間自由世界一員として発展できた土台を提供した。今日、韓国の政治家、歴史家たちは、李承晩を、たんに権力に忠実な、時流に明るい親米主義者と規定するが、みな李承晩の『独立精神』を読んでほしい。歴史学会は、国が滅びて以来114年経っても、大韓帝国が李完用ら5人の売国奴のために滅びたと記述している。しかし、王様が卑怯で、自由と独立の精神を知らなかったために滅びたのだ。国は経済的に発展したが、歴史をろくに知らず、凍てついた時代が過ぎ、80年代の自律の時代が来るとシャーマニズム、物質主義、種族主義が勃興した。反日種族主義は、60年代から徐々に成熟していたが、80年代に爆発し、過去30年間、韓国の精神文化はますます低い水準に墜落した。反日種族主義はこの国を亡国に導きかねないが、これを押しとどめるのに、この国の政治と知性はあまりに無気力だ。亡国の予言は、亡国の現実がしばらく進んでからしか聞こえない。だから、この本は夕陽に向かって鳴くミネルバの梟のようなものだ。
同じ著者が2007年に執筆した『大韓民国の物語』(翻訳版は2009年、文芸春秋)と重なる内容も多いですが、今回の本では、最近話題になっている徴用工問題を手厚く取り上げています。前著で、金大中、廬武鉉政権の民族ナショナリズムに警鐘を鳴らしましたが、文在寅政権はそれに輪をかけた民族主義。それを反日種族主義と呼んでいるのでしょう。
翻訳が出たら、一読をお勧めします。
ネットで検索すると、ある韓国人が本の内容を要約してくれていたので、それを以下に訳出します。
李栄薫『反日種族主義』
プロローグ
韓国の民族主義は、西洋の民族主義とは違い、種族主義、特に反日種族主義という文化権力だ。
種族主義の起源
1-1 趙廷来(チョ・チョンネ)の小説『アリラン』の中で描かれている、日本による韓国人虐殺、強奪、野蛮の狂気は、韓国の種族主義、シャーマニズム、トーテミズムを示す荒唐無稽の極致である。
1-2 国史教科書にある、土地40%収奪説は、片手に銃を、もう一方の手には測量器を持って朝鮮の土地を収奪したという、慎鋪厦(シン・ヨンハ)教授が作りあげたトンデモ学説に基づくもので、日本の朝鮮併合は、個々の土地を収奪するためのものではなく、韓国を永久に支配することを目的とした巨大プロジェクトであって、日本の法と制度を移植したプロセスとして理解すべきである。
1-3 日帝期の農民の窮乏は、農業生産性の問題にすぎず、日帝が米を収奪したためではない。日本に渡って行った米は、収奪ではなく、厳然たる輸出であり、これを通じ米の価格の上昇と所得の増加があった。
1-4 主権強奪は明らかに日帝の誤りであるが、教科書で描写されているように、日帝が個人の財産を強奪し、収奪したというのは事実ではない。日帝は、朝鮮に自由市場経済、民法、財産権の保護などの近代的制度を導入した。
1-5 強制徴用は虚構であり、日本に出稼ぎに行った労働者がいたにすぎない。文書や写真の記録は、彼らが差別を受けておらず、奴隷のような生活をしていなかったことを明らかにしている。2019年の初等学校6年生の社会の教科書54ページの韓国人の強制労働の写真は、北海道開拓の際の日本人労働者の写真である。
1-6 強制徴用労働者像は、韓国人が崇拝するもう一つのトーテムにすぎない。作業の配置において朝鮮人と日本人は差別がなかった。産業災害率は朝鮮人が高かったが、それは危険な作業をしてより多くの手当をもらおうとした朝鮮人が、より多く死んだものであって、労働の需要と供給が合致した結果でしかない。
1-7 戦争中、日本の炭鉱で働いた朝鮮人のために、日本の労働者はより少なく、朝鮮の労働者はより多くの賃金を受けとることになった。
1-8 陸軍特別志願兵は、出世しようと自発的に志願した朝鮮庶民であり、彼らは植民地時代には帝国の先兵だったが、1945年以降は祖国の軍人になった。
1-9 学徒志願兵は、間抜けだったわけでも、強制動員被害者でも、民族の闘士でもなく、立身出世、安楽な軍隊生活、延命欲にかられた複雑な存在だが、韓国史は彼らを反日志士として描写し、エリートたちの黒い歴史を隠蔽している。
1-10 1965年の請求権協定に関しては、そもそも請求すべきものがあまりないお互いの財産、債権・債務の調整のプロセスであり、大法院(最高裁)が問題視した労働者の損害と苦痛を含む個人請求権まですべて整理したものである。
