遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

陶胎七宝花蝶図茶壷

2021年04月27日 | 陶磁胎七宝

今回も、陶胎七宝の茶壷です。

先回の品より、一回り半大きな品です。

幅 13.6m、高 15.4㎝、重 620g。明治時代。

反対側:

右側、左側:

上側:

 

内蓋が無疵で残っています。

 

内蓋には色絵で蝶が三匹。

外蓋の内側には、四弍の文字。

 

こうやって見てみると、Dr.Kさんのおっしゃるように、青手古九谷に通じる趣がありますね、欲目ですが(^^;

 

明治期輸出産業の花形、七宝は、京都と尾張が二大産地でした。銅や銀を素地にして、華美な七宝が造られました。なかには、メートル越えの巨大七宝も。

それに対して、陶胎七宝はいかにも貧弱で地味です。このような変わり七宝は何処で作られたのでしょうか。

一つ手がかりが得られました。

「安田造」の底銘です(横の文字は「ロ?三一」、意味不明)。

この銘は、明治期に、京都、粟田口付近で多く作られた輸出向け陶磁器に多く見られます。黄味を帯びた陶器質の素地に、繊細で華やかな絵付けがなされているのが特徴です。京薩摩ともよばれています。

先回の小茶壷には底銘がありませんが、ボディの材質や絵付けの感じは今回の品と非常に良く似ています。安田造かどうかはわかりませんが、粟田焼の系統であることは確かなようです。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まるで (ままちゃん)
2021-04-27 09:20:57
中央アジアの古都サマカンドのような青ですね。
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ままちゃんへ (遅生)
2021-04-27 10:58:50
そうですね、確かにサマルカンドブルーに似ていますね。
陶胎七宝の模様も、見方によってはアラベスク。中央アジア的感覚ですね。
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遅生さんへ (Dr.K)
2021-04-27 19:18:47
京薩摩の素地に七宝を施したものですか。
高さ15.4cmというのは、結構大きいですね。
前回のものに非常に似ていますね。
同じ作家か、同じ工房で作られたものなのでしょうか。
日本人からみても魅力的ですから、欧米人からみたら、もっと魅力的だったでしょうね(^-^*)
これを見た欧米人は、これを作った東洋の日本という国は、どんな国なのだろうかと、ロマンをかきたてられたかもしれませんね(^_^;
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Dr.Kさんへ (遅生)
2021-04-27 20:40:27
元々は、京薩摩と京七宝のコレボレーションかとも知れません。
七宝部分でない色絵がチョコっと出てきますが、京薩摩の色絵ですね。やはり、ボスは錦光山だったと思います。その辺については、また、以降の品物で。
この時点では、袋物、それもお茶関係の品ばかりでしたから、てっきり国内向けの七宝だと思っていました(^^;
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