先回のブログで、糸ガラスを使ったガラスの枕屏風を紹介しました。
極細のガラスを組み合わせて平面とし、そこへ絵を描いた一種のガラス絵です。しかし、これはあまりにも特殊な物です。
そこで、もう少し分かりやすいガラス絵がないか探しました。
それが今回の品です。
木の台の上に、ガラスの球が置かれ、内部に絵が描かれています。
台の上で、くるくると回ります。
中華料理によくある皿と同じです。
この品も中国製です。土産物に毛が生えたほどの品でしょう。
上品さに欠けるので、当然、故玩館では日陰者あつかいです(^^;
高 16.0㎝。
ガラス球:径 10.2㎝、重さ 1.6㎏。
ガラスの塊ですからずしッとくる重さです。
これに穴を開け、内部はきれいな球形にくりぬいてあります。
そこへ、鉤型の筆で絵を描いていくわけです。
中国には、鼻煙壷などにもガラス絵が多くあり、こういう技法はお手のものなのでしょう。
ガラス絵ですから、鑑賞者の向こう側から描くことになります。
したがって、描き順は普通に描く場合の逆になります。
こちらから見て、手前にある物から描いていきます。
この絵の場合、黒色の鯉が最初に描かれ、次に緋鯉、そして茶色の鯉となります。頭がごちゃごちゃしてきますね(^^;
一般的なガラス絵は、板ガラスに描かれていますが、その場合も一緒です。
ガラス絵は乱反射がガラスで抑えられるので、キャンバス上よりも色が冴えます。その結果、妙に生々しい感じがします。この品では、それがよくわかります。上品さにかけるのもそのためです。
染色工芸家、芹沢啓介は、ガラス絵も多く手がけています。凡百のガラス絵と異なり、落ち着いた色彩の作品です。さすがですね。
雅味には欠けていますが、こうやって重いガラス玉を手にすると、何だか世界を手に入れた気分になります。
中華思想もこれなら平和(^.^)
なるほど、中から、鉤型の筆で描くわけですか!
それに、手前に見えるものから先に描いていくわけですね。
描く原理は分かっても、実際には難しそうですね(~_~;)
よくこんなの作るなあという気がしますが、その割には味わいに欠けます。やはり技術だけではダメなんですね(^.^)
又お邪魔します。
愚詠
壊れ易いもの
昨日の約束
けふのガラス
明日の恋も
理由を考えたこともなかったのですが、今にして思えば、壊れやすさもひとつですね。はかない人生によくあいます(^.^)
当地は、120年前、観測史上最大級の濃尾震災が直撃した場所です。
陶磁器もガラスも、漫然と置いてあるだけですから、震災がきたら全滅ですね。何か方策を考えねば。