遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

生活笑百智 『萬法秘術集』(6)

2021年04月02日 | おもしろ古文書

江戸の面白古文書『萬法秘術集』の6回目です。

 

   もちにむせくるを其座ニて直ス傳
おは黒のだしかねを茶碗ニ少し入口へ
つき入ル又其茶碗に水を少し入れこうむりの
ふん一ツ入口へつき入ルなりすくに本腹(ほんぷく)す
る事妙なり
おはぐろハもちをちゞめるこうむりの        
ふんハもちをとかす             本腹する:回復する 

    餅にむせたのをすぐに治す口伝
お歯黒の鉄漿を茶碗に少し入れ、口の中へ入れる。
また、その茶碗に水を少し入れ、コウモリの糞を一つ入れ、口へ突き入れなさい。不思議にも、すぐに回復する。
お歯黒は餅を縮め、コウモリの糞は餅を溶かす。

 

   玉子きいみかへしの法
玉子をたくわん付のこのかの中へ十日斗入        
置其後満てる也 かへる事妙なり     このか:こぬか、 満てる:完了

    卵の黄身返しの方法
卵を沢庵漬の小糠の中へ、10日ほど
入れておく。それで完了。黄身が外側へ来る、不思議だ。

 

   玉子を三角四角にする傳
玉子を水にて湯でる此中へかたうふみ草
少し入湯でるあたゝか成内ニ三角ても四角ても
ちよふに也事妙なり

   卵を三角、四角にする口伝
卵を水からゆでる。その中へ、 かたうふみ草 (不明)
を少し入れ、茹でてあたためているうちに、三角でも四角でも
自由になる事、不思議だ。

 

   玉子の中へ字を入ル傳
玉子の上ニ書こふと思ふ字を酢ニて
三四へん書ほし其後正中の墨ニてあとを
とめ書してもち米のかすミニて能うでる也      かすみ:酒
皮にきすつかすして内に字入なり

     卵の中へ字を入れる口伝
卵の上に書こうと思う字を酢で
3、4回書いて干し、その後、焼酎の墨で跡を
止め書きして、餅米の酒でよくゆでる。
皮に傷をつけずに、内に字が入る。

 

   満十拵様
一 かしあけの餅米壱升麹四合      
さ湯壱升八合入能さまし種入て
能ねる也右のしほりかす也

   饅頭拵え方
一 かしあげた餅米一升、麹四合、
白湯一升八合を入れ、よくさまして種を入れ、
よく練る。この絞りかすが饅頭だ。

 

  女人後産(あとざん)お取方
一 ゆすの種三つぼ斗能粉ニして
さゆニて用るへし妙薬なり

   女人の後産の取り上げ方
一 柚子の種を3粒ほどよく粉にして、
白湯でのませる。妙薬だ。

 

      ようかんこしらいる傳
一 小豆一升能にてさとふ二斤入
合てつなぎに小麦の粉少し入て
火ニて能合せる也

   羊羹を作る口伝
一 小豆一升をよく煮て、砂糖二斤を入れ
合せて、つなぎに小麦粉を少し入れて、
火でよく合せる。

 

     白酒
  一 もち米三升麹一升ト酒一升
右三品ニてつくる也

     白酒
  一 もち米三升、麹一升と酒一升、
この三品で作る。

 

    瀬戸物焼次の傳
一 唐土五匁もつ孝五匁二品合て白玉の粉
上へにぬる也是ハ玉子の白味ニてとく也
右三品釜に入赤く也程焼白玉ハ五まの
油にてねる也

        瀬戸物を焼継ぐ口伝
一 唐土五匁、もっこう(木瓜?木香?) 五匁、この二品を合せて、白玉粉の上に塗る。この二品は、卵の白味でとく。
これら三品を釜に入れ、赤くなるほど焼く。白玉は、胡麻の油でねる。                白玉:鉛ガラス粉末

 

  春物付様の傳
一 ゆすを付るニハ塩水に赤鉄ヲ
入て付置べし葉迄何時ニても
時の物のよふなり

   春物を漬ける方法口伝
一 柚子を漬けるには、塩水に赤鉄を
入れて漬けおきなさい。いつまでも、葉に至るまで、
時期の物の様に保たれる。

 

  松だけしめじ久しく置法
一 豆婦のからに塩を入て直に付置べし

    松茸、シメジを長く置く方法
一 豆腐のおからに塩を入れて、すぐにつけおきなさい。

 

 

コメント (4)
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