月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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セギン・27

2021-03-18 05:32:12 | 詩集・瑠璃の籠

遠いまぼろしの宮に
水晶のように透き通った
塩の女神がすむという

なりたかった自分という名の
美しい馬鹿がすむという

煮えたぎる鍋の湯の中に
嘘と本当を練り混ぜて
砂糖と香辛料を
山ほど入れて
一粒の金平糖を作った

それを食べれば
嘘が本当になるという
汚らわしい毒を

愚か者よ
愚か者よ

神が創ってくださった
おまえの青銅の足が
砂糖菓子のように折れていく

おまえの心臓に住んでいた
銀の声で鳴く小鳥が
ただれて死んでいく

もう二度とは
元に戻れない




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