遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

金工8 銀象嵌太古石牡丹図水注

2020年04月23日 | 金工

銅打出しの水注(薬缶)です。

    幅15㎝x奥13.5㎝x高12.8㎝、重 522g

 

 

 

銀象嵌と装飾が、びっしりと施されています。

 

底は、別の板(黄銅)を付けてあります。

胴部と蓋は銅、取手と底は黄銅です。

 

いろいろな部位に、装飾板が打ちつけられています。

 

 

この水注の一番の特徴は、銀象嵌です。

古い中国画題の「太古石と牡丹」が、ダイナミックに表現されています。

 

 

 

 

反対側には、漢詩が象嵌されています。

        「江山到處播清香」

        

蓋に「清茶味」とありますから、この水注は、煎茶用でしょうか。

 

先のブログで、銅蟲菓子器を2個、紹介しました。

今回のブログの水注は、槌目、装飾、色つやなど、銅蟲の技法に非常によく似ています。

しかし、これが銅蟲だろうか、と決めかねています。

その理由は二つ。

まず、太古石‐牡丹の図柄は、日本の伊万里にもまま見られますが、これだけ本格的に描かれる例は少ないと思います。漢詩もふくめて、中国本家のような気がします。

それから、銀象嵌です。先のブログのように、銅蟲では、鍍銀を巧みに使って、まるで銀象嵌のような効果を出しています。しかし、今回の品は、本物の銀象嵌です。銀板を嵌め込んでいるので、強く磨いても、地肌が透けてくることはありません(^^;)

中国物か日本の伝統工芸品、銅蟲の優品か迷うところではありますが、いずれにしても、コロナで閑になった今、風雅な煎茶文化を、もう一度見直してみたいと思います。

 

 


コメント (8)    この記事についてブログを書く
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8 コメント

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Unknown (tkgmztちゃぐまま)
2020-04-23 13:20:13
出るわ、出るわ、名品が次から次と!打出の小槌ですね。
写真がきれいに撮れているので細部までよくわかります。写真と解説でよくわかりました。
技術のことは差し置いても、女性ならこの形と大きさに「か~わいい~っ」とを細めるでしょうね。
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遅生さまへ (くりまんじゅう)
2020-04-23 14:58:36
遅生さま 今日は私のつたないblogをフォローしていただきありがとうございます。
私からもフォローさせていただきます。
遅生さまのことは クリンちゃんや みゃー大工さんのところへ
シャープなコメントを入れておられる方と 以前から思っていました。

今日の銅打出しの薬缶も ↓に載せておられる数々のお品も見事ですね。
私は ここに来られる皆様のような知識がありませんので
みごとな艶やテリ 美しい彫り物を 美しいとしか表現ができないのが残念です。

知識がなくとも こういうものを見せていただくと心が落ち着きます。
これからもよろしくお願い致します。  
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遅生さんへ (Dr.K)
2020-04-23 15:50:45
これまた、緻密で手の込んだ作業をともなった薬缶ですね。
名品ですね(^-^;

私も、雰囲気として、なんとなく、中国製かなと思いました。
中国の物は、技巧が進んできても、惰性に堕ちず、ますます冴てくるくるようなところがありますよね。
日本の物は、逆で、技巧が進むに従って、頂点から転落していくように感じますものね。
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tkgmztちゃぐままさんへ (遅生)
2020-04-23 16:28:36
大黒さんのように福々しくないので、打出の小槌、もう振れません。というより、貯金を取り崩しているだけです(^^;)

何はともあれ、女性に受けることがわかっただけでも、ブログアップしたかいがありました(^.^)

それにしても、写真は本当に難しいですね。
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くりまんじゅうさんへ (遅生)
2020-04-23 16:50:12
こちらこそよろしくお願いします。

小心者にとって、ハイレベルの女性陣ブログにおじゃまするのは、障壁高いです(^^;)

故玩は本当に私的なモノです。自分が愉しめればそれでいい。もし、ほかの人にも気に入ってもらえれば、もういう事はありません。気に入り方も人それぞれ(^_^)
気楽に来てください。

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Dr.Kさんへ (遅生)
2020-04-23 17:11:25
私もまったく同感です。

感覚的にいうと、この品は中国物ですね。
こういうカチッとした物は、日本ではあまり受けませんから。ま、そこが日本らしいところでもありますが。

中国のように完璧を追求する国柄では、いろんな工芸品も、惰性に落ちず、グングン先へ行くのでしょうね。
その点、日本はアバウトですから、崩れた技巧もそれなりに認められるんでしょう(^^;
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こんにちわ遅生さん (たか)
2020-04-23 17:13:34
作者自身が楽しみながら作り上げた様な一品ですね。

実物が見たいものです。

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たかさんへ (遅生)
2020-04-23 19:03:26
非常に趣味的な品です。
作者も楽しんで作ったのかも知れませんね。

私の品物にしては、ピカピカしてきれいです。今回、だいぶ磨きましたが(^^;)
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