閉じた真空の矛盾の中で
ゆらいでいた背骨が
ふとおのれを捨てた時
火花のような閃光が
宇宙にはねあがる
黒熊のような闇が
もくもくとひっていた糞を食べて
黄金の夢を見ていた獏が
琴のつるのように弾かれて
突然目を覚ます
岩屋の中に憩う
天使の夢から生えた
大きな楠の金色の実が
世界にふりしきるのだ
偽神を映すブラウン管の
小さな真空管の中で
小鳥の悪口を言う馬鹿者は
首がさかさまになる不思議な病の中に
とじこまれていくだろう
生まれ変わった星の
産声を抱きながら
目を覚ました人々は
満点の星を見上げる
億年の間待っていた
永遠の愛の抱擁の手が
空に広げられている