遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

陶胎七宝窓草花紋盤口大花瓶

2021年05月24日 | 陶磁胎七宝

どうやら、陶胎七宝という品が明治初期に作られ、欧米に輸出されたらしい、と考えるようになってから暫くして、棒に当たりました(^.^)

それが、この陶胎七宝大花瓶です。

口径 12.7㎝、底径 12.5㎝、高 32.2㎝。重さ 1.7㎏。明治初期。

尺越えの堂々たる大花瓶です。

先回のブログで紹介した品とよく似た品です。ただ、大きさが非常に違います。

 

反対側:

 

両横側:

 

上部の内側には、京薩摩らしく色絵で花が描かれています。

 

底の造りは前回の品と一緒。銘がありますが、読めません。

 

実はこの品、さる骨董店の隅にひっそりと置かれていました。

聞くと、「どこの品かよくわかりません。中国かも知れない」と主人。

確かに、この手の泥七宝は、中国で多く作られてきました。明末の品であれば、相当古格があります。しかし、この品は新しい。みんはみんでも、民国あたりの物なら売り物にならないので、主人もどうしたものかとためらっていたと思います。

それもそのはず、陶胎七宝の絶対数は大変少なく、私の実感では、七宝百個のうち一個くらいの割合でしかありません。通常の骨董店では、一生に一個扱うかどうかでしょう。

「きれいですね。家に飾ってみたいですね」とかなんとか当たり障りのない事を言って、値段交渉。私としては、大変お値打ちに入手することができました(^.^)

 

窓の中に、レンゲの花?

 

テッセンと菊。

 

両サイドは幾何学紋。

 

肩のあたりをめぐるあずき色の帯も、先回の品と同じです。

 

台のついた底も、先回と同じ、輸出向け製品の形です。

 

先回の花瓶と並べてみると、両者、一回り以上大きさがちがいますが、色形など、同じところの産であろうと思わせる造りです。

例によって、資料をひっぱりだしました。

似たような品が載っています。

特別展「七宝」、名古屋市博物館、1989年

陶胎七宝「花文花瓶」、高 29.0㎝

これくらいの大きさが、陶胎七宝の限界でしょうか。

博物館に、3㎝アヘッド(^^;

コメント (2)
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