月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ゾスマ・51

2021-03-29 05:33:46 | 詩集・瑠璃の籠

馬鹿が
高いところにのぼりすぎたのだ

蛙のように小さな自分が
いやでたまらず
月のように高いものになりたいと
おまえは嘘で自分を美しくしすぎたのだ
馬鹿者め
降りるに降りられぬ

盗んできた黄金の夢を
すべて神に返し
やぶれ衣一枚のみじめな姿となって
てっぺんから真っ逆さまに落ち
なにもかもを失えば
落ちる地獄が浅くなるだろう
だがおまえにはできまい

夢にまで見た
天使のような美人になって
嘘寒い芝居を打ち続け
魂がすり減っていく音に
気づきもせず
おまえはおまえに
見捨てられていくのだ

上りすぎた嘘のてっぺんから
降りることもできず
自分ではないものの
最も深い闇に
おまえは落ちていくのだ




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