遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

大皿・大鉢・壷32 信楽壷

2022年02月01日 | 古陶磁ー大皿・大鉢・壷

信楽焼の壺です。

先回の伊賀壺と、購入した時期、場所も全く違いますが、二つの壷はよく似ています。

時計回りに、90度ずつ。

最大径 25.3cm、口径 10.4㎝、底径 13.6㎝、高 30.2㎝。室町ー江戸初。

肩には、圏線が一本引かれています。

赤褐色の表面全体に小さな長石が噴き出し、熔けています。星空を見ているかのようです。このような景色は、信楽壷の特徴です。

焼成中に、薪の灰が壷の肩に降って熔けてできたビードロの流れが印象的です。

これだけたっぷりと自然釉が掛かっていると、贋物の疑いが出てきます。というのも、無釉の物よりもずっと高く売れるので、その辺にいっぱい転がっている無釉の焼締壷に、柄杓で灰釉をかけて焼いた可能性があるのです。古伊万里徳利などの後絵と同じですね(^^;   

この品は、自然釉に焦げが多くあり、十分に焼成されていることがわかります(ニ度窯の場合は、どうしても火度を加減する)。また、釉流れのない肩にもうっすらと灰が降っています。どうやら、この壷は、不審な操作がなされた物ではないと考えてよさそうです。

先回の伊賀壺と同じく、嵌めたように見える底です。

口元が欠けています。割れ目を見ると、かなり年月が経っていて、このままの形で長く使われていたことがわかります。

先回の伊賀壺と並べてみると、あまりによく似ていることに驚きます。

口の割れ方も同じ。こうやって見ると、口元の割れは人為的作られたと考えるのがよさそうです。当時、新品の壷の口を割って使った・・・穀物や水を入れて使うのに、その方が便利だったのだと思います。

両方とも、胴の中央やや下あたりで、段継ぎになっているようです。

伊賀と信楽、忍者だけでなく、壷も兄弟(^.^)

 

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
酒田の人さんへ (遅生)
2022-02-02 10:48:47
昔ならほうほうと言った壷でしょうが、今はそれほどのことはありません。呉須赤絵と同じで、いっぱい市場に出てきています。世代交代の時期にあたっているのでしょう。不用品扱い、断捨離の結果だと思います(^^;
故玩館のガラクタも、いずれは(^^;
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遅生さんへ (酒田の人)
2022-02-02 07:35:02
さすがに故玩館、古信楽も普通に存在していますね~
しかも口の割れ方が古伊賀と似ているんですね

口が割れていた方が実用的だったというのは、なるほど~、と感心させられました
(さすが遅生さん)
自然釉による見事な景色と相まって、明治の数寄者が、「どうだ凄いだろう」とか言っているのが目に浮かびます。
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Dr.kさんへ (遅生)
2022-02-01 17:01:16
偶然とはいえ、よく似てます。
私の趣向でこうなったのかもしれません(^^;
信楽や伊賀は、日本人の詫び、寂びに合いますね。

実は、右も左もわからない時に、信楽中壷を購入しました。金額が金額だったので、その後ずっと、はたしてこれでよかったのかどうか、とあれこれ思いました。そうこうしているうちに相場が急降下、それどころではなくなりました(^^;
その品もいずれブログで(^.^)
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遅生さんへ (Dr.K)
2022-02-01 16:32:25
伊賀が出てきましたから、信楽も出てくるのかなと思っていましたら、やはり出てきましたね(^_^)
伊賀と信楽は、場所も近いですし、土も似ていますので、なかなかその区別が難しいですが、こうして並べられますと、なんとなく、その違いが分りますね。
信楽のほうが伊賀に比べて明るいですね(^_^)

これまた、釉垂れが見事ですね。これほどまでに見事に釉垂れしているものは少ないですよね(^_^)
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