
明治から昭和にかけて、虎の絵で一世を風靡した日本画家、大橋翠石の小品です。
大橋翠石『水仙と薔薇』色紙、昭和。
大橋翠石(おおはしすいせき、慶応元(1865)年ー 昭和二十(1945)年): 大垣生れ。渡辺小華に師事。動物画、特に細密な虎絵で人気を博した。明治三三年、パリ万国博覧会、「猛虎」で金牌受賞。
水仙と薔薇が描かれています。
薔薇の葉、
薔薇の花は、
たらし込みの技法で描かれています。
大橋翠石は、虎をはじめ、様々な動物画で有名です。
彼の描く動物は、生き物に魂を吹き込まれたような迫力に満ちています。
一方、木や草花は、ほとんどが動物の背景として描かれていて、動物の細密な描写を浮き立たせるかのようにサラリと描かれています。
今回の品もそのような植物画の一つといえます。
植物のみを描いた翠石の絵は少なく、今回の小品はその意味で価値がありそうです(^.^)
大橋翠石の動物画は大変人気が高く、必然的に、贋物が多く存在します(特に地元には)。私も多くの偽物を持っています(以前よりは少ない(^^;)。
その中で、今回のように地味な品は、何とか贋物掴みを免れた物ではないかと思っています(^.^)
そうした中にあって、これは、私も、本物のような気がします(^_^)
水仙が、柔らかく、温和に描かれていますね(^-^*)
薔薇は派手なので、どうしても前面に出がちです。普通だったら、水仙は添え物になるところですが、この絵は逆ですね。
毎年、彼岸花が終わって、気がついたらいつのまにか水仙が茂っています。
他の草花が枯れるこの時期に、生き生きとする強い花ですね。
結果、手元にあるのはほとんど無名の画家の絵ばかりです(^^;
鑑定団に出て来た虎の絵で知りましたが、こういった作品もあるんですね
大垣の出身ということですから、故玩舘にあるべきお宝なのは間違いありません。
個人的には虎の絵よりずっと好きです。
当然、人気があり銭になる虎の絵が一番危ないですが、他の物でもあります。
詳しいコレクターによると生気が違うそうです。これまた、難しい(^^;
で、行きついた品はやっぱりニッチ(^.^)
虎の絵というものを見てみたくて
岐阜県美術館HPへとびました。
ポスターの虎、これが絵なの?と思うほど虎より虎らしくて、その筆致に驚きました。そしてこの絵が小学校蔵というのにも驚きました。豊かさが伝わってきます。
大垣市には大橋姓が多いです。
大橋巨泉の祖父も大垣出身で、傑出した明治のガラス職人だったそうです。