古銅の寿老人香炉です。
幅 23.6㎝x奥 11.8㎝、高 20.5㎝、重853g。
寿老人は、中国宋の時代の伝説に由来し、七福人の一人といわれ、長寿をもたらしてくれると言われています。
寿老人は、南極星の化身で、寿命は1500年。雄鹿を従え、手には、杖、扇子、桃などをもっている姿が一般的です。老子の化身ともいわれます。
この鹿は、玄鹿とよばれ、長寿の象徴とされ、その肉を食べると2000年の寿命を得るとか。
香炉ですから、煙が出る穴があります。
ん、右肩のこれはハート?
寿老人は、男女の間にも福をもたらす粋な老人?(^^;)
この品物には、もともと漆を塗ってあったようです。ほとんどはげ落ちていますが、このような品は、非常に珍しいと思います。
もう一つ、古銅寿老人鹿騎香炉がありました。
幅 24.7㎝x奥 9.8㎝、高 23.3㎝、重 840g。
先の寿老人香炉と非常によく似ています。
鹿の表情も写実的。
煙出しの穴は、大胆にあけられています。見方によっては、寿老人がもう一人(^^;)
同じような香炉を、二つもそろえてしまいました。
いかにも抹香臭い(実際、相当匂います)古ぼけた品が、骨董のようなオヤジが座っている後ろの棚にポツンと置いてある。
これは既視感ではなく、その昔、高校生の私が、どういうわけか、一軒の古道具屋にまよいこんだ時の光景です。
今や、オヤジのかわりに店番をしていてもおかしくない(^^;)
この寿老人、左手に何かをもってそれを見つめています。持ち物と言えば、杖か桃ですが、桃にしては小さい。カットされた桃でしょうか(^^;)
もう一つは、賢者の風貌、老子でしょう。
この二つ、非常によく似ていますが、手で持った感触が違います。上の方は、たなごころに優しいのです。微妙なこの感覚は、銅器を評価する場合、必須です。陶磁器でも同じようなことが言えますが、銅器の方が違いがはっきりとわかります。風化、手ずれなどで、古い物はまろやかになっているのです。
老子寿老人香炉はおそらく、明治の品でしょう。一方、布袋頭の寿老人香炉は、それよりずっと古く、唐物の可能性もあります。
広い見識と仁徳を備えた寿老人。長寿だけでなく、円満、壮健、厄除けの神でもあるそうです。
故玩館でも、ずーと日陰者扱いだった寿老人。遅まきながら、玄関と床の間に、一体ずつ鎮座していただきました。
コロナ禍の今、この世に福をもたらして欲しいものです。
それも、二つも!
銅器は、古い銅器と新しい銅器とでは、手に持った感触が違いますか。風化や手ずれなどから、古い物はまろやかになっているんですね。
遅生さんは、高校生の頃から、古道具屋に出入りしていたんですか。
そんな長い経験から、そのようなことが分かるんですね。
もしかして、これ等二体の銅器は高校生の頃に購入されたのでしょうか、、、?
陶磁器より銅器の方が柔らかいので、時代の味がボディにつきやすいのだと思います。それから、型の素材など製法も、時代によって違っているんでしょうね。
高校生の時からのマニアではありません。通学バス停の前に古道具屋があり、時間待ちの時に、たまたまふらっと入った次第です。なんとも言えない雰囲気でした(^.^)