無知の涙

おじさんの独り言

やや北の国から3

2010年04月02日 | 軽井沢メモリー

待ち受ける最後の難関。

それは中腹部から更に上に登る為の坂。
角度がハンパじゃない。

さすがにこれ以上は無理だと判断し、
ここからは歩いて行くことに。

そこへ東京から手伝いに来た4人組が到着。
なんでも乗ってきた車で最初の坂を上がれなかったらしく、
ここまで歩いてきたとのこと。

さらに地元のお手伝いさん1人も到着。

いざ出発しようとするが、
軽く吹雪き始めている。

さすがの所長も少し考えている。

そこへ「所長、この雪の中でやるんですか?」
と東京から来たお手伝いさんたちが尋ねる。

いかん。
この所長、こっちが後ろ向きな姿勢を見せると、
逆にどんどん火がつく習性がある。
こういう時はこっちが煽るくらいの勢いでいかないと。

僕「こんな吹雪くらい大丈夫でしょう!ちょっと視界が悪いけど。早く行ってガンガンやりましょう!もっと雪が酷くなる前に」

所長「そうだよな。すごいなお前」


えぇっ・・・。
そんなバカな。

仕方なく準備に取り掛かるみなさん。
どうもすいません。


強風と凍結した斜面に足を取られ、
思うように前に進むこともできない。


やっとこさ登りきり、今回の目的地へ到着。
道具を準備し、いざ取り掛かる。

所長「今日は4本倒すからな」
そしてどの木を倒すか指示を受ける。

いずれも高さ30mを越える大木。
何も考えずに倒すだけなら良いのだが、
周りにも木が立ち並んでるので、
変な方向に倒してしまうと、隣の木に引っ掛かって倒れない。
そんな状態になってしまったら、倍の手間が掛かってしまう。

なので、事前にワイヤーで木を引っ張っておいて、
なるべく何もないとこへ倒さなければならない。

ハシゴでなるべく10m以上の高い位置にワイヤーを取り付ける。
それをレバーブロックという手動の緊張器で引っ張る。
1回の操作で10ミリくらいしかワイヤーを引っ張れないので、
何度もなんどもレバーを操作しなければならない。
引っ張りが強くなるほど、レバーも重くなってゆく。

そうしてワイヤーの段取りが出来たら、
いざチェンソーで切断をする。

しだいに木がメキメキという音をたて始める。
木が傾くとワイヤーも緩んでしまうので、
ここで一気に引っ張る。
最終的には何人かでワイヤーそのものを引っ張る。

パキンという音がした音にギギギギと鈍い音をたて、
木が倒れ始める。

「倒れるぞぉっ!!」という声と共に、
ワイヤー張ってる方はダッシュで逃げる。

この瞬間がなかなか面白い。
大のオッサンたちがキャッキャッ言いながら逃げ惑うのである。

もちろんかなり遠い位置から引っ張ってるのだが、
30mもあると絶対安全とは言えないので、とりあえず逃げる。


倒れたら、今度は1m間隔で切り刻んでゆく。
こうしないと、とてもじゃないけど人力で運べない。

そんでその切り刻んだ丸太を運びやすい道路まで運ぶ。

これがほんとに重い。
僕でなんとか肩まで担ぎ上げられるけど、
たいていは2人でうんせうんせ運ぶことになる。

そうしてようやく1本目の伐採完了。

そこで所長が、
「あ、俺ちょっと下に用事あるからあとヨロシクな」
と言って、さっさと下山。


おいぃぃ!!

次に地元のお手伝いさんが、
「あ、ちょっと娘が急に海外旅行行くらしいから送ってくる」
と言って、さっさと下山。

待てぇぇぇ!!
急に海外旅行行とか行かないいだろ。


吹雪の山に取り残される5人なのでした。