月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ベクルックス・67

2021-03-28 05:34:00 | 詩集・瑠璃の籠

うそをついている自分を
背負うのが苦しいばかりに
魂がこそどろのように
逃げていく女がいる

うつくしいものになりたかった
きよらかなものになりたかった
そのためにこぎたない泥棒をして
いかにもうつくしい自分をこしらえた

偽物の自分を
かつらのようにかぶって
見せびらかすように表を歩くと
神の目をしたこどもたちが
指をさして悲しげに歌う

ごらん
天使を映した鏡をまとい
馬鹿が歩いていく
猿のしっぽを
得意げにたてながら
馬鹿が歩いていく

正体を見抜かれた馬鹿が
逃げていく
うそをついている自分が
しびれるほど恥ずかしくて
馬鹿は自分を捨てて
こそどろのように逃げていく

ちまたに
魂に逃げられた
うその自分が
不用品のようにたくさん
転がり始める




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