前のブログで、江戸時代に宮中で使われたと思われる2種類の皿を紹介しました。
その皿を入手した店で、半年後、似た皿をみつけました。
同一手、2枚です。
いずれも、周囲に使用痕が多くあり、私が金継ぎで補修しました。
16弁の菊花、3個が竹の間に散らされています。
皿を3分割した絵柄というよりは、3回対称のデザインと言った方が良いでしょう。
径 11.5㎝、高 2.6㎝、底径 6.1㎝。江戸中~後期。
以前の2枚の皿より、一回り小さい、文字通りの小皿です。
裏の圏線、唐草模様など、以前の皿とほぼ同じです。
唐草模様は、丁寧に描かれています。
竹の円弧もふくめれば、この皿は丸づくしです。
十六弁菊花の外周をぐるっと円がめぐっているので、手っ取り早く八重菊になっていますね(^.^)
圏線は轆轤で回せば楽に描けるとしても、菊花の周の円などはフリーハンドで描くのでしょうか。
菊花をよく見てみると、まず円を描き、それに沿って花びらの丸い部分をグリグリと16描き、直線で結んで16弁の花にしているようです。手慣れた職人技とはいえ、大変ですね。
よく見てみると、竹の方がもっと手がこんでいます。
これだけびっしりと竹が描き込まれていると、16弁菊花の重みが薄れます。
それでも、この皿は禁裏御用品なのでしょうか。
御用品というより、どことなく鍋島の雰囲気が少し感じられる?・・・・・相変わらず、自分の品には贔屓目の遅生でした(^.^)
裏面の繋ぎ唐草文は、枠取りをして、ダミ染めをしているのでしょうか、、。
先回までの裏面の繋ぎ唐草文は、付立て風で描かれていると思いますが、これは違いますね。丁寧な描き方で、時代も遡りますよね。
竹の文様など実に丁寧に描かれていますよね。
江戸期に、有田の禁裏御用窯を務めた辻家は、このようなものを作っていたのでしょうか、、、。
貴重な資料になりますね(^-^*)
本当に小皿ですから、細い唐草です。そこまでする必要もないように思うのですが、仕事きっちりですよね(^^;
特に、竹の部分は手間がかかると思います。
伊万里の心意気ですね(^.^)
私は裏を見て、銘が入ってないと普段使いのお皿なのか…なんて思ってましたが、
お教えいただいてみる目が少し変わりました。
母屋には少ししか昔のものは出してありませんが、土蔵他物置のものを見るのが楽しみになりました。
ご自分で金継ぎで補修をなさるんですね。こういうお皿も見ましたよ。
そうはいえ、忙しくなり、いつ土蔵へ入れるか・・・です。
今振りかえってみると、その感覚が味わいたくて、これだけ長い間、ガラクタ遊びを続けてきたのだと思います。(^.^)
土蔵の中の物たちが、また、新たな目に気づかせてくれるかもしれませんね。
今回のお皿、宮中ながらも「普段使い」のものだったとしたら、まさにお皿冥利に尽きるのではと思いました。
有名な作家さんがこしらえた器になると、中には飾っておく方もみえます。
高額な物であれば、それもいたしかたないとは思いつつ、僕は使ってなんぼとも思います。
一方、現在は100円均一のお店でも、お皿を手に入れることができます。
作家さんの顔が見える焼き物を、買い手のお財布が悲鳴をあげない(苦笑)程度で買い、その人の日常に潤いを…。
僕の街の焼き物たちも、買ってよし、売ってよし、世間よしになると良いのになぁと思う次第です。
今はどこの焼物産地も、海外からの廉価品に対抗するのが難しくなっています。縫製品と同じ運命をたどってしまうのでしょか。