草花虫紋が描かれた絵瀬戸中皿です。
径 21.7㎝、高 3.9㎝、高台径 11.5㎝。 江戸後期~明治。
器形は、先に紹介した絵瀬戸夕景帰帆図中皿とほぼ同じで、標準的な絵瀬戸皿です。
この皿の見どころは、何といっても絵柄でしょう。
奔放な絵付けは、初期伊万里皿を髣髴とさせます。
鉄釉ではなく、染め付けなら見分けがつかないほどです。
虫は、蝶かトンボか?
草花の種類もわかりません(^^;
絵瀬戸は、石皿や行燈皿に比べて、ガサガサした土と焼き上がりです。
その分、脆く、使用しているうちに満身創痍になります。
当り痕がすごいです。
日用雑器の宿命、それとも勲章か?
現代書家の絵のような文字を彷彿させます。絵のデフォルメに、この時代の庶民のエネルギーを感じるのは穿った見方でしょうか?
暗いニュースから抜けきれない昨今、この絵皿のシリーズが目にはいると朝から元気になります。
古美術の細かい評価はわかりませんが、今みても楽しめる昔の器の持つ歴史が好きです。
柳宗悦の言う民衆芸術の健全な美が、無心な手仕事の中から巧まずして生まれてきたのでしょう。
現代の陶芸家が同じような品をつくるのは難しいと思います。
そこには、もう、上手に描こうなどという意識は無くなるんでしょうね。
ひたすら描く、無心に描く、、、。
そこからは、意図しない美が生まれてくるんでしょうか。
絵瀬戸を代表するお皿ですね!
伊万里ほど洗練されてはいませんが、バラエティに富んでいます。中には、遊んでいるのかやけくそで描いているのかわからないような絵もあって、思わずニヤッとします。