待ち受ける最後の難関。
それは中腹部から更に上に登る為の坂。
角度がハンパじゃない。
さすがにこれ以上は無理だと判断し、
ここからは歩いて行くことに。
そこへ東京から手伝いに来た4人組が到着。
なんでも乗ってきた車で最初の坂を上がれなかったらしく、
ここまで歩いてきたとのこと。
さらに地元のお手伝いさん1人も到着。
いざ出発しようとするが、
軽く吹雪き始めている。
さすがの所長も少し考えている。
そこへ「所長、この雪の中でやるんですか?」
と東京から来たお手伝いさんたちが尋ねる。
いかん。
この所長、こっちが後ろ向きな姿勢を見せると、
逆にどんどん火がつく習性がある。
こういう時はこっちが煽るくらいの勢いでいかないと。
僕「こんな吹雪くらい大丈夫でしょう!ちょっと視界が悪いけど。早く行ってガンガンやりましょう!もっと雪が酷くなる前に」
所長「そうだよな。すごいなお前」
えぇっ・・・。
そんなバカな。
仕方なく準備に取り掛かるみなさん。
どうもすいません。
強風と凍結した斜面に足を取られ、
思うように前に進むこともできない。
やっとこさ登りきり、今回の目的地へ到着。
道具を準備し、いざ取り掛かる。
所長「今日は4本倒すからな」
そしてどの木を倒すか指示を受ける。
いずれも高さ30mを越える大木。
何も考えずに倒すだけなら良いのだが、
周りにも木が立ち並んでるので、
変な方向に倒してしまうと、隣の木に引っ掛かって倒れない。
そんな状態になってしまったら、倍の手間が掛かってしまう。
なので、事前にワイヤーで木を引っ張っておいて、
なるべく何もないとこへ倒さなければならない。
ハシゴでなるべく10m以上の高い位置にワイヤーを取り付ける。
それをレバーブロックという手動の緊張器で引っ張る。
1回の操作で10ミリくらいしかワイヤーを引っ張れないので、
何度もなんどもレバーを操作しなければならない。
引っ張りが強くなるほど、レバーも重くなってゆく。
そうしてワイヤーの段取りが出来たら、
いざチェンソーで切断をする。
しだいに木がメキメキという音をたて始める。
木が傾くとワイヤーも緩んでしまうので、
ここで一気に引っ張る。
最終的には何人かでワイヤーそのものを引っ張る。
パキンという音がした音にギギギギと鈍い音をたて、
木が倒れ始める。
「倒れるぞぉっ!!」という声と共に、
ワイヤー張ってる方はダッシュで逃げる。
この瞬間がなかなか面白い。
大のオッサンたちがキャッキャッ言いながら逃げ惑うのである。
もちろんかなり遠い位置から引っ張ってるのだが、
30mもあると絶対安全とは言えないので、とりあえず逃げる。
倒れたら、今度は1m間隔で切り刻んでゆく。
こうしないと、とてもじゃないけど人力で運べない。
そんでその切り刻んだ丸太を運びやすい道路まで運ぶ。
これがほんとに重い。
僕でなんとか肩まで担ぎ上げられるけど、
たいていは2人でうんせうんせ運ぶことになる。
そうしてようやく1本目の伐採完了。
そこで所長が、
「あ、俺ちょっと下に用事あるからあとヨロシクな」
と言って、さっさと下山。
おいぃぃ!!
次に地元のお手伝いさんが、
「あ、ちょっと娘が急に海外旅行行くらしいから送ってくる」
と言って、さっさと下山。
待てぇぇぇ!!
急に海外旅行行とか行かないいだろ。
吹雪の山に取り残される5人なのでした。