大海に落とす
たった一滴のインクが
神の細い神経の糸を
狂うほど痛めるということを
あなたがたは知らない
そのあえかにもあえかな
罪は
遠い国の遠い森で
卵から孵ってすぐに死んだ
雛の声のように
あなたの耳に届くのだ
あまりにもきわどい
轟音となって
誰にも見えないところで
あけた引き出しの中から
あなたは白い飴を盗みましたね
いやらしいことも
誰も知らないところでやれば
ないことになると思っていましたね
愚か者よ
神はすべて見ていたのです
あまりにも痛いと思いながら
なんでそんなことをしたのか
切ないほど
焦るほど
焦るほど
焦るほど
欲しいと思いながら
永遠に手に入らないものを
見たからだ
だからあなたは
愚弄という言葉が上品に聞こえるほどの
おろかなことをしたのだ
あんな美しい人になりたい
いえ
あの人
そのものに
なりたい
そんなことがかなうはずはない
あの時盗んだ白い飴は
永遠に消えない痣となって
あなたの片頬に残るのだ
誰が見てもすぐにわかる
あれこそが
あの人を消した馬鹿だと
誰も見ていない野で
苛立たし気に
何の罪もない草をちぎった
ただそれだけのことで
あなたがたは
永遠に
神の野から追い出されるのです