1-11 韓国と日本は国交正常化で大きな利益を得ており、国交正常化によって韓国は日本の植民地になると言って反対した論者たちの予言は、愚かな見方であり、彼らは愚かで厚顔無恥である。
種族主義の象徴と幻想
2-12 白頭山を小中華の象徴とみなす神話、崔南善の猛虎気象図、高銀の白頭山、そして白頭山の天池に立つ文在寅、金正恩夫婦の写真を見れば、白頭の血統を称え、白頭山密営の丸太小屋に強制動員される南韓の人々の運命が予感される。
2-13 独島は世界史的に存在があいまいな紛争地域である。韓国の詩人たちが独島に行き、詩を朗唱し、独島を先祖の胆嚢だというのは、独島を反日種族主義の神聖なトーテムにする試みだ。
2-14 日帝が朝鮮の土地から大人物が出るのを防ぐため、全国の名山に鉄の杭を打ち込んで風水侵略をしたといわれているが、これは測定基準点(大三角点)にすぎず、訳述人のチ・クァンイルの話を聞いて、これを鉄の杭の神話にする韓国人は、閉じた世界観、非科学性、迷信性を反日と結びつけ、低劣な精神文化を示している。
2-15 旧総督府庁舎を解体したのは、破壊型文化テロで、恥ずべき清算すべき歴史を消そうという煽動を通じて、大韓民国の産業化、近代化、民主化を生んだ空間を破壊したものである。
2-16 高宗は亡国の暗愚な王なのに、一部の学者たちは開明君主として美化している。反日であれば何でも尊重される、とんでもない世相だ。
2-17 皇帝は条約締結に最後まで反対したが、乙巳五賊(李完用など5人の売国奴)が日本に屈して条約を締結したというのは、事実ではない。高宗が条約締結の御命を下したのであり、併合と朝鮮王朝の滅亡は、国家体制の総体的失敗を意味するに過ぎない。亡国の責任を乙巳五賊に問うのは、精神的退行だ。
2-18 親日清算は詐欺劇だ。制憲国会が推進したのは、悪質な反民族行為者の処罰であるが、盧武鉉政府の親日は清算運動では、その範囲が一定の職級以上であったのが、弾圧の先頭に立った親日反民族行為者へ、そして民族問題研究所の親日下手人へと、徐々にその対象が広がってきた。反民特委でも問題にされていない人々を、当時実際に被害を受けた人も問題視していない人々を、断罪する「遅く生まれた幸運を享受する者たちの暴挙」をほしいままにするのが、現在の親日人事掃討戦だ。なぜ親日清算と同じ熱意で、大韓民国の癌的存在である親北、従北派清算に力を傾けないのか。
2-19 日本は罪を犯したのだから何を要求してもいいんだというならば、強制動員被害に対する補償の要求は、永遠に終わらない。日本に対しては最後まで賠償要求し、はるかに大きな被害を与えた北朝鮮には、1ウォンも賠償を求めないというのは正常か?
2-20 土地気脈論、儒教的死生観、族譜(系図)を通じて得られたのであろう、祖先を共有する親族文化の土台の上に、韓国の民族主義は日帝の弾圧を受け形成され、身分的、種族主義的神学となった。
種族主義の牙城、慰安婦
3-21 「私は日本軍慰安婦だ」と告白し女性は170人だが、「私は米軍慰安婦だ」と告白したのは、わずか2、3人だ。これは、反日種族主義が、日本人慰安婦のみを保護・支援する集団情緒に土台を置いているからである。
3-22 妓生制が少数の特権層のためのものだったとすれば、日本の戸主制導入は、娘を売る権利を父に与え、朝鮮の公娼制と大衆売春社会を促進させた。性の商売が最も儲かった時代、朝鮮人の売春業は戦時、各国へ活発に進出した。女性の域外送出は日本軍慰安婦送出だった。
3-23 慰安婦たちは、大部分、強制連行されなかった。女性挺身勤労隊とはまったく別の概念である。そして慰安婦の数はとほうもなく誇張された。朝鮮軍司令部は、朝鮮の斡旋業者に下請けを与えたものであり、米国の記録によると、慰安所は軍によって編成された公娼で、重労働、高収益、ハイリスクの市場だったにすぎない。慰安婦の実像は、ソン・ヨンオク教授の性奴隷説とはかけ離れており、日本の慰安婦制度は、解放後も、韓国で堂々と生き延び、韓国軍慰安婦、民間慰安婦、米軍慰安婦の形で存在した。日本軍慰安婦が性奴隷なら、解放後の民間と基地村の慰安婦はそれよりもはるかに過酷な性奴隷だった。実際、ある慰安婦は死に際に日本を呪詛することはなかったのであって、両班の末裔である職業的運動家たちが抱いた反日種族主義の敵対感情とはかけ離れていた。
