犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

処理水・汚染水・核廃水

2023-07-11 06:15:08 | 韓国雑学

写真:「日本福島核汚染水はほんとうに飲めるか」。顔写真は尹錫悦大統領

 梅雨のさなか、日本では各地で線状降水帯が発生し、被害をもたらしています。

 10日は、福岡県朝倉市に特別警報が発せられました。

 朝倉市は次女の義父が住んでいて、数年前にも浸水被害にあっていた。今回も水が玄関先まで迫りましたが、床上浸水は免れたということで、胸をなでおろしました。

 「線状降水帯」というのは比較的最近使われ始めた言葉。

 三省堂国語辞典第7版(2014年)にはなく、第8版(2022年)に初めて採録されました。

 以前は「ゲリラ豪雨」という言葉がよく使われていたと思います。

 お隣の韓国では、今のところ「水爆弾」(韓国語で集中豪雨のこと)の被害は出ていないようです。

 それよりも、「汚染水」が騒がれています。

 福島原発事故で発生した大量の「処理水」を、この夏、海洋放出することに関するニュースです。

 韓国では、「処理水」を「汚染水」と呼びます。

 東京電力のホームページには、次のような説明があります。

 「汚染水」とは、福島第一原子力発電所の事故により発生している、高濃度の放射性物質を含んだ水のことです。
 溶けて固まった燃料デブリを冷やすための水が、燃料デブリに触れ放射性物質を含んだ「汚染水」となります。さらに、地下水や雨水が原子炉建屋・タービン建屋といった建物の中に入り込み、汚染水と混ざり合うことで、新たな汚染水が発生します。
 「処理水」とは、この「汚染水」を、複数の設備で放射性物質の濃度を低減する浄化処理を行い、リスク低減を行った上で、敷地内のタンクに保管している水のことです。

 「汚染水」と「処理水」はもともと違うものであり、韓国が「処理水」を「汚染水」と呼んでいるのは誤っています。

 「反日」のために、より危険なニュアンスのある「汚染水」をあえて使っているんですね。

 「汚染水」問題は、今や韓国で政争の具のなっています。

 韓日関係改善を指向する尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、IAEAの見解に基づき、「海洋放出」を容認する考え。一方、反日政党の野党ともに民主党は、そうした尹政権を「親日」だと批判し、「海洋放出」に断固反対を唱えています。

 韓国政府は「汚染水」という言葉を使っていますが、IAEAはもちろん科学的に正しい「処理水」という言葉を使っています。

 IAEA事務局長のグロッシ氏がさきごろ訪韓した際、政府のある高官が「汚染水」ではなく「処理水」という言葉を使ったところ、野党は大騒ぎしました。

 野党代表の李在明(イ・ジェミョン)は、最近、「汚染水」では刺激が足りないと思ったのか、「核廃水」という新しい用語を使い始めました。

 その用語について尹政権は、「あまりにも恣意的な解釈」「国民に根拠のない不安感を与えるもの」と批判しました。

 尹政権を批判するデモ隊は、「日本政府がIAEAに100万ユーロ(1億5000万円)を献金した」などと主張しましたが、フェイクニュースであることが確認されました。

 野党は、反日のためなら、新しい言葉を作ったり、フェイクニュースを流すこともためらわない。困ったものです。

 「処理水」が放出されたとしても、海流の関係で、韓国近海に達するのは数年後。有害物質の含有量も無視できるほど少ないのに…。

 この問題が、韓国政界の「最大の争点」に浮上しているのは、きわめて異常なことです。

「処理水」表現に問題なし 「核廃水」は不適切=韓国政府

 なお、「処理水」も「汚染水」も三省堂国語辞典第8版(2022年)に採録されていません。


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