英語のアルファベットは表音文字ということになっていますが、不思議な読み方をするものがあります。
その一つが「黙字」。読まない字があることです。
knifeのkとかeightのgh、そしてpsy…のp。
今回の韓国行きは大韓航空でした。ビデオメニューの中の一つを選ぶと、お馴染みの小太りのおっさんが、おどけた仕種で画面に登場しました。比較的最近の作品のようです。
ちょっと驚いたのが、アメリカでこれが公開されるとき、倫理上の問題が提起され、上映が危ぶまれるという事態が起こっていたのだそうです。
全裸の女性の入浴シーン、包丁で襲うシーン、トイレの水を流すシーン。いずれも当時のアメリカ映画ではタブーだったというのですね。
この作品は、いうまでもなくPsycho(サイコ)、アルフレッド・ヒッチコックの代表作です。
もちろんサイコはずいぶん古い映画ですから、私が機内で見たのはサイコそのものではありません。「ヒッチコックとサイコの制作」という、2012年のノンフィクション作品です。
少し前に日本のBS放送でヒッチコック作品を立て続けにやっていて、「裏窓」を久しぶりに見たあとだったので、このノンフィクション作品も興味深く鑑賞しました。
冒頭に登場した小太りのおっさんは、ヒッチコック自身ではなく、ヒッチコックを演ずるアンソニー・ホプキンスという俳優で、テレビ番組の「ヒッチコック劇場」の冒頭部分を模したものでした。
ストーリーは、ヒッチコックの最高傑作といわれるサイコの制作裏話を、夫人との葛藤を中心にして描いたもの。
サイコが、原作(ロバート・ブロック作)のあまりにも猟奇的なストーリーから、制作会社からも配給会社からも拒まれそうになったこと、その窮地を救ったのが、ヒッチコックの夫人、アルマ・レヴィルでした。アルマは、ヒッチコック最大の理解者であり援護者であったにもかかわらず、ヒッチコックから認めてもらえず、脚本家との不倫に走りそうになったりもします。しかし、サイコ制作において酒びたりになっていたヒッチコックを助け、大成功に導いたことから、ヒッチコックは自らの監督としての成功がひとえに妻の支えによるものであることを自覚し、終生、夫人への感謝を忘れなかったそうです。
なお、韓国にもPsychoに似た名前の芸人がいるそうですが、私はよく知りません。
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