コロナ酷暑の中、陶磁器の些細な事に一喜一憂していても頭がカッカするだけですので、少し涼し気な品にチェンジすることにしました。
手元にあるガラス類を紹介します。
私の事ですから、ほとんどがガラクタ、図録に出てくるような名品は一つもありません。ま、贔屓目に見れば、庶民の日常で愛されてきた品々といえるでしょうか(^^;
今回は、ガラスの風鈴です。
気泡やよれが多くみられます。
戦前の品です。
内側に、花が描かれていますが、ほとんで剥がれています。
内側の絵が、ほぼ残っているガラス風鈴です。
本体や付属品の作りは、先の風鈴とほとんど同じです。ところどころに気泡やゆがみがみられます。戦後すぐ位の品でしょう。
糸で吊られたガラス棒が風に揺られて本体に当って、音が出ます。
この風鈴も、上の二つと同じ作りです。
ガラスは新しく、昭和も後の方の品でしょう。
3個の風鈴に共通しているのは、ガラス棒が当たって音が出る本体の穴の部分がギザギザになっていることです。このギザギザによって、微妙な風鈴の音が得られるのです。確かに、普通のガラス風鈴が、チン、チン・・と鳴るのに対して、この風鈴は、チ、チ、チ、チリンと聞こえます。
このようなガラス風鈴は、江戸風鈴とよばれ、江戸時代から変わらない製法で作られてきました。ガラスの長い棒(共竿)の先に熔けたガラスを巻き取り、宙吹きで膨らましてできた風鈴を切ってギザギザの底をつくります。
実は、江戸ガラスは、この製法で風鈴を作ってきた篠原儀治が、昭和40年頃に命名したもので、現在は登録商標となっています。
現在、江戸風鈴を作っているのは、篠原風鈴本舗、篠原まるよし風鈴の2カ所です。
非常よく似たガラス風鈴が、もう3個ありました。
少し小さい玉子形です。比較的新しく、三番目の江戸風鈴と同じ位の時期につくられたものでしょう。
この風鈴には、底のギザギザがなく、チン、チンと単調な音です。
並べてみると、なかなか風情があります。
日が暮れると、風が出てきました。ガラスの柔らかな音もいいものですね。
ところで、どういうわけか、今年は、ガラス風鈴が各地のイベントなどで使われているようです。
これは、関ケ原古戦場にあるテーマパーク、関ケ原ウォーランドで現在行われている、関ケ原風鈴祭りの様子です。
去年から始まったイベントで、ガラス風鈴5000個が、200mにわたって吊るされた、日本一の風鈴祭りだそうです。
まあ、関ケ原古戦場とはいっても、何も残っていないわけですから、お定まりのジオラマなどでお茶を濁すよりは、ガラス風鈴の音の方が、当時を偲べるかもしれません。
でも、これだけ数が多いと、少しの風でジャーンと鳴り、ガラス蝉が鳴いているのかと思いました(^.^)
先日、テレビで、昔の風鈴は、「ガラス棒が当たって音が出る本体の穴の部分がギザギザになっている」ので「このギザギザによって、微妙な風鈴の音が得られる」ということを言ってました。
まさにその通りなんですね。
よく工夫されているんですね。
今の風鈴は底にギザギザがないのでしょうか?
ただ、この形式のガラス風鈴はどこでも作れますから、市販品は色々です。ギザギザのあるのは、手間がかかる分、お値段もします。
ちなみに、何千個も使ったイベントは、当然、ツルツル底のガラス風鈴です(^^;
東北地方だと、ワタシが子供の頃は南部鉄器に代表される鋳物の風鈴がほとんどで
硝子の風鈴はあまり見かけなかったように思います。
硝子の風鈴ですぐにイメージされるのは、時代劇に出てくる風鈴売りですが
風が吹いてくるとかなり賑やかだったんでありましょうか。
見た目が涼しげだし、音がかわいいからでしょう。
でも、すんで響きわたる金属の風鈴には、絶対にかないません。
ダミーでガラス風鈴を飾っておき、鳴るのは金の風鈴にしておくのも一興かと(^^;