遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

大皿・大鉢・壷27 三島唐津大平鉢

2022年01月18日 | 古陶磁ー大皿・大鉢・壷

今回は、三島唐津の大鉢です。

径 43.1㎝、高台径 14.8㎝、高 14.1㎝。江戸前期。

どっしりと、存在感のある大鉢です。無疵完品と言ってよい状態です。

唐津焼には日用品から茶道具まで、いろいろな物がありますが、今回の品は大型の雑器です。この様な物が、どうして無疵で伝わったのか、不思議な気がします。古くから大切にされてきたのでしょう。時代や大きさが似た物に、美濃の笠原織部鉢があります。笠原鉢は、ほとんどが発掘品、しかも疵だらけです。この差はどこから生じるのか、謎です(^.^)

この大鉢のウリは、何といってもびっしりと施された象嵌三島模様です。唐津焼のルーツは朝鮮半島にあります。ですから、白い象嵌模様が唐津焼に受けつがれるのは自然です。

 

器の表には、印花でびっしりと模様が施されています。半乾きの器体に小さな印を押して凹の模様をつくり、そこに白泥を入れ、上釉を掛けて焼成されたものです。

白象嵌模様がびっしりと表面を埋めているのですが、くどさやどぎつさは感じられません。全体に柔らかな印象です。和様化した三島手といえるのではないでしょうか。

 

上釉の掛けはずしも、アクセントを添えています。

鉢の中央には、重ね焼きの際にできた大きな目跡が8個ほどついています。一個の大きさが4-5㎝もあります。土塊を置いたのでしょうか。

裏面を見てみます。

釉薬は、上方、三分の一くらいまで、豪快に掛かっています。

がっちりとした高台が、器全体の安定感をもたらしています。

陶工の指跡が残っています。

この品は、巨大な桐箱におさめられていました。表には、「唐津焼大皿 花生用」とあります。

前所有者は、この大平鉢を花生けに使っていたのです。

それならということで、大剣山を据え、アヤメの葉ばかりを、70本生けました(花人、川瀬敏郎さんのマネ(^^;)。我ながら、お主できるな、の出来でした。来訪者は、床の間に出現したアヤメ林にビックリ。この唐津大平鉢は、重量級の生け花を可能にする力をもっているのですね。

ps。この大鉢に花(葉)を生けたのは、20年ほど前です。以来、一度も使っていません。その理由は、大作に挑むには、気力、体力が必要(^.^)

 

 

 

コメント (6)
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