3-24 解放後40年の間、だれも問題にしなかったのに、1983年、吉田清治という一人の日本人の「慰安婦狩り」という嘘の証言のために生れたのが慰安婦問題だ。時間が経って、実像を知っている人がいなくなり、記憶が薄れると、われわれの姉や妹を狩りをするかのように連れて行き、慰安婦にしたという架空の新しい記憶が作ったのが、1990年11月、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)だ。
3-25 挺対協は原理主義的活動で、日本政府の謝罪と慰労金支給の試みを拒否し、慰安婦を「国家公権力が暴力的に強制した性奴隷」と主張する。しかし強制連行はなかった。むしろ朝鮮の女性人身売買の問題だった。貧しく、人権が薄弱なところでいつでも起こることを、韓国軍慰安婦、米軍慰安婦、民間慰安婦問題はさしおいて、日本軍慰安婦だけを取り出して性奴隷と批判するのは、根拠がない。彼らの目的は、日韓関係の破綻である。本当に元慰安婦たちの苦痛と悲しみに共感し、彼らを慰労するには、解放後70年まで反省しなければならない。娘を売ったのも、貧しい家の娘を騙して慰安婦として引き渡したのも、彼女たちが韓国に戻ってこられなくしたのも、戻ってきたとしても社会的賤視の中で息をひそめて生きざるをえなくしたのも、他の誰でもない韓国人である。慰安婦問題は、もっとも極端な反日種族主義のケースだ。
エピローグ
反日種族主義の報い。韓国社会は大きな問題に直面している。大きな問題とは、個人主義、自由主義の不在だ。このような面で、李承晩は、この国が過去70年間自由世界一員として発展できた土台を提供した。今日、韓国の政治家、歴史家たちは、李承晩を、たんに権力に忠実な、時流に明るい親米主義者と規定するが、みな李承晩の『独立精神』を読んでほしい。歴史学会は、国が滅びて以来114年経っても、大韓帝国が李完用ら5人の売国奴のために滅びたと記述している。しかし、王様が卑怯で、自由と独立の精神を知らなかったために滅びたのだ。国は経済的に発展したが、歴史をろくに知らず、凍てついた時代が過ぎ、80年代の自律の時代が来るとシャーマニズム、物質主義、種族主義が勃興した。反日種族主義は、60年代から徐々に成熟していたが、80年代に爆発し、過去30年間、韓国の精神文化はますます低い水準に墜落した。反日種族主義はこの国を亡国に導きかねないが、これを押しとどめるのに、この国の政治と知性はあまりに無気力だ。亡国の予言は、亡国の現実がしばらく進んでからしか聞こえない。だから、この本は夕陽に向かって鳴くミネルバの梟のようなものだ。
同じ著者が2007年に執筆した『大韓民国の物語』(翻訳版は2009年、文芸春秋)と重なる内容も多いですが、今回の本では、最近話題になっている徴用工問題を手厚く取り上げています。前著で、金大中、廬武鉉政権の民族ナショナリズムに警鐘を鳴らしましたが、文在寅政権はそれに輪をかけた民族主義。それを反日種族主義と呼んでいるのでしょう。
翻訳が出たら、一読をお勧めします。
『反日種族主義』の要約の翻訳をありがとうございます。
お願いがあります。
出来れば、もとのソースのアドレスを教えていただけると嬉しいです。
どのような文体で内容を要約しているのか、興味があります。
要約をしたのは、高麗大学のイ・ハンサン教授で、私は別のブログで紹介されていたのを読みました。
書評の一部ですが、書評そのものは本書に批判的です。
https://m.blog.naver.com/PostView.nhn?blogId=lefteye71&logNo=221613903117&categoryNo=44&proxyReferer=https%3A%2F%2Fwww.google.co.jp%2F
本文は後でじっくり読ませていただきますね。
コメントを見たのですが、やはりなかなか韓国の方々には李栄薫さんの主張は受け入れがたいものがあるのがわかります。
私思いますに、犬鍋さんが意味がわからないとされた
3-23の最後の方の部分の原文は「……양반 나부랭이 직업적 운동가들이 품은 “반일 ”종족주의의 적대감정과는 거리가 멀었다.……」となっていて、
「……職業運動家達が抱いた“反日”種族主義の敵対感情とはかけ離れていた……」となるのではないでしょうか?
またこのブロクをシェアさせていただきます。よろしくお願いいたします。
ご助言ありがとうございました。ご教授内容を参考に、その前の部分も手直ししました。