遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

伊万里青磁小皿2種

2020年02月22日 | 古陶磁ー全般

先に、鍋島青磁五寸皿のブログで、1枚だけ伊万里青磁の小皿を紹介しました。5枚組でしたので、残りの4枚も含め、再度アップします。

 

         径 10.9㎝、高 2.6㎝、高台径 6.0㎝

すべて、高台内に、大明成化年製の銘が書かれています。その上には、青磁釉ではなく、透明釉がかかっています。分厚い造りです。特に、中心部が分厚く、表側も裏側も少し盛り上がっています。

 

青磁色は、薄いく青色、くすんでいます。真ん中に盛り上がりがみられます。

 

中心部が盛り上がり、兜巾のようになっています。

 

 

さて、まだどこかに伊万里青磁はあったはず?

あちこち探すうちに、同じような小皿が、さらに5枚見つかりました。まるで、在庫整理しているかのような(^^;)

         径 11.0㎝、高 1.8㎝、高台径 6.0㎝

 

大きさ、形は、先の5枚とほとんど同じですが、高台内には銘が書かれていません。また。外周が玉縁になっているのも、先の5枚と違います。さらに、薄造りで、かざすと透けて見えます。

 

最も大きな違いは、青磁の色です。

写真ではわかりずらいですが、こちらの5枚は、緑がかった明るい青磁です。

また、よく見ると、青磁釉に非常に小さな黒点が多数入っています。

高台内は、薄く平です。

 

2枚を比較します。右が先の青磁小皿、左が後の青磁小皿です。

かなり色調が違います。

 

 

左の緑がかった青磁小皿には、5枚とも、青磁釉中に微細な黒点があります。

拡大して見ました。

なぜ、こんな黒点があるのでしょうか。原因としては、青磁を焼く時、最後に還元雰囲気で加熱するのですが、原料の弁柄が多すぎて還元されずに残ったか、逆に、鉄の還元が進み過ぎて金属鉄が生成した、の2つが考えられます。現時点では、どちらかわかりません。

このような青磁を見るのは今回の緑がかった伊万里青磁小皿が初めてです。他の青磁の器も、しっかり観察すれば、このような黒点が見つかるかもしれません。

 

また、先のブログで紹介した青磁小皿(今回の右の青磁皿)には、高台脇の青磁釉と露胎部との境に、錆色の帯は見られないと述べましたが、これは誤りでした。詳細に観察すると、非常に薄くて細いですが、この錆色帯はみられます。

 

もう一種類の緑がかった青磁小皿にも、同じように非常に薄く細い錆色が高台と青磁釉の境にあり、高台脇をぐるっとめぐっています。

この錆色帯が生成する理由については、後のブログで考えたいと思います。

今回は、先回の伊万里青磁小鉢に続いて、またもや、ダダクサな扱い(^^;)を受けている伊万里青磁小皿でした。

中国で生まれた青磁は、朝鮮半島、日本、東南アジア各国でも各種の品が作られましたが、今回のような小皿はほとんど例がありません。高級品であった青磁を、一般の人々が使う日用食器にまで広めた伊万里焼は、やはり、世界の陶磁器のなかでも特別の位置にあるのではないでしょうか。

この小皿たち、手になじんでなかなかカワイイです。これを機に、いろいろと使ってみることにしましょう(^.^)

 

 

 


コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 見直した、伊万里青磁小鉢 | トップ | 初代諏訪蘇山『鉄鉢型菓子器』 »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (tkgmzt2902ちゃぐまま)
2020-02-22 14:08:20
比較した写真、とても分かりやすいです。
今まで説明してもらっていたので、説明を聞く前に右の小皿の深みがわかりました。
美術館で見るときも、とても参考になります。
昔の青磁、残っていて大切にしたいですね。
返信する
tkgmzt2902ちゃぐままさんへ (遅生)
2020-02-22 14:30:22
写真が分かりやすいとの事、ほっとしました。たいていの品はどこかに焦点が当たるのですが、青磁や白磁の場合、カメラがどこをみているのかわかりません(^^;)それに、模様もなく、色が均一でコントラストがないので本当にとりとめがないです。
人間の場合は、多分、脳で情報処理をして、青磁の色合いの違いを際立たせているのですね。
返信する
貴重ですね (つばめ)
2020-02-22 16:42:16
昔の青磁ですが、今、遅生さん宅に存在するだけでも凄いことなのに、これから先、経年よる器の色合いや形状に変化が生じるのでしょうか?

実際、古い器で変形が見られたものがありましたので・・・。
でも考えてみるまでもなく、形あるものは、いつか崩れるのですから、いつかはくるのですよね。
ほんの少し日本の染付についての記事を読みました。いや〜貴重なうえに、歴史の重みを感じてしまいました。

遅生さんの持っていらっしゃる青磁の色合い、風合いが好きです! 


返信する
つばめさんへ (遅生)
2020-02-22 19:13:41
色や形の変化は、少なくとも自分が生きている間にはないでしょう。ま、そう何年もありませんが(^^;)

>実際、古い器で変形が見られたものがありましたので
その器の方が興味深いです。また、ブログで紹介してください。

手だけでなく、口で触れる事もあり、歴史を五感で感じられるのも陶磁器ならではですね。
返信する
魅力的な小皿 (酒田の人)
2020-02-22 21:27:08
さすがに故玩館、どんどん出てきますね!
今回の青磁小皿、青っぽいほうは後期の伊万里なのは間違いなさそうですが
緑っぽい方は難しいですね~(これが青磁の難しさ・・・)
時代が下がるのか、それとも伊万里ではないのか・・・
ワタシのごとき者にはさっぱりわかりません
とはいえ、青磁の魅力を伝えてくれる小皿であることは確かです。
返信する
酒田の人さんへ (遅生)
2020-02-22 21:48:16
2種の青磁小皿、形も大きさもほとんど同じですが、青っぽい方は、初期皿のような轆轤のひきかたなのです。一方、緑っぽい方は、伊万里にしては透明度が高いです。
ただ、高台内が透明釉なのは両者共通です。小皿にまでこんな掛け分けをするのは、伊万里以外に考えられないのも事実です。

とにかく、青磁は難しいです。
返信する

コメントを投稿