遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

呉須赤絵もどきの茶碗

2021年12月21日 | 古陶磁ー大皿・大鉢・壷

今回は、呉須赤絵風の茶碗です。

かなり古い桐箱に入っています。

「支那夏茶碗」とあります。紐がすり切れています。

麗々しく仕覆に包まれていたのは、

呉須赤絵風の茶碗でした。

径18.4㎝、高台径7.1㎝、高5.5㎝。明治?

この品は、20年程前、大阪老松の骨董街から少しはずれた所にある、小さな骨董屋でみつけた物です。いかにも趣味でやっているという風体の主人が、4.5疂ばかりの地下室に所狭しと品物を並べて積んでいました。ここは書が中心の店で、よく私は江戸の俳句などを求めました。時々、毛色の変わった陶磁器なども転がっていて、「専門でないのでよくわかりまへん」と言う亭主に、「じゃあ、これも」と、得体の知れない品を格安で持ち帰りました。今回の品もそのうちの一つです。

一見、呉須赤絵かと思いますが、描き方が呉須赤絵より律儀です(^^;

それに、絵のデザインが和風です。

裏側にはほとんど釉薬が掛かっておらず、赤釉、青釉が生地に直接塗られています。模様は呉須赤絵風ですが、赤色が鮮やかで、艶がありすぎます。同じような赤模様(狐火?)の品物を、別の骨董屋で見たことがあります。

江戸後期から、京都や三田、犬山など日本各地で、呉須赤絵を写した陶磁器が盛んに焼かれるようになりました。今回の品も、そのような物の一つだと思われます(私見では、犬山焼)。

器体に白化粧はまったく施されていません。それに、呉須赤絵なら、爪で弾くと、キーンという金属音が響きますが、この品は、コッ、コッとにぶい音をたてるだけです。明らかに、「支那」の焼物ではありません。

悪意か、思い込みか?箱に、「支那焼夏茶碗」と書けば、グレードが上がりと思ったのでしょう(^^;

高台疂付はすべすべして、かなり使い込まれています。

手にもよくフィットするので、和様呉須赤絵茶碗として、来夏、デビューする予定です(^.^)

 

 


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2 コメント

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遅生さんへ (Dr.K)
2021-12-21 16:42:46
私も、これは、呉須赤絵ではないと思います(^-^*)
それでは、何処で焼いたかとなりますが、私は、犬山焼はもっと呉須赤絵らしく作られている場合が多いと思いますので、犬山焼ではないような気がします。京都辺りで作られたのでしょうか、、、?

「支那焼」の表記ですが、当時は、中国で作られたものではないことが分かっていても、「中国風のもの」とか「中国風の文様のもの」程度の意味で書いていたのではないかと思うんですが、、。
悪意はなかったと思うんですよね(^_^)
案外、当時のものには、そんな例がありますよね。
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Dr.kさんへ (遅生)
2021-12-21 17:13:49
こういうニッチ物の特定は難しいですね。京都と犬山、白黒つけがたいです。地元という事で、犬山に札を入れました(^.^)
昔、犬山焼の大コレクターの所に出入りしていた事があります。莫大な量の品物をどうするのだろうかと思っていたら、全部、愛知県陶磁資料館に寄贈されました。記念の展示会と小図録がお返しでした。ご本人は、まもなく亡くなられました。
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