今日で遅生の故玩館ブログも、yahooブログから通算5年となりました。
節目の一品ということで、とっておきの陶胎七宝を紹介します(実は、年賀ブログの写真でした(^^;)
径 21.5㎝、高 11.3㎝、重 805g。明治初期。
陶胎七宝は、通常の金属胎七宝と異なり、陶磁器の上に七宝釉薬を焼き付けた物です。
これまで、いくつかの陶胎七宝をブログにアップしてきました。未紹介の品も含め、故玩館所蔵の陶磁胎七宝のうちで、今回の品が美術工芸品として一番優れているので、紹介する次第です。
器のほぼ全面に七宝が施されています。七宝釉は、近代七宝以前に使われていた艶の無い、いわゆる泥七宝です。
器の外周と足部は、金彩が塗られています。
底に、「日本京都錦光山造」と書かれています。
明治初期に作られた陶胎七宝の主要産地は京都でした。そして、その中心が京焼の錦光山、象牙色の胎土表面にハート形の植線をびっしりと配置して地模様とし、花蝶紋を散りばめたデザインが特徴的です。
今回の品は、その代表作と言っていいでしょう。
中央に四匹の蝶。
そのまわりを、牡丹と桜の花が取り囲み、
さらに外を多くの蝶が舞っています。
蝶は、大蝶が11匹、小蝶が9匹、計20匹です。
裏面やステム部にも手抜きがありません。
表面と類似の模様で七宝が施されています。
大きな蝶が、表面より密度濃く飛んでいます。
やはり、牡丹と桜の模様も。
脚下部も、蝶とハート形地模様がビッシリ。
裏面、脚部の蝶は、大蝶が14匹です。
驚くことに、コンポートに描かれた蝶の色模様は、全部異なっています。
京焼の雄、錦光山の意地を世界に示そうと、気概にあふれていますね。
徒然なる時に、いったい何個のハート形地模様があるのか、数えてみたいと思います(^^;